現代社会では、食生活や薬、医学の進歩により、80歳を超えても元気なおじいちゃんおばあちゃんはたくさんいます。おじいちゃんおばあちゃん自身だけでなく、その子供や孫、親族もまだ元気だろうと思うことでしょう。
しかし別れはいきなり来るものです。通夜、葬式そしてお別れ…そんな風に思うかもしれませんが、悲しみに暮れる暇もなく亡くなられた方に対する多くの手続きや整理ををしなくてはならないのです。
自分が亡くなった時親族に大変な思いをさせないためにはどうすれば、または近しい親族が亡くなった際にどのようなことを残された親族はしなければならないのでしょうか。
おばあちゃんの力作、自編みのセーター。おばあちゃんはとても大事にしているのでしょう。しかし家族からしたらこれは大事なものなのでしょうか。仮に優しい親族でおばあちゃんが亡くなった時にセーターを残したとしても、ほとんどは処分品となるでしょう。
人によって大事なものは変わるものです。かつての思い出の品、自分が頑張って作ったものは自分が亡くなった後でも残してほしいと思うことでしょう。しかし残された親族は故人のものをそのままにしとくわけにはいきません。
また貴重品や家具、土地などといった一般的に価値があるものは欲しがる人も多いでしょう。このような相続財産のトラブルは、故人の思い届かず起こるものです。
私の息子、娘たちは私を理解している。そうした気持ちもあると思いますが、誰もが心地よく葬式を終わらせるため、自分の望む死後を近づけていくために、生前に本心をしっかりと主張して、形見分けのための生前整理をする必要があります。
もくじ
生前整理のすすめ
おばあさんはヒツジにもしもの時を尋ねられ、生前整理をすることにしました。
テレビやドラマでトラブルとなる相続財産。私の家は財産と呼べるものはないと思っているかもしれませんが財産にはさまざまあります。
- 不動産(土地、建物、マンション、賃貸不動産)
- 現預金(現金、預金、貯金)
- 有価証券類(国債、株式、投資信託、会員権)
- 家財道具、骨董品、貴金属、特許権等
これらの相続財産はよく聞くものばかりであり、一般的に相続人の利益となるためプラスの財産といわれます。
- 借金(銀行ローン、キャッシングローン)
- 債務(カード購入商品の支払い、保証債務)
- 税金(固定資産税、住民税)
一方、これらの財産は相続人が不利益となるため、マイナスの財産といわれます。相続人は例え不利益であろうとも、故人の保証人としての義務も継承しなければならないのです。
遺族間でトラブルが生じないように、遺産分割は生前のうちにだれもが納得するようにできることが最も望ましいです。遺族のうち相続人全員が集まらない場合は、遺言書等で確実に記載しておくのがよいです。
トラブルの大きな原因である相続財産の遺産分割を終えたならば、次は自分の思い出の遺品整理へ移りましょう。
生前整理は思った以上に整理するものがたくさんあります。高齢者一人での整理や処分は過酷なものとなるでしょう。近くに親族、手を貸してくれる人がいないのであれば遺品の整理を手伝ってくれる遺品整理業者に頼むのが良いです。
依頼者の家から出た意外な大きな遺品の整理のみならず、それらの処分もしてくれます。また価値があるけど相続しようと考えていないものは、依頼者が売る形で業者が引き取ってくれるなど生前整理やその後の遺産相続の手間がやや省けます。
思い出の品の形見分けにエンディングノートを書こう
生前整理を続けているおばあさんとヒツジ。しかしおばあさんの思い出の品はなかなか整理されません。
自分の生きた証として、思い出の品は捨てれない高齢者は多くいるでしょう。
また、先祖代々引き継いできたものなども子どもたちにはしっかりと引き継いでほしいところですよね。
生前整理してる人は、何が自分の死後も残していきたいのかを明確にしなければならないのです。そこでエンディングノートを書くことが高齢者の生前整理をスムーズにさせます。
エンディングノートって?遺言書?と思う方もいるかもしれませんが相続や、故人の別れの言葉などの重いものではありません。自分自身の紹介文、または過去の人生の日記を書けばいいのです。だからといって決まった書き方もありません。
一般的には以下のような項目を書くことが多いです。詳しくは関連記事もご一読ください。
- 生年月日、本籍などの戸籍情報
- 好きな食べ物や趣味、特技といった自分の心情
- 学歴や職歴などの経歴
- インターネットや携帯電話などの契約サービス、クレジットカード契約情報
- ライフイベントの振り返り
- ペットの状態
- 病気やアレルギー等の健康状態
- 友人の連絡先
- 葬儀、お墓のこと
- 子供や孫などに引き継いでほしいこと
- 貯金通帳、貴重品のある場所及びパスワード
これらの例は大きく2点のことに役立ちます。
1点目は先ほど述べた自身の思い出の整理です。
好きな食べ物や趣味、特技といった自分の心情や学歴や職歴などの経歴、ライフイベントの振り返りを書き連ねていくことで、自分が何を大事にしてきたか、何を残したいかが明確にわかるようになります。
これにより、遺すまでもないモノの処分にもつながるかもしれません。
逆に、自分が大切にしてきたもの、先祖から引き継いできたものなどを残しておくことで遺族は、それを間違って破棄してしまったりせずに、スムーズに形見分けができることでしょう。
2点目は遺族のトラブルを少なくすることです。
死後、遺族は故人が死亡したことを役所に届けなければなりません。その際故人に対する多くの情報の開示と、その処理が思った以上に労力を使うのです。
故人がもし本籍を何度か変えたりしていた場合は、変えた本籍の役所全てに問い合わせたりする必要もでてきます。故に遺族が大変にならないよう、自身の生年月日、本籍などの戸籍情報も相続財産と同じように明記しておくことがよいといえます。
また故人が月ごとに支払っていたサービスや、クレジットカードの解約を容易にもれなくできるよう、インターネットや携帯電話などの契約サービス、クレジットカード契約情報も細部までは書かずとも、どのようなものに入っていたかなどは記入しとくと遺族も労力が少なく済むでしょう。
これ以外でも自分がなつかしく思うもの箇条書きで書いたり、遺族が困らないような情報を書いておくことが大切です。
死後、遺族のやること、ひとりで悩まない!
