自身の菩提寺を知らない、またはお寺そのものと付き合いが無い。
そういう方も多いのではないでしょうか?
ここでは、初めてお寺と接するときに知っておきたいことや、注意すべきことなどをお伝えします。
もくじ
宗派ごとに違う住職と奥様の呼び方等
- 天台宗/和尚(かしょう)/大黒(だいこく)
- 真言宗/院家(いんげ)・和尚(わじょう)/坊守(ぼうもり)
- 臨済宗/方丈(ほうじょう)・和尚(おしょう)/大黒
- 曹洞宗/方丈/大黒
- 日蓮宗/上人(しょうにん)/寺庭(じてい)
- 浄土宗/上人/寺庭婦人(じていふじん)
- 浄土真宗本願寺派/院家/坊守
- 真宗大谷派/院家/坊守
また、お寺の家族のことを寺族、お寺の親戚のことを法累と言います。
※浄土真宗(西・東)では代々お世話になるお寺のことを手続寺、他の宗派で言う檀家のことを門徒といいます。
お寺と檀家の関係性とは
本来お寺(菩提寺)とは檀家より布施をうけ、寺院経営を行い檀家に仏法を説き教え導く事だけでなく、亡くなった方の為に葬儀、法要などを行います。
この様な法務を介して寺檀関係は成り立っているのです。又、檀家はお寺の墓地や納骨堂を一般の方よりも優先して利用しやすくなる事などもあります。
お寺の年中行事を知っておこう
お寺と付き合っていく中で、お寺の年中行事を知ることはとても大事なことですので、代表的な行事を紹介します。
春・秋の彼岸、お盆、花祭り、成道会、涅槃会、除夜会、修正会が一般的な行事です。
その他にも宗派独自に行うものも有りますが、どの宗派も年に十数回は行なわれています。
彼岸
春分・秋分の日をはさんで、前後一週間を彼岸と言います。
この時期は、昼と夜の長さが同じになり、仏教で言う中道と同じ意味になる事から日本独自の風習として広まったものです。
お盆
八月十三日から十六日、地獄の釜の蓋が開き先祖の霊が帰って来る日、ご存知の様にお寺さんが一年で一番忙しい日です。
花祭り
四月八日、灌仏会、降誕会と同じ意味で、お釈迦様の誕生を祝う日です。
成道会
十二月八日、お釈迦様が菩提樹の下で悟りを開き、仏陀となった事を祝う日です。
涅槃会
二月十五日、お釈迦様が入滅された日です。
除夜会
十二月三十一日、煩悩を祓うため、百八回の梵鐘をつき新しい年の幸を祈ります。
修正会
一月一日から三日、国家安寧を祈る正月の法会です。
この様に行事だけでもこれだけの予定がありますが、実際の所一つの行事を行う為の準備、後片付けなどをこなすだけで一年が過ぎてしまう程、お寺は忙しいのです。
檀家であれば、義務とは言いませんがある程度の行事に出席を求められる事となり、お寺との付き合いも結構大変と言えます。
寺檀関係の確立から現代の状況まで
江戸時代に寺檀関係が確立して以来、日本人はこうしたお寺との付き合いを続けてきました。
自分が出席出来ない時などは、家族と役割を分担し合ってお寺との良好な関係を維持して来たわけです。
当時の時代背景を思えば庶民にもそうした付き合いを続ける必要があったと想像できます。
ここまでを見ると、檀家になると大変だと思われるでしょうが現代ではそういう関係も薄れてきています。
当時では考えられなかった、離檀してお寺を変わるであるとか、宗旨を変えて他の宗派に移るといった事まで耳にします。
また、お寺との繋がりは、檀家とお寺という関係だけでは無く信者という道もあります。
檀家ほど深い関係ではなくその宗派やお寺のファンという考え方です。
お寺に伺う時の正しい作法
- 事前に連絡をとり日時を確認しましょう。
- 高価な物は要りませんが、和菓子などの手土産を準備しましょう。
- 服装は着飾る必要はありませんが、サンダルなどは避け小綺麗なものを選びましょう。
- 可能ならば宗派に合った数珠を用意しましょう。なければ八宗用の数珠で構いません。
- 住職と奥様の呼び方を覚えておきましょう。
- お寺に到着したら山門をくぐる前に軽く一礼します。この時、敷居を踏まないように注意しましょう。
- 本堂がありますので数珠を手に掛け合掌礼拝します。
- 庫裡に伺い来訪を告げましょう。
- 入檀に関わるお話では、寺歴や本尊のいわれ等、納得出来るまで伺うようにしましょう。
- 最後は本堂にお参りさせて頂きお寺をあとにします。
お寺を選ぶ際に注意すべきポイント
- 境内の掃除が行き届いているか
- 玄関の敷き物などが乱れていないか
- 本堂内陣の掃除が行き届き、仏具は整然と置かれているか
- 住職の人柄はどうか
- 入檀料、寺院護持費など必要になる金銭はどうなっているか
これらの事を参考にしてお寺選びの役に立てて下さい。
終わりに
ここまで、檀信徒とお寺と言う事でお話しをしましたが信仰にはいろいろな形があります。
また、仏教の知恵に近づく為に幅広い選択をする事ができる時代であるともいえます。
現代の混沌とした時代に、生きる為の知恵を求めて仏壇に手を合わせる。
単なる先祖供養では無く、仏教の知恵に触れる為に古い形が何もかも変わろうとする今、先人の残した形を通じてその先に有るであろう何かを感じとっていただければ幸いです。
なお、投稿にあたっては今迄に触られて来なかった処に光りを当てる事を主眼としました。
炉扇居士 合掌