「子どもが結婚する気配がない」「自分たちが元気なうちに、将来を一緒に考えたい」「このまま一人で大丈夫なのだろうか」
未婚の子どもを持つ親世代の中には、こうした不安から代理婚活に関心を持つ方がいます。
代理婚活とは、本人の代わりに親が婚活イベントや相談会に参加し、相手方の親と情報交換をする婚活の形です。昔のお見合いに近い面もありますが、現在は本人の意思、個人情報、契約トラブル、親子関係への配慮が欠かせません。
この記事では、代理婚活とは何か、親世代が関心を持つ理由、メリット・デメリット、参加前に本人と確認すべきこと、婚活サービス契約で注意したいポイントを終活目線で解説します。
代理婚活とは?親が参加する婚活の仕組み
代理婚活とは、未婚の子どもに代わって親が婚活イベントや相談会に参加し、相手方の親と子どものプロフィールを交換したり、結婚観を確認したりする活動です。
一般的な流れは、次のような形です。
- 親が代理婚活イベントや相談所の説明を受ける
- 本人の同意を得て、プロフィールや写真を準備する
- 親同士がイベントで情報交換する
- 双方の親が「合いそう」と感じた場合、本人へ話を持ち帰る
- 本人同士が会うかどうかを判断する
ポイントは、親がきっかけを作るだけで、最終的に会うかどうか、交際するかどうか、結婚するかどうかは本人が決めるということです。
代理婚活は「親が子どもの結婚相手を決める活動」ではありません。本人が望んでいないのに進めると、親子関係の悪化や個人情報トラブルにつながるおそれがあります。
代理婚活が注目される背景
代理婚活が話題になる背景には、未婚化、晩婚化、親世代の高齢化があります。
国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査では、未婚者の結婚意向や交際状況などが継続的に調査されています。結婚を望む人がいる一方で、出会いの機会、仕事、経済面、価値観の変化などにより、結婚に至らないケースもあります。
参考:国立社会保障・人口問題研究所|第16回出生動向基本調査 報告書
親世代が代理婚活に関心を持つ理由には、次のようなものがあります。
- 子どもが結婚したいのに出会いがないように見える
- 子どもが婚活に消極的で心配
- 親が高齢になり、子どもの将来を案じている
- 自分たちの死後、子どもが一人で困らないか不安
- 孫を見たいという気持ちがある
こうした気持ちは自然な親心でもあります。ただし、「親の安心」と「子どもの人生」は同じではありません。終活の一環として考えるなら、子どもの人生を親の不安解消の材料にしないことが大切です。
代理婚活は終活なのか?
代理婚活を「終活の一つ」と呼ぶ場合があります。
たしかに、親が元気なうちに家族の将来を考えるという意味では、終活と重なる部分があります。終活は、葬儀やお墓だけでなく、家族が困らないように準備することでもあるからです。
しかし、代理婚活は子どもの人生に直接関わるテーマです。
親ができる終活は、子どもを結婚させることではなく、以下のような「親自身の準備」を整えることです。
- 自分の老後資金を整理する
- 介護や医療の希望を家族に伝える
- 葬儀、お墓、相続の希望を残す
- 子どもに過度な経済的・心理的負担を残さない
- 親子で将来について話し合える関係を作る
終活ノートに、自分の希望や連絡先を整理しておくことも大切です。
親が自分の終活を整えたうえで、子ども本人が「婚活をしたい」「親にも協力してほしい」と望むなら、代理婚活は選択肢の一つになります。
代理婚活のメリット
本人の同意があり、親子で目的を共有できている場合、代理婚活には一定のメリットがあります。
親同士が家庭観を確認しやすい
親同士が話すことで、家族観、結婚後の距離感、親の介護への考え方、地域や転勤への理解など、本人同士では最初に聞きにくい話題を確認しやすい場合があります。
本人が婚活の一歩を踏み出しやすい
婚活に興味はあるものの、イベント参加や相談所登録に抵抗がある人にとって、親が最初の情報収集を手伝うことで、動き出すきっかけになることがあります。
家族の理解を得やすい
結婚を考えるとき、本人同士だけでなく家族の理解が必要になる場面もあります。
親同士が早い段階で顔を合わせていることで、相手家族への不安が少し和らぐこともあります。
代理婚活のデメリットと注意点
一方で、代理婚活には見落としてはいけないデメリットがあります。
本人の意思が置き去りになりやすい
代理婚活でもっとも大きな問題は、本人の意思が置き去りになることです。
親同士が盛り上がっても、本人が会いたくない、結婚したくない、今は婚活したくないと考えている場合、その話は進めるべきではありません。
プロフィール情報が条件だけで見られやすい
代理婚活では、年齢、職業、年収、学歴、居住地、家族構成などが先に見られがちです。
条件だけで判断されると、本人の人柄、価値観、生活感、相性が後回しになってしまいます。
親の希望が強くなりすぎる
「こういう相手がよい」「この条件は譲れない」と親の希望が強くなると、本人にとって苦しい婚活になります。
