葬儀・法要・お墓

樹木葬のメリット、デメリット|トラブルにならないための終活特集

樹木葬のメリット、デメリット|トラブルにならないための終活特集

木や花などの植物をお墓にする形の樹木葬に人気が集まっているのをご存じですか。
また、樹木葬は知っているがメリットやデメリットなど詳しい内容については理解できていない人も少なくありません。

老父
老父
樹木葬にはどんなメリットがあるのかのう?
ヒツジさん
ヒツジさん
一般的な墓地よりも安価になるなどがありますよ。でも、メリットだけじゃないんです

メリットを知るためには、樹木葬のデメリットや注意点を理解しなければなりません。樹木葬は安価だからと、価格のみで決めてしまうのは危険です。

今回は、樹木葬に関する収蔵形式や費用相場、メリット・デメリットを紹介していきます。さらに、樹木葬選びのポイントや注意点も、事前に理解し検討していきましょう。

樹木葬の収蔵には違いがある!3種類の収蔵形式とは

樹木葬の収蔵には違いがある!3種類の収蔵形式とは

樹木葬には、緑を貴重とした公園のような雰囲気が特徴的の霊園タイプと、自然をテーマとした里山タイプがあります。どちらも、樹木や花の中に囲まれた墓地ですが霊園タイプの方が比較的整理されている特徴があるのです。

また、霊園タイプや里山タイプでも、複数の収蔵形式が存在します。

老父
老父
どんな収蔵形式があるんじゃ?
ヒツジさん
ヒツジさん
主に、ペットや家族と一緒に埋葬するタイプ・カロートタイプ・合葬タイプの3つに分けられますよ。

では、タイプ別に特徴を理解していきましょう。

樹木葬の3つの種類について紹介。

樹木葬の3つの種類について紹介。

ペットや家族

個人の希望で、夫婦の遺骨を一緒に埋葬したい人や、ペットへの思い入れが強い人におすすめの埋葬方法です。

樹木葬は、一般的な埋葬方法に比べて自由度が高く、好きな人やペットと一緒に埋葬できます。ペットや家族と一緒に埋葬する場合は、遺骨を骨壺から取り出して土に埋葬するのも特徴的です。

カロートタイプ

墓石には、地上や地下に納骨スペースであるカロートがあります。樹木葬では、一般的に樹木に直接遺骨を撒くのですが、骨壺をそのまま収納するタイプもあるのです。

この場合、将来的に遺骨を別の場所に移すことが可能で、カロートタイプを利用する人も少なくありません。ただ骨壺を入れられる範囲は、墓石の広さによって違いがあるため骨壺を入れられるかを確認しておく必要があるでしょう。

合葬墓タイプ

樹木葬では、骨壺から遺骨を他の人と一緒にまとめて収蔵するタイプがあります。

まとめて収蔵するタイプを、合葬墓タイプと呼び管理費を削減することが可能です。埋葬するタイプに特別強い要望がない場合は、合葬墓タイプを利用しても良いでしょう。

ただし、一度合葬墓タイプを利用すると改葬が行えなくなるので注意が必要です。上記のように、各タイプによって遺骨を撒く・一緒にする方法とカロートに収める方法の2種類があります。

費用を抑えたいのであれば、遺骨を撒く・一緒にする方法が便利ですし、将来的に改葬などをしたい場合は、カロート納める方法がベストでしょう。

タイプ別の特徴を理解して、失敗しない方法を選択することが大切です。

収蔵形式別の費用相場!一番安価な方法を紹介

収蔵形式別の費用相場!一番安価な方法を紹介

樹木葬でも、埋葬方法によって費用相場は大きく変わってきます。

老父
老父
まずは、一番お値段が安い方法から聞いてみようかのう?一番安い方法はどれじゃ?
ヒツジさん
ヒツジさん
一番安い方法で、合葬墓型が挙げられますよ。

樹木葬の費用相場は、5万円から80万円と幅が広いのでしっかりと理解していきましょう。

収蔵形式別の費用相場

埋葬方法 費用相場
個別型 20~80万円
集合型 15~60万円
合葬墓型 5万円~20万円

個別型の費用相場ポイント

個別型は最も費用が高い方法で、故人の意見を多く取り入れることが可能です。費用が高い理由は、樹木1本を個別に用意して埋葬するためとなります。

例えば、桜の木の下に埋葬して欲しいなど要望によって樹木を植えられるのです。そのため、樹木を用意する費用が余計にかかるため高額となってきます。

また、樹木だけでなくカロートを設置することも可能なため、石や樹木代+管理費が必要となるのです。個別型でも、安い石や樹木を選べば20万円前後で収まりますが他の方法よりは費用が高くなるでしょう。

集合型の費用相場ポイント

集合型は、既存にある樹木の下に複数人の遺骨を埋葬するのが特徴です。自分で、樹木を購入する必要もなく、複数人が1本の樹木を利用できることで管理費も比較的安価に収めることができます。

