危篤と告げられたとき、家族は突然「今すぐ来てください」「大切な方へ連絡してください」と言われることがあります。
頭ではわかっていても、いざその瞬間になると、誰に連絡するのか、医師に何を聞けばよいのか、葬儀社をすぐ決めるべきなのか、判断がつかなくなるものです。
この記事では、危篤と言われた直後に家族が確認すべきことを、医療・連絡・持ち物・葬儀準備の順に整理します。
なお、危篤から臨終、納棺、通夜までの全体の流れを先に確認したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
危篤とは?臨終との違い
危篤とは、病状が重く、回復が難しいと医師が判断した状態を指します。
ただし、危篤と告げられても、すぐに亡くなるとは限りません。数時間で臨終を迎えることもあれば、いったん持ち直すこと、数日以上状態が続くこともあります。
一方で、臨終は一般に、命が終わりに近づいた状態や、医師が死亡確認を行う場面で使われる言葉です。
危篤の段階では、家族が本人のそばに行く、会わせたい人へ連絡する、医療方針を確認する、今後の流れに備えることが中心です。
危篤と言われたら最初に確認する5つ
医師や看護師から危篤を告げられたら、まずは以下の5点を確認しましょう。
- 現在の容態と、どのような変化が起きているのか
- 今後、数時間から数日で想定される経過
- 家族が面会できる人数・時間・病室のルール
- 病院からの連絡を受ける代表者と電話番号
- 本人が事前に希望していた医療・看取りの場所・葬儀の希望があるか
最初に大切なのは、情報を一か所に集めることです。
家族がそれぞれ別々に病院へ問い合わせると、病院側の負担になるだけでなく、家族内で情報が食い違うこともあります。できれば、配偶者・子ども・同居家族などから「連絡係」を一人決めておきましょう。
医師に確認したいこと
危篤の場面では、家族が医療の細かい判断を迫られることがあります。
とくに、延命治療や心肺蘇生、苦痛を和らげる治療、本人が望む最期の過ごし方については、短い時間で確認しなければならないこともあります。
医師へは、次のように聞いてみましょう。
- 現在、本人に苦痛はありますか
- 苦痛を和らげるためにできる処置はありますか
- 今後、急変した場合にどのような処置が考えられますか
- 心肺蘇生や人工呼吸器などについて、確認が必要なことはありますか
- 本人が以前話していた希望を、医療方針に反映できますか
本人の意思を家族や医療・ケアチームで話し合う取り組みは、厚生労働省が「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」として情報提供しています。
ただし、危篤の場面で初めて本人の希望を話し合うのは、家族にとって非常に重いものです。本人が元気なうちに、延命治療、看取りの場所、葬儀やお墓の希望などを書き残しておくことが、残される家族の助けになります。
誰に危篤の連絡をするか
危篤の連絡は、夜中や早朝でも電話で行ってかまいません。
ただし、誰にでも一斉に連絡するのではなく、本人との関係性や病院の面会ルールを踏まえて優先順位を決めます。
- 配偶者、子ども、親、きょうだいなど近い親族
- 本人が会いたがっていた人
- 葬儀や菩提寺の連絡に関わる人
- 遠方から来る必要がある人
- 職場や施設など、実務上すぐ連絡が必要な先
連絡では、次の内容を簡潔に伝えます。
高齢の親族、体調が悪い人、妊娠中の人などへ連絡する場合は、相手の安全にも配慮が必要です。「すぐ来て」と急がせるより、状況を伝えたうえで、無理のない判断をしてもらいましょう。
病院へ向かうときの持ち物
病院へ急いで向かうときは、気が動転して忘れ物をしやすくなります。
すべてを完璧にそろえる必要はありませんが、次のものは持っていくと安心です。
- スマートフォン、充電器、モバイルバッテリー
- 健康保険証、診察券、お薬手帳など医療関係の書類
- 家族・親族・菩提寺・葬儀社候補の連絡先
- 本人のエンディングノート、メモ、遺言書の保管場所に関する情報
- 筆記用具、メモ帳
- 現金、クレジットカード、交通系ICカード
- 泊まり込みの可能性がある場合の着替え、羽織りもの、常備薬
本人がエンディングノートを書いている場合は、医療や葬儀に関する希望が記載されていることがあります。普段から保管場所を家族で共有しておくと、いざという時に探し回らずに済みます。
臨終後に慌てないための確認
危篤の段階で葬儀のことを考えるのはつらいものです。
しかし、病院で亡くなった場合、死亡確認のあと長く病院に安置できないケースも多く、安置先や搬送先を早めに決める必要があります。
臨終後の流れで特に確認したいのは、以下の点です。
- 死亡診断書はいつ受け取れるか
- 自宅、葬儀会館、安置施設のどこへ搬送するか
- 病院から紹介された葬儀社に依頼するか、自分で選ぶか
- 菩提寺や宗教者へ連絡する必要があるか
- 家族葬、一般葬、直葬など、どの程度の葬儀を希望するか
