航空会社のマイル、クレジットカードのポイント、共通ポイント、スマホ決済の残高。
いまは現金や預金だけでなく、さまざまな「見えにくい価値」がスマホや会員アカウントの中に残る時代です。
では、家族が亡くなったとき、こうしたマイルやポイントは相続できるのでしょうか。
結論から言うと、マイルやポイントを相続できるかどうかは、各サービスの規約次第です。ANAやJALのように会員死亡時のマイル承継について規定があるサービスもあれば、会員死亡や退会によってポイントが失効するサービスもあります。
この記事では、マイル・ポイントの相続の基本、ANA・JALマイルの扱い、クレジットカードや共通ポイントの注意点、相続税、デジタル終活で家族に残しておきたい情報を解説します。
マイル・ポイントは相続できる?基本は「規約次第」
マイルやポイントは、現金そのものではありません。多くの場合、会員規約にもとづいて付与されるサービス上の権利です。
そのため、会員が亡くなったときに家族へ引き継げるかどうかは、民法の相続だけで単純に決まるのではなく、各サービスの会員規約や手続きによって変わります。
大きく分けると、次のように考えるとよいでしょう。
- 航空会社のマイル:会員死亡時の承継手続きが規約にある場合がある
- クレジットカードのポイント:会員死亡・退会で失効するケースが多い
- 共通ポイント:規約で譲渡・相続・換金が制限されるケースが多い
- 電子マネーやプリペイド残高:ポイントとは別物で、返金や承継の扱いはサービスごとに異なる
つまり、「マイルだから必ず相続できる」「ポイントだから絶対に相続できない」とは言い切れません。重要なのは、サービスごとの規約と手続きです。
マイルやポイントは、少額なら見落とされがちです。しかし高額な航空マイル、大量のクレジットカードポイント、キャッシュレス残高がある場合は、家族が存在を知らないまま失効することがあります。
ANAマイルは相続手続きの規定がある
ANAマイレージクラブでは、会員が亡くなった場合、法定相続人が所定の手続きを行うことで、残っているマイルの承継を受けられる旨の規定があります。
ただし、必要書類や手続き期限が定められているため、家族がマイルの存在に気づかないまま時間が過ぎると、手続きできなくなるおそれがあります。
ANAマイルを多く保有している人は、次の情報を家族にわかる形で残しておくと安心です。
- ANAマイレージクラブに加入していること
- お客様番号
- おおよそのマイル数
- 有効期限が近いマイルの有無
- 死亡時の問い合わせ先
公式規約は更新されることがあるため、実際の手続きではANA公式サイトの最新情報を確認しましょう。
JALマイルも相続手続きの規定がある
JALマイレージバンクでも、会員が亡くなった場合に、法定相続人が所定の手続きを行うことで、有効なマイルを相続できる旨の規定があります。
JALの場合も、手続きには会員番号や必要書類が関係します。家族が「JALマイルを持っていたこと」を知らなければ、そもそも問い合わせができません。
JALマイルを多く保有している人は、ANAと同じく、会員番号や残高の目安、家族カード・家族プログラムの登録状況などを整理しておきましょう。
クレジットカードのポイントは失効に注意
クレジットカードのポイントは、カード会員本人に付与される特典として扱われることが多く、会員死亡や退会によって失効するケースが少なくありません。
また、ポイントを第三者に譲渡したり、相続人に移したりすることを規約で制限しているサービスもあります。
そのため、クレジットカードのポイントは「亡くなった後に家族が引き継げる」と期待するより、元気なうちに使い切る、家族で使える商品券やマイルに交換する、請求額に充当するなど、早めに出口を考えておくのがおすすめです。
カードのポイントは、有効期限があるもの、退会で失効するもの、家族カード会員との合算ができないものなどがあります。カード会社ごとに規約が違うため、残高が多い場合は必ず個別に確認しましょう。
共通ポイントやスマホ決済ポイントも規約確認が必要
楽天ポイント、dポイント、Pontaポイント、Vポイントなどの共通ポイントも、相続できるかどうかは各社の規約次第です。
多くのポイントサービスでは、ポイントの譲渡、売買、換金、第三者利用を制限しています。会員死亡時の扱いが明確に書かれていない場合でも、退会やアカウント停止によってポイントが失効する可能性があります。
また、スマホ決済には「ポイント」と「残高」が混在しています。
ポイントは特典として失効する可能性がありますが、チャージ残高や電子マネー残高は、資金決済法やサービス規約に基づいて返金・相続の手続きが用意されている場合があります。
ポイントと残高を分けて考える
家族が亡くなった後の手続きでは、次のように分けて確認しましょう。
- ポイント:会員特典として失効する可能性がある
- マイル:航空会社の規約で承継手続きがある場合がある
- 電子マネー残高:返金や承継の手続きがある場合がある
- 証券口座や銀行口座の残高:通常の相続手続きの対象になる
スマホの中にある数字がすべて同じ扱いになるわけではありません。
マイルやポイントに相続税はかかる?
