「塔婆料の相場がわからない。」
「塔婆ってなんのためにあるの?」
「塔婆料の包み方が知りたい」
このようなお悩みをお持ちかと思います。
お墓は高額なため、建てただけで満足してしまう方も多いのですが、塔婆を立てることで善いこともあるのをご存知でしょうか。
この記事では、塔婆を立てるにあたり次のポイントを説明していきます。
- 塔婆料の相場
- 塔婆の意味
- 塔婆に関するマナー
これら3点を中心に、塔婆の基本をマスターしていきましょう。
もくじ
塔婆料の相場はいくら?
塔婆料の相場の目安は、1本3,000円〜5,000円です。
故人1人に対して、1本であるため、塔婆を立てるためにかかる費用は、3,000円〜5,000円となります。
ただし、この塔婆料は依頼するお寺や霊園、お坊さんによって異なりますので、あらかじめ塔婆料の金額を確認しておきましょう。
塔婆は故人の供養のために立てるもので「善い行い」
そもそも塔婆(とうば)とは、お墓の後ろに立てられている、長さ2m弱の細長い木の板のことです。
この塔婆は故人や先祖を供養する追善供養のために立てかけられています。
また、塔婆は卒塔婆(そとば)の略であり、塔婆も卒塔婆も同じ意味です。
そのため、塔婆を立てることを卒塔婆供養(そとばくよう)とも呼びます。
塔婆を立てることは仏教では「善」とされています。
この塔婆を立てることは、故人の冥福につながると考えられているためです。
ゆえに、「塔婆を立てること」=「善を積むこと」を意味します。
したがって、塔婆を立てる行いは「善い行い」とされ、功徳になるとされているのです。
塔婆の起源
塔婆(とうば)は古代インドで仏塔を意味するサンスクリット語「ストゥーバ」を漢訳した単語です。
塔婆の原型である卒塔婆(そとば)の方が「ストゥーバ」の発音と近いですね。
このように塔婆は古代インドのサンスクリットに起源を持っているのです。
また、仏教では宇宙のすべてのものが「空」「風」「火」「水」「地」の5元素からなるとされています。
この5元素が塔婆上部にある刻みの由来です。
塔婆料の扱い
塔婆料はお坊さんに依頼して、塔婆に文字を書いてもらう際に発生する「料金」で、気持ちを示す「お布施」とは異なります。
ゆえに、塔婆料はお寺やお坊さんから「請求されるもの」と扱われるのです。
塔婆を立てる人
塔婆は故人と親しい関係の方や希望する方が立てます。
塔婆を立てたい場合は、法事や供養をする主役施主に申し出ましょう。
なぜなら、塔婆は立てたい人がお寺や霊園、お坊さんにお金を渡すなどして直接依頼するわけではなく、「施主がお金をまとめてからお寺に依頼する」ためです。
ゆえに、施主に塔婆料の金額を確認しておくと良いでしょう。
塔婆を立てるタイミング
塔婆を立てるタイミングはいつでも良いですが、ほかの供養のタイミングで立てるケースが多いです。
例えば、次のような供養のタイミングで立てます。
- 法要(49日、1周忌、納骨式)
- 祥月命日(毎年の命日)
- お盆・お彼岸
これらの供養の1週間前位には、お寺などに塔婆を立てるように依頼しておき、お墓をお参りする当日に塔婆を受け取ります。
塔婆はすぐ完成するものではないので、1週間の準備期間が必要というわけですね。
依頼の際にはまだ塔婆料を支払う必要はありません。
塔婆が古くなったら、法要のタイミングで交換します。
仏教の宗派・浄土真宗では塔婆を立てない
仏教の宗派・浄土真宗では塔婆を立てません。
理由は、追善供養の考え方がないためです。
塔婆は施主が法要などのタイミングに合わせて、故人や先祖を供養する追善供養として立てるものでしたね。
この追善供養は、供養を行い冥福を祈ることで良い所に行ってほしいと願うものです。
要するに、「成仏してください」と願うことですね。
浄土真宗では、この追善供養の考え方が存在せず、阿弥陀仏の力を信じてこそ亡くなった特に極楽浄土に行けるとされています。
つまり、浄土真宗では亡くなった際は阿弥陀仏の力を信じればよいだけなので、追善供養として成仏を願うまでする必要ないのです。
このように、浄土真宗は塔婆を立てない宗派ですので、塔婆を立てる際は宗派をよく確認しておきましょう。
塔婆料と卒塔婆供養に関するマナー
塔婆料と卒塔婆供養には以下のようなマナーがあり、お寺や霊園に塔婆の作成を依頼する際には気になるところでしょう。
- 塔婆料の封筒
- 塔婆料の封筒の書き方
- 塔婆料のお金の入れ方
- 塔婆料の渡し方
