危篤や臨終は非日常的な状況なうえに、ご家族にとって重要な時間です。
そのため、パニックや混乱になるのも無理はありません。
そこで、この記事ではご家族の危篤状態や臨終を告げられた時にすべき準備をお伝えしていきます。
実際に次の10個の準備があります。
- 心構え
- 危篤の連絡
- 臨終後に必要になるお金
- 末期の水
- 死亡診断書の受理
- 葬儀社への連絡
- ご遺体の処置
- ご遺体の移送
- 訃報の連絡
- 病院への精算
もくじ
危篤と臨終の意味・違い
まずは危篤と臨終の言葉の意味を押さえて、的確に状況に応じた判断が下せるように準備しておきましょう。
- 危篤の意味
- 臨終の意味
- 危篤と臨終の違い
それぞれの意味を解説していきます。
危篤の意味
危篤とは、容態が悪化して意識が無くなり、回復の見込みがなく間もなく死が訪れる状態です。
要するに、危篤は「死の一歩手前」という状態となります。
この危篤の状態は医師が判断しますが、どのくらいこの状態が続き、生き長らえてくれるかはわかりません。
数時間の危篤状態の末に亡くなってしまう場合、数週間の危篤状態の末に亡くなってしまう場合などが考えられます。
そのため、「危篤」と医師から告げられたら、その心構えや準備を行う必要があるのです。
臨終の意味
臨終とは、危篤を迎えた人が死を迎える直前のことです。
臨終となると、医師が死亡の確認を行い、死亡が確定します。
つまり、臨終とは、「終わりに臨む」で「死に直面する」という意味なのです。
死亡が確定すると、死亡診断書が発行され、病院側で死亡後の処置を行います。
故人の身体は、お湯またはアルコールで洗い清められ、耳や鼻に綿を詰めて、着替え・死に化粧を施し身なりを整えられるのです。
危篤と臨終の違い
危篤は容態が悪化してもまだ存命ですが、臨終は死の直前で「死亡」とほとんど同じ意味で用いられます。
このように危篤と臨終では、死亡までに残された期間の長さの違いがあるため、「危篤状態から臨終に至る」と捉えると良いです。
いずれにせよ、死を迎えるための心の準備や、死後に行う準備をしておく必要があります。
危篤を告げられた際の流れと準備3つ
医師に危篤を告げられたら、次のような流れで準備を行います。
- 心構え
- 危篤の連絡
- 臨終後に必要になるお金
危篤の際の準備1:心構え
富豪でも高学歴でも大臣でも、社会的地位や名声に関係なく必ず死は訪れるもの。
危篤状態では、その死の前段階として、心の準備をしておかなければいけません。
大切なご家族が危篤と連絡を受けたら冷静に離れないかもしれませんが、ご家族の人生の「最期を看取ってあげる覚悟」を持ちましょう。
最期を看取る心構えが済んだら、数日間の泊まり込みになる可能性も考慮して、泊りのために必要な着替えなどを揃え、病院の場所を確認します。
ほかに準備品やお見舞いの品は必要ありませんので、病院の場所を確認したら、すぐに病院へ向かいましょう。
危篤の際の準備2:危篤の連絡
危篤の連絡を受けたら、親類縁者への連絡を行いましょう。
こちらも死への準備として、必要なことです。
ご家族の危篤状態を知らせる範囲は、次の通りです。
- 同居する家族
- 3親等以内の家族(父母、子、祖父母、孫、兄弟姉妹、曾祖父母、おじ・おば、おい・めい)
- 親しい友人・知人
この範囲の人々に危篤の連絡を伝えます。
なお、この範囲はあくまで一般論であり、連絡する相手とご家族との関係を重視し、「ご家族の最期に本当に立ち会ってほしい人物」に優先的に連絡を行いましょう。
連絡する相手が自分と疎遠である場合や相性が合わない場合でも、その相手が「最期を看取れなかった」と後悔させないように、連絡は怠らないようにします。
ただ、立ち会いをする人数が多くなると病院やほかの患者さんに迷惑がかかりかねません。
ゆえに、連絡する方を決める際には、最低限度な人選にしましょう。
連絡する際の注意点1:連絡の手段