集合型の最大の特徴としては、他人の遺骨と一緒にまぜないということです。樹木の下には複数の部屋に分かれており、骨壺ごと埋葬することができます。

そのため、管理するスペースは小さく将来的に遺骨の移動も可能なので、利便性が高い方法でしょう。費用は、安くて15万円程度で行えますが、家族や夫婦単位など少人数で利用すると費用が上がっていく仕組みです。

合葬墓型の費用相場ポイント

合葬墓型は、樹木葬で費用を最も安価に抑えて行う方法です。1つの樹木に複数人の遺骨を一緒に入れるのは集合型と同じですが、合葬墓型は遺骨を別々に分けません。遺骨を他の人と一緒にすることで、個別のスペースを作る必要がないため費用も安くなるのです。

埋葬する樹木によって、費用が5万円~20万円ほどかかりますが個別型や集合型に比べればとても利用しやすい特徴があります。さらに、個別型と集合型は管理費が年間8000円~2万円程度かかりますが、合葬墓型では管理費がいらない場合も多いのです。

ただし、合葬墓型だと、埋葬された場所がわかないことや遺骨と向き合って墓参りができないなどの注意点もあります。

樹木葬のメリット・デメリット!失敗したくない人におすすめ

樹木葬のメリット・デメリット!失敗したくない人におすすめ

樹木葬には、費用の安さは要望を叶え安いメリットがありますが、メリットだけでなくデメリットもあるのです。メリットだけで樹木葬を選択すると取り返しのつかない場合もあるのでデメリットにも目を向ける必要があります。

老父
老父
好きな桜の木に埋めてもらうなんて希望も通るのかい?
ヒツジさん
ヒツジさん
しっかりとした要望がある場合は、優先して良いと思いますよ。でも、ただ費用が安いという理由だけでは危険なのも事実です

樹木葬で失敗しないために、メリットとデメリットを詳しく理解していきましょう。

メリット

自由度が高い

樹木葬は、他のお墓を立てる方法よりも自由度の高いことがメリットとなります。例えば、自然の近くで埋葬して欲しい人や好きな樹木を選べるといった点です。

また、故人の要望に合わせて土に撒くことも可能ですし、家族だけのお墓にすることもできます。さらに、ペットとも一緒のお墓に埋葬できるため、故人の意思を組みやすい環境が整っていることも特徴です。

一般の墓石よりも安い

一般のお墓だと石代だけで100万円を超える費用がかかってきますが、樹木葬の相場は5~80万円前後で行えるため圧倒的に安いのです。また、樹木葬の内容によっては既存の樹木に埋葬することもできます。

この場合、樹木を買う必要がないため、さらに費用を安価に済ませることが可能です。さらに、樹木葬の方法によっては維持費が無料で、かかっても年間8000~2万円程度となっています。

そのため、一般のお墓を立てる全体の費用よりも確実に安い金額で行えるのがメリットといえるでしょう。

遺族に迷惑がかかりにくい

樹木葬は、費用や安い点や宗派の縛りがないため遺族に迷惑がかかりにくいメリットがあります。やはり将来的に見ると、故人の負担は遺族が背負っていくことになるため、維持費は少しでも少ない方が望ましいのも事実です。

また、樹木葬では後継者の必要がないため、お寺や管理人とのトラブルが少ない傾向にもあります。そのため、故人の意見や遺族の将来的な考えを総合的に見ると樹木葬のメリットは大きいでしょう。

デメリット

場所が限定される

樹木葬の中には、一旦行ってしまうと移動ができない場合もあります。

例えば、樹木に直接遺骨を撒くケースや合葬墓だと移動することはできません。さらに、樹木葬が行える霊園は交通アクセスが非常に悪い場所が多いのも事実です。

そのため、維持費や費用が安いだけの理由で行うと、墓参りが困難になってしまうデメリットもあります。遺族の年齢が高齢になると、墓参りの場所までたどり着けないケースもありますので、埋葬する立地も考えて行う必要があるでしょう。

最も安い方法ではない

樹木葬は、確かに一般のお墓に比べると安価ですが最も安いわけではありません。費用の安さを追求するのであれば、海や山に撒く「散骨」や遺骨を他人と一緒にする「合祀墓」の方が費用を抑えられます。

合祀墓ならば、樹木葬でなくても可能なため樹木葬=安いという考え方は控えた方が良いでしょう。そのため、樹木葬を選択する場合は、費用を安く済まることよりも、個人の意思を尊重させたいという気持ちで行うことが必要です。

継承することが難しい

樹木葬の契約は、家族単位や1人用と少人数で行うことがほとんどです。そのため、先祖代々で継承させていきたい場合は不向きな方法となります。

中には、お寺の一部が樹木葬のスペースになっている場合もありますが、数が限られているのも事実です。遺族がいない人や継承にこだわりのない人にはおすすめですが、そうでない人はデメリットも考えて行う必要があるでしょう。

トラブル防止!樹木葬選びの注意点

トラブル防止!樹木葬選びの注意点

樹木葬のメリットやデメリットを理解するだけではトラブルを未然に防ぐことができません。実際に、樹木葬を行ってからのトラブルは多く、ほとんどのケースは注意点を理解していないことが原因です。