死亡届は、死亡診断書と一体になった用紙を使って手続きするのが一般的です。法務省の案内では、死亡届は死亡者の死亡地・本籍地、または届出人の所在地の市区町村役場へ届け出るとされています。
実際には、葬儀社が死亡届や火葬許可に関する手続きを代行・サポートしてくれることが多いですが、家族も大まかな流れを知っておくと安心です。
葬儀社と費用で注意したいこと
危篤や臨終の直後は、家族が冷静に比較検討しにくいタイミングです。
そのため「病院で紹介されたから」「今すぐ来てくれるから」という理由だけで、すべての葬儀をその場で契約してしまうと、あとで費用や内容に不満が残ることがあります。
国民生活センターは、葬儀サービスの料金トラブルについて、相談が増加傾向にあり、家族葬でも費用の項目が複雑で高額になることがあると注意を呼びかけています。
葬儀社を決めるときは、少なくとも次の点を確認しましょう。
- 搬送だけの依頼か、葬儀全体の依頼か
- 見積もりに含まれるもの・含まれないもの
- 飲食、返礼品、安置料、火葬料、宗教者へのお礼が別料金か
- キャンセルや変更ができるタイミング
- 家族が希望する葬儀の規模に合っているか
お金と口座凍結の準備
臨終後は、葬儀費用、安置料、交通費、病院の精算、当面の生活費など、短期間でお金が必要になることがあります。
以前の記事では「葬儀費用は200万円程度」「お布施は50万円程度」といった目安を示すこともありましたが、葬儀の形、地域、宗教、参列人数によって費用は大きく変わります。現在は、固定額で考えるより、見積もりの内訳を確認し、家族が支払える範囲で選ぶことが重要です。
また、亡くなった方の銀行口座は、金融機関が死亡を把握すると凍結されます。葬儀費用や生活費をどう確保するかは、早めに家族で話し合っておきましょう。
口座凍結や払戻しの考え方については、マネーライフハックの以下の記事が詳しくまとまっています。
家族の死亡で銀行口座が凍結されたら?出金・解除手続きと引き出しのリスクを徹底解説|Money Lifehack
生前に準備しておくと家族が助かること
危篤の場面で家族が困るのは、医療や葬儀そのものよりも、「本人ならどうしてほしいのか」がわからないことです。
元気なうちから、以下のことを少しずつ書き残しておくと、家族の判断の負担を軽くできます。
- 延命治療や看取りに関する希望
- 連絡してほしい人、連絡しなくてよい人
- 葬儀の規模、宗教、菩提寺、遺影候補
- 安置先や葬儀社の希望
- 通帳、保険、年金、印鑑、重要書類の保管場所
- スマホ、パソコン、サブスク、ネット銀行などデジタル情報
認知症などで判断能力が低下してからでは、遺言書や契約、医療の希望確認が難しくなる場合もあります。
よくある質問
危篤の連絡は深夜でもしてよいですか?
深夜でも、本人に会ってほしい近親者や大切な人には電話で連絡してかまいません。ただし、相手が高齢・療養中・遠方の場合は、来院を急がせすぎず、病院の面会条件と現在の容態を落ち着いて伝えましょう。
危篤と言われたら、葬儀社をすぐ決めるべきですか?
搬送先の確保は早めに必要になることがありますが、葬儀全体の契約をその場で急いで決める必要はありません。搬送だけ依頼できるか、見積もりの内訳は明確か、家族の希望に合うかを確認しましょう。
危篤から回復することはありますか?
あります。危篤は非常に厳しい状態ですが、経過は病気や本人の体力、治療内容によって異なります。今後の見通しは医師に確認し、家族の希望だけで判断しないことが大切です。
本人の希望がわからない場合はどうすればよいですか?
家族だけで抱え込まず、医師、看護師、医療ソーシャルワーカーなどに相談しましょう。本人の過去の発言、価値観、生活ぶりを手がかりに、本人にとって苦痛が少なく尊厳を保てる選択を考えます。
まとめ 危篤の時こそ「順番」を決めて動く
危篤を告げられた家族が、すべてを完璧にこなす必要はありません。
まずは病院から正確な情報を聞き、連絡係を決め、会ってほしい人へ連絡し、臨終後の搬送や葬儀費用に備える。この順番で動くだけでも、混乱はかなり減らせます。
- 危篤は、まだ存命だが非常に厳しい状態
- 医師には容態、今後の見通し、苦痛緩和、延命治療の確認をする
- 連絡係を決めて、近親者や本人が会いたい人へ優先して電話する
- 葬儀社は搬送と葬儀契約を分けて考え、見積もりを確認する
- 生前から医療・葬儀・お金・デジタル情報を残しておくと家族が助かる
医療や介護の希望を元気なうちに家族へ伝える「人生会議」については、以下の記事で詳しく解説しています。
延命治療や尊厳死、安楽死との違いについては、以下の記事で整理しています。
入院費や手術費の自己負担が心配な場合は、高額療養費制度も確認しておきましょう。
危篤時に慌てないためには、元気なうちから看取り介護の希望や急変時の流れも家族で共有しておくことが大切です。
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危篤・臨終の前後で必要になる手続きや終活準備は、以下の記事でも詳しく解説しています。