国税庁は、相続税がかかる財産について、現金や預貯金だけでなく、金銭に見積もることができる経済的価値のあるものも含むと説明しています。
この考え方からすると、相続人が実際に承継でき、経済的価値があるマイルやポイントは、相続財産として検討が必要になる可能性があります。
ただし、マイルやポイントの評価方法は一律にわかりやすいものではありません。1マイルを何円と見るのか、実際に使える範囲はどうか、失効期限はどうかなど、判断が難しいケースがあります。
高額なマイル・ポイントを相続する場合や、相続税申告が必要な家庭では、税務署や税理士に相談しましょう。
生前にできるマイル・ポイントの整理
終活として考えるなら、マイルやポイントは「相続させる」より「生前に使いやすく整理する」ほうが実務的です。
有効期限が近いものから使う
マイルやポイントは、有効期限があるものが多いです。
せっかく貯めても、使わないまま失効してしまっては意味がありません。旅行、商品交換、ギフト券、請求額充当など、使いやすい出口を決めておきましょう。
家族で使える形に交換する
本人しか使いにくいポイントは、家族旅行、日用品、商品券、電子マネー、請求額充当など、家族にとって使いやすい形に変えておくのも一つの方法です。
ただし、交換後の有効期限や利用制限には注意してください。
サービス一覧を作る
家族が一番困るのは、「どこに何があるかわからない」ことです。
エンディングノートやデジタル終活ノートに、次の情報を残しておきましょう。
- サービス名
- 会員番号や登録メールアドレス
- ポイント・マイル残高の目安
- 有効期限
- 死亡時の問い合わせ先
- 家族にしてほしい対応
パスワードそのものを紙に書いて放置するのは危険です。パスワード管理アプリの緊急アクセス機能、貸金庫、信頼できる家族への保管方法など、安全な形を考えましょう。
遺言書にマイルやポイントを書くべき?
マイルやポイントの残高が大きい場合、遺言書に記載することを検討してもよいでしょう。
ただし、遺言書に書いたからといって、各サービスの規約を超えて相続できるわけではありません。規約上、相続や譲渡ができないポイントは、遺言書に書いても実現できない可能性があります。
遺言書には、次のように「相続できるものは誰に承継させたいか」「サービスの存在を家族に知らせる」目的で書くのが現実的です。
- ANAマイル、JALマイルなど規約上承継できる可能性があるもの
- 高額な電子マネー残高やプリペイド残高
- ネット銀行・証券口座など通常の相続財産
自筆証書遺言を作る場合は、形式不備で無効にならないように注意が必要です。
家族が亡くなった後に確認すること
家族が亡くなった後、マイルやポイントがありそうな場合は、次の順番で確認しましょう。
- 財布のカード、スマホアプリ、メール、郵便物から利用サービスを確認する
- 航空会社、カード会社、ポイント会社の公式サイトで死亡時手続きを確認する
- 会員番号、死亡証明書、戸籍関係書類など必要書類を準備する
- 手続き期限があるものを優先する
- 相続税申告が必要な場合は、税理士に残高や評価の扱いを相談する
注意したいのは、本人のスマホやアカウントに家族が勝手にログインすることです。規約違反やトラブルになる可能性があります。手続きは、できるだけ公式窓口を通じて行いましょう。
マイル・ポイント終活チェックリスト
最後に、元気なうちに確認したいポイントをまとめます。
- ANA・JALなど航空会社マイルの残高を確認する
- クレジットカードポイントの有効期限を確認する
- 共通ポイントの残高と規約を確認する
- スマホ決済のポイントと残高を分けて確認する
- 使わないポイントは早めに交換・利用する
- 家族にサービス名と会員番号がわかるようにする
- 高額な残高がある場合は、遺言書や相続税の扱いも検討する
マイルやポイントの整理は、デジタル終活の一部です。少額だからと放置せず、家族が困らない形に整えておきましょう。
マイル・ポイントを多く貯めている人の注意点については、こちらの記事も参考になります。
マネーライフハック|クレジットカードのポイントや航空会社のマイルの相続。ポイント長者がしておくべき対策
まとめ マイル・ポイントは「貯める」より「残し方」を考える時代
マイルやポイントは、家族にとって見えにくい財産です。
- 相続できるかどうかは各サービスの規約次第
- ANA・JALマイルは死亡時の承継手続きが規約にある
- クレジットカードポイントや共通ポイントは失効に注意
- ポイントと電子マネー残高は扱いが異なる
- 相続税申告が必要な家庭では、価値のあるマイル・ポイントも相談対象になる
- 元気なうちに使う、一覧にする、家族に伝えることが大切
ポイントを貯める楽しみは、生活に小さな張り合いをくれます。
でも、終活の視点では「どれだけ貯めたか」だけでなく、「誰が存在に気づけるか」「期限内に手続きできるか」「家族が困らないか」まで考えておきたいところです。