そのため、しっかりと樹木葬を行う注意点を理解する必要があります。

老父
老父
迷惑をかけないから樹木葬が良いと思ったんだけどねぇ
ヒツジさん
ヒツジさん
費用や継承に関しては確かに遺族の負担は減ります。ただ、樹木葬には意外な落とし穴もあるのですよ

注意点

法律の許可が必要

散骨などの自然葬には、遺骨を自然の直接撒くため法律の許可は必要ありません。

一方、樹木葬は散骨とは異なり、樹木=お墓という認識になるため法律「墓地、埋葬等に関する法律(墓地法)」の許可が必要です。自然葬は、法律の許可が必要ないと知り、樹木葬も同じ解釈をしてしまう人もいますが、実際は違うので注意しましょう。

例えば、自宅の木に強い思い入れがあり、そこに遺骨を埋葬するケースがあります。このケースだと墓地法に触れてしまうので、行うことはできません。

また、樹木葬が行える場所は決まっているため、樹木葬も自然葬だからといって許可を受けても通ることはないのです。ただし、細かく砕いた遺骨を樹木に撒くのであれば、法律上散骨に該当されるため行うことが可能です。

このように、樹木葬と散骨を一緒に考えないように覚えておきましょう。

家族のトラブル原因になる可能性

樹木葬のメリットは多いのですが、家族の中には、一般的な墓地を希望する人もいます。また、樹木葬の歴史は浅く細かな規約や定義が定まっていないのも事実です。そのため、樹木葬=簡単に済ませると考える人も少なくありません。

例えば、世間体として墓石がないと比べられるので恥ずかしいことや、お墓は先祖代々ついでいくものという意見もあるのです。そのため、一部の遺族が勝手に樹木葬で埋葬してしまうと家族間でのトラブルに発展してしまうこともあります。

樹木葬は魅力的な面もありますが、トラブルを未然に防ぐためにも家族間でしっかりと話し合って決めることが大切でしょう。

お墓参りがしにくい

お墓参りでは、お線香をあげることが一般的とされていますが、樹木葬ではお線香をあげることが難しい特徴があります。というのも、樹木葬では樹木をお墓の変わりとするため火事対策として、火気厳禁の霊園や寺院が多いのです。

そのため、一般のお墓参りを経験している人だと物足りなく感じてしまう人も少なくありません。また、樹木葬を行っている霊園や寺院は比較的、山奥に作られていることが多いため、お墓参りが遠方になりがちです。

つまり、樹木葬のお墓参りは、一般のお墓参りに比べて交通アクセスや天候、気持ちの問題から行いにくいといえるでしょう。樹木葬を考えている人は、お墓参りについても事前に調べておく必要があります。

手入れがしにくい

樹木葬の欠点でもある問題が手入れの頻度にあります。一般的なお墓は、墓地全体をコンクリートで固め、お墓は石で形成されていますよね。

一方、樹木葬では樹木をお墓にするため、多くの葉が落ちるだけでなく樹木周辺の雑草も生えてくるのです。そのため、小まめな手入れが必要となってきます。

確かに、樹木葬は継承を必要としないことや維持費が安いことで遺族に負担がかからない仕組みとなっていますが、手入れに関しては逆です。お手入れをしなければ、お墓の周りは雑草で生い茂り荒れ果ててしまいます。

中には、霊園や寺院側がお手入れをしてくれる場所もありますが、管理に関してのトラブル原因に繋がるケースもあるのです。そのため、樹木葬の場所を決める場合は、お手入れの有無についても理解しておきましょう。

返骨が困難

樹木葬は、自然に還ることをテーマにしているため、遺骨を土の中に納めることがほとんどです。土に撒く方法や、共同埋葬を行うことで返骨ができないトラブルも多い傾向にあります。

遺骨を撒いてしまったり他の人の骨と混ぜてしまったりすると、改葬をしたくてもできないのです。樹木葬には、遺骨を残すタイプと残さないタイプがあるため、返骨の有無を知らないまま行ってしまうこともあります。

費用も、返骨ができないタイプの方が安いためトラブルが起きやすい要因となっているのです。そのため、将来的に遺骨を動かせる状態しておくのかを、はっきりと家族間で決めて樹木葬を利用しなければなりません。

自由度で選ぶなら樹木葬がおすすめ

自由度で選ぶなら樹木葬がおすすめ

樹木葬は、比較的費用も安く、個人の意見を尊重させやすいためメリットも多い方法です。一方で、返骨ができない点や場所が限られている点などのデメリットもあります。

樹木葬を考えている人は、メリットとデメリットの両方を理解した上で行っていくのがおすすめです。また、樹木葬の理解が薄いことでトラブル事例も多くあります。

お金を払えば済む問題ならば解決できることもありますが、樹木葬では取り返しのつかない問題も少なくありません。そのため、樹木葬を実行する前に、この記事の注意点をよく家族間で理解し納得した上で進めていくと良いでしょう。