1つずつ解説していきます。
塔婆料の封筒
塔婆料を入れる封筒は、次のいずれかを使用しましょう。
- 水引きのない不祝儀袋
- 白無地の封筒
この2つのうちいずれかに、塔婆料を入れて渡すのがマナーとなっています。
なかにはすでに塔婆料と記載されている不祝儀袋も存在しますよ。
塔婆料の封筒の書き方
塔婆料で封筒に文字を書く際は、毛筆または筆ペンを使用しましょう。
表書き、封筒の中、裏書きについて解説していきます。
表書き
塔婆料を入れる封筒の表書きには、縦書きで次のいずれかを記載します。
「御塔婆料」
「塔婆料」
「塔婆代」
塔婆に関する代金と依頼先にわかるように書いてあれば大丈夫です。
塔婆料の封筒の表書きに「お布施」と記載しても間違いではありません。
ただし、塔婆料は気持ちを示す「お布施」とは異なり、塔婆を作ってもらう代金です。
ゆえに、「お布施」と「塔婆料」は別々にした方が、塔婆料を受け取る側にも親切な形式となります。
したがって、「お布施」と「塔婆料」の封筒は分けて、作成しましょう。
縦書きで「御塔婆料」などと記載してたら、その下に施主の名前を小さめに記載します。
また、複数人で塔婆料を出し合って塔婆を立てる際は、全員分をまとめて、「○○家」と記載しましょう。
封筒の中
中袋がある場合は、「金○○円」と記載します。
金額は漢数字の旧字体を用いましょう。
例えば、塔婆料として10,000円を支払う場合は、「金壱萬円」となります。
7,000円を支払う場合は、「金七仟円」です。
このように、中袋には漢数字の金額を記載しなくてはいけません。
また、複数人で塔婆を立てる際は、塔婆名簿として、封筒の中にお金を出した全員の名前を記入したメモを入れておきます。
メモには「○○家塔婆建立者」と記載すると、塔婆名簿としてわかりやすいです。
裏書き
封筒の裏には、左下に自分の氏名・住所を記載します。
封筒の口に「〆」で封をすれば、塔婆料の封筒は完成です。
中袋が付いている不祝儀袋ならば、「〆」で封をする必要はありませんよ。
塔婆料のお金の入れ方
塔婆料として紙幣を入れる時は、紙幣の表を上にして、紙幣の肖像が封筒の上部に来るように入れましょう。
塔婆料の渡し方
塔婆料は卒塔婆供養を一緒に行う法要(49日、1周忌など)の日に、お坊さんに渡します。
法要の前後の空き時間にお坊さんに挨拶することになるので、そのタイミングでお布施と塔婆料を渡しましょう。
現在は封筒や不祝儀袋に塔婆料を入れて、お寺や霊園に渡す渡し方が多いです。
しかし、塔婆料は元々、封筒ではなく半紙でお金を包み、さらに奉書紙(ほうしょし)で包んで僧侶に渡していました。
奉書紙は、和紙の一種で、楮(こうぞ)を原料として作られた白い厚紙のことです。
現代でも、塔婆料を奉書紙に包んで渡す渡し方が最も丁寧とされています。
塔婆料は奉書紙で包んでも、封筒や不祝儀袋に入れてもどちらでもマナーとして正しいので、好きな形式で渡しましょう。
古い塔婆の交換
古くなった塔婆は新しい塔婆と交換することもあります。
塔婆は雨風にさらされ、時間の経過とともに黒ずんでいき、お墓の見た目が悪くなりかねません。
古くなったらすぐに処分してしまっても良いです。
交換のタイミングは、「汚れて黒ずんだら」で良いですが、決まりはないので「少し汚れただけでも交換したい」「面倒だからしばらくは交換しない」など各自の判断で処分できます。
処分する際は、墓地に設けられた塔婆の処分場があるので、遠場はそちらに置いておきましょう。
さらに、塔婆は燃えるゴミとしても処分可能です。
新しい塔婆はお寺や霊園などに依頼して、法要の1週間前に依頼して作成してもらい、法要のタイミングで塔婆料を渡しましょう。
このように、古くなったら塔婆は交換することができるのです。
まとめ
塔婆料の相場の目安は、1本3,000円〜5,000円です。
そもそも塔婆は施主が法要などのタイミングに合わせて、故人や先祖を供養する追善供養として立てるものでしたね。
塔婆を立てることは「善い行い」とされています。
仏教の宗派・浄土真宗ではこの追善供養の考え方がないため、塔婆を立てません。
また、塔婆料は封筒の書き方、渡し方が存在しており、ただ単にお金を封筒に入れて渡すだけではマナー違反になってしまうかもしれませんよ。
最後に、塔婆は古くなってしまったら交換しましょう。
塔婆を立てることは故人の善のためにも、私たちの善のためにもなります。
この記事を参考に塔婆を立てましょう。