危篤を連絡する際は「電話」を使用します。
「夜更けに連絡するのは気が引ける」「まだ寝ているのではないか」と思い連絡を躊躇ってしまうかもしれません。
しかし、事態は一刻を争うため、たとえ深夜でも早朝でも相手が仕事中でも、危篤の連絡を電話で行うのは問題ないです。
「電話」を用いて、危篤の連絡を行いましょう。
連絡する際の注意点2:連絡の際に伝える内容
まずは一言「こんな時間に申し訳ございません」「お忙しいところ大変申し訳ございません」とお詫びの言葉を添えます。
お詫びの言葉を添えたら、危篤である旨を伝えていくのですが、次のような内容も伝えましょう。
- 簡単に自分について名乗る(どこの誰なのか)
- どこの誰が危篤状態なのか(本名と住んでいる都道府県、市町村)
- 連絡をしている相手とご家族の関係の確認(ご家族と相手の続柄、関係)
- 相手が立ち会いに呼びたい本人と確認が済んだら、場所と時間を指定
このような内容が含まれていれば、危篤の連絡として十分です。
連絡する際の注意点3:遠方の方への連絡
遠方の方へ連絡する場合、こちらに向かうための移動時間や交通費・宿泊費の関係上、さきほどの内容に加えて、「配慮」が必要です。
たとえば、次のような情報はなるべく詳細に伝えましょう。
- ご家族の容態
- 来てほしい時間
- 待ち合わせ場所、集合場所
遠方からこの場所に来てもらうためには、現状を事細かに伝え、時間や場所を明確に指定して、配慮する必要があります。
連絡する際の注意点4:連絡する相手を驚かせないように注意
危篤を連絡する相手には、相当な精神的ショックや負担を与えてしまうことを覚悟しておきましょう。
特に高齢の方、療養中の方、妊娠中・出産直後の方、心臓に病気を患う方などへの危篤の連絡は慎重な判断を要します。
連絡する相手の人柄や状況などに合わせて、表現を変えながら連絡すると良いです。
危篤の際の準備3:臨終後に必要になるお金
臨終後は以下の表のように、お金が必要になります。
金額 | |
---|---|
病院への精算 | 入院期間などによる |
交通費 | 距離や移動時間による |
遺体運搬費や運転手への心付け | 距離や時間帯などによる |
連絡して実際に立ち会いに来てくれた方への飲食代など | 1人あたり約3,000円 |
葬儀費用 | 200万円程度 |
僧侶へのお布施 | 50万円程度 |
葬儀関係者への心付け | 1人あたり3,000円~10,000円 |
この表のすべての項目のお金はいきなり準備できません。
ゆえに、このような項目で出費するということだけ、留意しておきましょう。
臨終後の流れと準備7つ
臨終後の流れは、次のような流れとなっています。
- 末期の水
- 死亡診断書の受理
- 葬儀社への連絡
- ご遺体の処置
- ご遺体の移送
- 訃報の連絡
- 病院への精算
臨終後の流れと準備について押さえていきましょう。
臨終後の準備1:末期の水
末後の水(まつごのみず)とは、ご家族が病院で亡くなった場合、臨終を告げられた後に立ち会った全員で行う儀式です。
具体的な作法としては、まず新しい割り箸の先にガーゼや脱脂綿をくくりつけ、そのガーゼや脱脂綿に水を含ませます。
水を含ませたガーゼや脱脂綿を故人の唇に持っていき、湿らせていきます。
その際は、唇の左から右へなぞるように上唇から下唇の順で当てていきましょう。
この作法は全員で順番に行い、全員が終わったら、故人の顔をきれいに拭きます。
臨終後の準備2:死亡診断書の受理
死亡診断書は、ご家族が死亡した事実を証明するための書類です。
この死亡診断書は、医師が記載を行います。
死亡診断書はA3サイズで、用紙の左半分が死亡届、右半分が死亡診断書です。
左半分の死亡届は死亡診断書と一緒に、亡くなってから7日以内に役所に原本を提出するものになります。
役所は志望届を受理すると、火葬許可証を発行します。
この火葬許可証は葬儀社を通して、火葬場へと提出されるものです。