おばあさんは生前整理を行った1年後、急遽体調が悪化帰らぬ人となりました。生前整理により遺族間で大きなトラブルがおこることなく葬式が終わりました。
故人がしっかり生前整理をしてくれていても、こんなとこにと意外なものがあったりします。もしそれがおばあさんのような相続遺産であった場合、遺族は遺品査定士を活用するのが良いでしょう。
遺品査定士は「生前整理のすすめ」で供述した遺品整理業者とは異なり、遺品整理の知識のみならず査定及び買取と法令に関する知識、理解を兼ねそろえています。また、遺品の買取に関わる様々なジャンルの鑑定士と話し合いながた遺品整理を行い、法、行政に従い遺品相続の不正を防止するため、遺族がトラブルなく安心して遺品を継ぐことができます。
ちなみに遺品整理士も遺品査定士も資格があり、今日では国の高齢化に伴い国家資格化が叫ばれており、安心して任せられる業種であるといえます。
死後の整理は一人では大変です。遺族と協力して取り組んでいきましょう。また遺品査定士の他にもお金はかかりますが、書類作成や相談で行政書士や弁護士など業者の力をかりることは、遺族の労力を抑え、速やかな日常生活への復帰を可能にします。
相続にはどのくらいの費用がかかるのか
相続には相続税が基本かかります。ちなみに平成29年4月1日の法令では、相続額3000万円+600万円×相続人の数が税金のかからない範囲であり、相続人の人数によって変わります。
3000万円+600万円×1人=3600万円
3000万円+600万円×5人=6000万円
となります。
正直土地代を含めても一般家庭ではあまり超える額ではないかもしれません。しかしもし多額の財産を残していたり、土地や不動産※を多く持っていて上記の額を超えたならば、相続財産が多いほど相続税は増えていくのです。
※居住用の土地に関しては税の優遇があります。
また相続の際には相続税がかかりますが、生前整理により生きてる間に財産を贈与した場合は贈与税がかかります。状況によっては生前贈与をするほうが贈与税が相続税よりも少なくてすむこともあるので、生前整理の際に遺品査定士に確認するのが望ましいでしょう。
うちは借金があった、債務超過がこんなに…なんて遺族には相続放棄という方法もあります。相続放棄は例えマイナスの財産があったとしても支払いをしなくてよくなります。相続放棄の受付期間は故人の死亡を確認してから3カ月間までなので注意してください。
一方相続放棄の不利点は、プラスの財産も相続できないこと、一度相続放棄を選択したら取り消せないことです。特にプラスの財産を相続できないことは、土地や不動産もかかわってくるので、遺品査定士や弁護士と相談して決定することが望ましいでしょう。
まとめ
生前整理は、自分の気持ちをどれだけ残された親族にしっかりと伝えることができるかが重要です。遺言書の遺産分割から、エンディングノートの内容まで、書きすぎて困ることは一切ありません。
遺言書の信用性が大丈夫なのか、遺品の処分についてはどうすればいいのかなどはすすんで弁護士、遺品査定士などの専門業者に相談、代行してもらいましょう。
また法令によるお金や相続期間の案件は、各故人の状況により期間が異なります。相談や権利の施行をする場合には受付可能期間やかかる時間を考慮して、優先順位をつけて行っていきましょう。
積極的な自身の思いの伝達が自身の死後、残された人たちをトラブルに向かわせないのです。ただし生前からの親族間とのつながりの強さが、最もトラブルを起こさせないために大切なのかもしれません。