親にとってよい相手と、本人にとってよい相手は同じとは限りません。
個人情報や写真の扱いに注意が必要
代理婚活では、本人のプロフィールや写真を扱います。
本人の同意なく写真や勤務先、年収、住所、病歴、離婚歴などを相手に伝えることは避けるべきです。個人情報の扱いは慎重にしましょう。
参加前に親子で確認したいこと
代理婚活を考える前に、親子で次の点を確認しましょう。
- 本人は結婚を望んでいるか
- 親に婚活を手伝ってほしいと思っているか
- どこまで親が関わってよいか
- プロフィールや写真を出してよい範囲
- 相手に伝えてよい情報、伝えたくない情報
- 親が勝手に断らない、勝手に進めないルール
- 費用を誰が負担するか
- うまくいかなかった時に責めないこと
親子で話し合うときは、「結婚しなさい」と迫るのではなく、「将来について何か手伝えることはあるか」と聞くほうが受け止められやすいでしょう。
婚活サービス契約で注意したいポイント
代理婚活イベントや結婚相談所を利用する場合、契約内容の確認も重要です。
結婚相手紹介サービスは、一定の条件を満たす場合、特定商取引法の「特定継続的役務提供」に該当します。契約書面、クーリング・オフ、中途解約などに関するルールがあります。
契約前には、以下を確認しましょう。
- 入会金、登録料、月会費、イベント参加費、成婚料
- 代理婚活イベントだけの費用か、相談所入会費用も含むのか
- 紹介人数やサポート内容
- 中途解約時の返金ルール
- 本人確認や独身証明の確認方法
- 個人情報の利用範囲
- 親だけで契約できるのか、本人の同意が必要か
- 勧誘が強い場合に断れるか
その場で契約を急がせる、料金の総額が分かりにくい、返金条件が曖昧、本人の同意確認が甘い場合は、慎重に判断しましょう。
代理婚活を終活として考えるなら
親世代が代理婚活に関心を持つ背景には、「自分たちがいなくなった後、子どもが困らないか」という不安があります。
ただ、子どもの結婚だけが将来不安の解決ではありません。
親としてできる終活には、次のようなものがあります。
- 自分の介護や医療の希望を整理する
- 相続や遺言を整える
- 実家や不動産の方針を決める
- 死後事務や葬儀の希望を残す
- 子どもに過度な負担を残さない
- 子どもの人生を尊重しながら、困った時に相談できる関係を作る
おひとりさま終活や死後事務の考え方は、子どもが未婚かどうかに関係なく参考になります。
財産管理や認知症への備えは、家族信託や成年後見の記事も参考になります。
また、終活で家族に残す情報を整理するなら、マネーライフハックのエンディングノート記事も参考になります。
参考:マネーライフハック|エンディングノートの書き方と書くべき項目・例文の紹介
代理婚活のよくある質問
本人に内緒で代理婚活に参加してもよいですか?
おすすめできません。
本人の写真やプロフィール、職業、年収などを扱うため、本人の同意が大前提です。内緒で進めると、親子関係の悪化や個人情報トラブルにつながるおそれがあります。
親が費用を出せば、本人が本気になるでしょうか?
費用を出すだけで本人の気持ちが変わるとは限りません。
むしろ、親が費用を出したことで「親の期待に応えなければ」と負担に感じることもあります。費用負担は、本人の意思を確認したうえで話し合いましょう。
代理婚活で相手の条件を細かく聞いてもよいですか?
結婚に関わる大切な情報を確認すること自体は必要です。
ただし、年収、学歴、家族構成などの条件だけで判断しすぎると、本人同士の相性や価値観を見落とします。親が条件を聞く場合も、本人が何を大切にしているかを優先しましょう。
代理婚活はどんな家庭に向いていますか?
本人が結婚を望んでおり、親の協力を受け入れていて、親子で情報共有の範囲を決められる家庭に向いています。
本人が婚活を望んでいない、親子で話し合いができない、親の希望が強すぎる場合は、代理婚活よりもまず親子の対話が必要です。
まとめ|代理婚活は本人の同意と親子の対話が前提
代理婚活について、終活目線で解説しました。
- 代理婚活は、親がきっかけを作る婚活の形
- 本人の同意なしにプロフィールや写真を出すのは避ける
- 親同士が情報交換できる一方、本人の意思が置き去りになりやすい
- 婚活サービス契約では費用、解約、個人情報、本人確認を確認する
- 終活として大切なのは、子どもを結婚させることより、親自身の準備を整えること
- 代理婚活をするなら、親子でルールを決め、本人の人生を尊重する
親が子どもの将来を心配する気持ちは自然です。
しかし、代理婚活は「親の最後の仕事」として押しつけるものではありません。本人の希望を聞き、親ができることと、踏み込んではいけないことを分けることが大切です。
終活としてまず取り組みたいのは、親自身の老後、介護、相続、葬儀、住まいの準備を整えること。そのうえで、子どもが望むなら、婚活をそっと支えるくらいの距離感がちょうどよいのではないでしょうか。
親子で将来を話し合う準備として、以下の記事も参考になります。