さらに、火葬許可証を火葬場に提出すると、埋葬許可証が発行されます。
このように、死亡診断書は形を変えながら、臨終後の手続きに必要になりますよ。
死亡診断書のコピー
死亡診断書はコピーを取っておきましょう。
この死亡診断書のコピーは、後日保険金や遺族年金を受ける際に必要になります。
保険金や遺族年金を受け取る際に、原本が必要になる場合は、死亡診断書を記載した医師が勤める病院に請求すると数千円から数万円で発行してもらえますよ。
臨終後の準備3:葬儀社への連絡
葬儀社は24時間365日年中無休で営業していることが非常に多く、電話で連絡すれば3時間以内にはかけつけてくれます。
葬儀社に電話する際には、以下の項目を伝えましょう。
- 故人の氏名と身長(棺の用意のため)
- 葬儀社の方に今から来てほしい場所(病院、老人ホーム、自宅など)
- 故人の移送先・安置先(式場、火葬場、自宅)
- 依頼者(自分)の氏名と連絡先、故人との続柄
この4点を押さえて葬儀社に連絡すると、葬儀社スタッフの派遣、寝台搬送車の手配などの段取りを済ませ、指定した場所に来てくれます。
臨終後の準備4:ご遺体の処置
なるべく早い段階で、ご遺体の処置をしなければいけません。
状況や取り決め事によって処置を行う場所やタイミングは変わりますが、共通して次のような処置を行います。
- 清拭:アルコールやお湯で故人の全身を洗い清める処置
- エンゼルケア:ご遺体の口や目を閉じて、体液がでないように鼻・口・耳・肛門などに脱脂綿を詰める処置
- 死に装束:浴衣や着物のような「経帷子(きょうかたびら)」を着せ、浄土への旅立ちの準備を行う処置
- 死に化粧:メイクなどで故人の表情を整える処置
臨終後の準備5:ご遺体の移送
病院で亡くなった場合は、病院の霊安室へと移送し、安置します。
しかし、病院の霊安室は何日も利用できません。
そのため、数時間後にはご遺体を自宅や斎場へと移送する必要があります。
ただし、斎場などの専用安置所や霊安室に安置する場合は、到着後すぐに納棺するケースが多いです。
ゆえに、棺の手配は早めに済ませておきましょう。
臨終後の準備6:訃報の連絡
以下の通り、危篤時に連絡を行った範囲の方にまず訃報の連絡を行います。
- 同居する家族
- 3親等以内の家族(父母、子、祖父母、孫、兄弟姉妹、曾祖父母、おじ・おば、おい・めい)
- 親しい友人・知人
この範囲での連絡が済んだら、次は故人の勤務先や学校、団体などに連絡します。
訃報の連絡の際は、次のポイントを伝えると良いです。
- 連絡したあなたの名前
- 故人の氏名
- 個人が死亡した時間と場所
- 葬儀の日時と場所
- 連絡用の電話番号
訃報の連絡は危篤の場合と比べて、連絡の範囲が広くなるため、連絡の作業が大変です。
そのため、勤務先や学校などのグループ・組織単位で連絡を行い、あとはそのグループ・組織内で情報を共有してもらいましょう。
また、家族葬の場合、葬儀の日時と場所を告げる必要はありませんね。
ゆえに、連絡の際は「家族葬なのでご会葬はご辞退申し上げます」と一言添えましょう。
臨終後の準備7:病院への精算
病院で亡くなった場合、病室の整理や入院費の精算を行う必要がありますね。
臨終後はさまざまな対応で時間がないため、危篤時に精算の準備をしておくことをおすすめします。
まとめ
この記事では、危篤・臨終後に次の10個の準備があると紹介しました。
- 心構え
- 危篤の連絡
- 臨終後に必要になるお金
- 末期の水
- 死亡診断書の受理
- 葬儀社への連絡
- ご遺体の処置
- ご遺体の移送
- 訃報の連絡
- 病院への精算
このような膨大な作業を家族1人でこなすのは非常に困難です。
それに大切なご家族が無くなったショックで作業どころではないでしょう。
ゆえに、流れや準備について、不明点があれば、病院や葬儀社など現場のプロに相談しながら、任せられる作業は任せましょう。