『仏間とはなにか? 新築時に仏間の設計するときの要点』で説明したように、家と仏間、仏間と仏壇とのバランスは非常に大切な事ですが、さらに仏壇に荘厳する本尊及び仏具とのバランスは、それ以上に重要だといえます。
仏壇に荘厳する本尊と仏具の調和が保たれてこそ、はじめて品格のある仏壇の安置ということが出来ます。
正しい荘厳と仏具を知る前に必要なこととは?
荘厳(仏像や仏堂を美しく、厳かに飾ること)
ここでは「五供」という言葉がキーワードになります。
その理由は、この「五供」を実践するための道具こそが仏具であるといえるからです。例えるならば、香炉・花立・火立・灯明・華瓶・仏飯器などがその一例です。
・香/線香・抹香
どちらでもお気に入りのものを使用してください。こちらは少量でも構いませんのでなるべく良いものを使うように心がけて下さい。
・花
臭いのきついものや、棘なのあるものは避けましょう。
華瓶を使用する宗派であれば、“しきみの葉”を立てて下さい。華瓶はお水上げとも呼ばれていて“しきみ”は毒を消すとも言われています。
花瓶の花とともにお水も一日一回は変えるようにしましょう。
・灯明
蝋燭の火を灯すことに象徴されます仏の智恵・慈愛の表れとも云われています。
尚、火を消す際に息を吹きかけて消してはいけません。必ず団扇か専用の火消しを使うようにしましょう。
・浄水
仏様に供える水(清浄水)ともいわれ、供養する私たちの身の心をも清めるとされています。
・飲食
日常のお務めでお仏飯を供えることをいいますが、季節のものやお土産で頂いた名産品などをお供えすることも含まれています。
尚、生ものや臭いのきついものは避けましょう。
さらに意外に思われるかもしれませんが、朝はパン食だという家庭では仏飯器にパンをよそってお供えしても問題ありません。
毎日のお努めの基本となる「五供」を実践していくことが大切で、それはすなわち、香・花・灯明・浄水・飲食の供養を欠かさず続けていくことなのです。
仏具の種類は35種類 そのすべてを解説
- 吊灯篭/六角型、隠元型等、種類が多くあります。用途として仏壇の中を明るくする他、中尊前の照明に使われます。使い方は、電気配線をして、天井から吊り下げます。
注意する点として低くなり過ぎないようにバランスを考え、後門柱の中心に合わせるように多少幅広に取付るようにしてください。なお、小型仏壇に使用するのは難しいということも付け加えておきます。 - 瓔珞(ようらく)/花弁をつなぎ合わせたようなイメージで、金箔押しと金具で作られたものがあります。設置個所は空殿の隅木先端です。ほとんどの宗派で空殿及び厨子の荘厳のため使用していますが、真宗大谷派(東)では形状が多少異なり、輪灯の笠の上に掛けて使用します。
- 幢幡(どうばん)/浄土真宗以外で使用されるもので、金箔押し、瓔珞下りの重厚な仏具です。こちらは、吊灯篭よりも外側に吊り下げます。
- 輪灯(りんとう)/古くは仏壇にも植物性の油に灯芯を差して使用していましたが、現在ではそのほとんどは電気配線をしています。設置個所と注意点ですが、花瓶の真横に吊るし、花瓶の高さに輪灯油皿の底部を合わせるようにしましょう。
その材質は真鍮が使用されていて、浄土真宗(西・東)では入念に磨いて、手入れを怠らないように務めましょう。 - 台灯篭/床に置いて使用する電気配線の灯篭です。
- 戸帳(とちょう)/空殿、厨子を荘厳するために金襴で織られた内掛のことです。
- 金華鬉/宝相華唐草の透かし彫りを施した花飾りのような美しい仏具です。取付場所は戸帳の中央上部で、その材質は銅または真鍮で作られて、全鍍金が施されています。
- 上卓(うわじょく)/正式には須弥壇の上、空殿、礼盤の前に安置します。仕様は金箔押しと塗仕上げの二通りあります。
- 四具足/(火舎香炉、華瓶一対、火立)真鍮製と唐金宣徳色のものがあり、上卓の上に荘厳します。また、火立には朱色の木蝋を立てます)
- 仏飯器/一対を華瓶の間に置き、上卓の上に荘厳します。
- 茶湯器/陶器製が一般的で、お茶を入れ供えます。
- 供笥(くげ)/お餅上げともいわれていて、六角型と八角型があり、金箔押しと唐草彩色入の二通りがあります。
- 段盛/みかん、りんごなどの果物を飾ります。
- 高坏(たかつき)/朱塗が一般的で、和菓子や果物の下に和紙を敷き供えます。
- 霊供膳(れいぐぜん)/お盆、彼岸、法事等にお供します。ちなみに精進料理であることは言うまでもありません。
- 前机/五具足を置くための机で原則として須弥壇の前(中段)に置きますが、仏壇の形状によっては下段に置くこともあります。また、法事の時には天板の下に水引、打敷などを掛け、荘厳します。(上卓も同様)
- 香炉/五具足であれば当然金物ですが、宗派によっては土香炉を使う場合があります。
- 花瓶/五具足で使う場合は一対で使用します。材質は真鍮製、または唐金製であれば、色合いは宣徳色、煮色の二通りです。
- 燭台/五具足で使う場合は一対で使用します。材質、色合いとも花瓶と同様です。
- 仏器台/梅型が一般的で、仏飯器の下に置きます。
- 香炉台/梅型が一般的で、香炉の下に置きます。
- 文章箱・和讃箱/浄土真宗本願寺派で使用します。黒塗り、面金で、宗紋入の仕様になります。
- 経机(きょうづくえ)/経本を置くための机です。
- 丸錀一式/錀・錀台・金襴布団・錀棒
- 木魚/お経の時に使います。
- 木柾(もくしょう)/日蓮宗で使用します。
- 導師座布団/お寺様にお経をあげて頂くときに使用します。
- 香合(こうごう)/黒塗り、溜塗り、虫喰塗りがあり、抹香いれのことです。
- 仏器差(ぶっきさし)/お仏飯をあげるための仏具です。
- 給仕箱/お仏飯を台所から仏間に運ぶための仏飯器入れのことです。
- 蝋燭消/団扇状のものと金属で出来たものがあります。
- 線香・蝋燭・火消箱/小さな仏具で仏前の整理に困るものですが、この三つの要素を一つの箱型にしたものがあります。
- 念珠/正式には百八の珠数ですが、略式の五十四・三十六、それと珠の大きさによっては二十七のものもあり、その種類も金剛菩提、星月菩提などの木の実や珊瑚、瑪瑙など多岐にわたります。
- 念珠掛/使用していない念珠を掛けておくための塗り物の仏具です。
- 念珠袋/念珠を持ち歩くための金襴の入れ物です。
まとめ
仏具とは、仏様を供養するために役割を持って生まれた道具ということを理解して頂くことが重要な事です。