葬儀・法要・お墓

「小さなお葬式」「永代供養」を生前契約にクレームやトラブルは?

「小さなお葬式」「永代供養」を生前契約にクレームやトラブルは?

終活を考える場合の大きなポイントとして「お葬式・お墓をどうするか」という問題があります。

最近は多くの高齢者が「後に残す家族や子供たちに負担をかけず、自分らしく最後のお別れのセレモニーを行いたい」と、エンディングノートなどを作ったり、前もって葬儀業者やお寺などと自身の葬儀・埋葬についての契約を取り交わす「生前契約」を行う人も年々増えてきています。

一昔前の立派で盛大なお葬式よりも、等身大の自分にふさわしく、残された家族にも負担をかけないスタイルで人生を締めくくりたいと考える人は、今後ますます多くなっていくでしょう。

こうした方たちの間で今「小さなお葬式」なるパッケージが話題なのだとか。お葬式からお墓のことまで自由にプランを組むことができ、各サービスの料金は全国共通で定額・低価格に設定されているという葬儀サービスなのですが、これを実際に利用して見送った人たち側の評価が気になるところです。

故人である契約者と葬儀等を実際に執り行う喪主が必然的に異なるこのサービスで、クレームやトラブルは起こっていないのでしょうか?「小さなお葬式」は本当に使って後悔のないプランなのか、ネットの口コミなどを参考に利用にあたっての留意点などを考えていきましょう。

「小さなお葬式」が選ばれている理由とは

「小さなお葬式」が選ばれている理由とは

そんな自分らしい葬儀の形を求める終活者に注目されているサービスが、先に取り上げた「小さなお葬式」です。

これは、契約者自身が必要だと考えるサービスだけを自由に組み合わせることができ、同一のサービスであれば全国どこでも、契約時の料金で葬儀を行えるというものです。
(*火葬費用など、地方によっては追加料金がかかるケースもあります)

「小さなお葬式」自体は、全国の葬儀社を紹介する会社で、実際に葬儀を執り行うのは「小さなお葬式」が契約している現地の葬儀社となります。そして「小さなお葬式」の最大の注目点は、故人となる人が元気なうちに生前契約ができるという点です。

これまでのお葬式同様、故人が亡くなった後で喪主が葬儀場を探す際に利用することもできますが、「小さなお葬式」は自分(または将来喪主になる家族)が、お葬式プランを生前に決めて契約できる「生前契約」が可能なのが、多くの人に注目されている点です。

自分の葬儀を自分でプロデュースでき、それにかかる費用も自分で前払いして置けるというスタイルは、清々しい去り際を望んでいる終活者には非常に助かるサービスですね。また「小さなお葬式」では、葬儀後の法要などをはじめ、仏壇・仏具の紹介、遺骨を希望の方法で埋葬するサービス(海などへの散骨や永代供養、お墓の紹介など)も行っています。

近年「墓じまい」が話題になっていますが、お墓を持たない人が増えた今、遺骨の処置についても相談ができ、生前に自分で決めて、手当てができるのは当事者にとっても、遺族となる家族にとっても非常に心強いのではないでしょうか。

【小さなお葬式】

2017年度の葬儀受注件数が15万件で全国トップ(TPCマーケティング調べ)の葬儀からお墓のことまで今の時代に合うサービスを低価格・高品質で提案するweb葬儀サービスのパイオニア的葬儀ブランド。

全国の葬儀費用の平均が122万円といわれるなか、一般的に不透明な葬儀費用を明確に提示している。

シンプルなプラン

たとえば、お通夜・告別式を行わず火葬のみ(仏具なし)の最もシンプルなプランであれば、総額140,000円(税込)。

スタンダードなプラン

参列者30名程度のスタンダードな家族葬の場合(お通夜・告別式・火葬費用込み)、総額488,000円(税込)。*すべてのプランには葬儀に必要な物品やサービス含む

提携している式場は全国に4千以上のため、日本全国で対応が可能。自身の葬儀を元気なうちに契約する「任せて安心 生前契約プラン」の場合、各葬儀プランが最大66,000円割引になる。

契約料金は、信託会社・弁護士が管理し、契約後のプラン変更や解約も可能。事情により他者で葬儀を行った場合は、返金してもらえる。*返金時は50,000円の解約手数料が発生する

納骨・お墓については、永代供養の料金なら55,000円(税込)、海洋散骨は55,000円(税込)などで利用できます。

■小さなお葬式公式サイトhttps://www.osohshiki.jp/

お葬式を実際に使った人の評価は? トラブルやクレームはある?

お葬式を実際に使った人の評価は? トラブルやクレームはある?

これまで業者の言い値で極めて不透明な料金設定が行われてきた葬儀を、費用を明確化・低価格化して自分が必要なもののみ自由にチョイスすることができる「小さなお葬式」ですが、実際のところ、利用者の評判はどうなのでしょうか?

インターネット等での「小さなお葬式」の評判、口コミをチェックしてみました。

概ねの評価は良好

公式サイトによると「お客様満足度」は93.4%(自社調べ)となっています。公式サイト以外での口コミを見ても、利用者の評価は概ね良好なようです。

「以前、親族の葬儀の際に互助会を利用したが、金銭的なトラブルが起こって不安だったため『小さなお葬式』を利用。対応がスピーディでシンプルでわかりやすいサービスが魅力だった。不要だと感じた葬儀当日の返礼をなしにしたいという希望も叶い、金銭的な負担も少なくてよかった」

「遠方に住む親戚が多かったため『小さな1日葬』を選択。費用が他社に比べ安価だったので、葬儀の質が心配だったが、安かろう悪かろうではない中身に大満足。『早割』の割引も利用することができたので、葬儀の負担が大きく減ったのはありがたかった。自分自身の葬儀もぜひ「小さなお葬式」で行いたいと、近々生前契約する予定」

「東京にいながら、地方に住む父の葬儀を手配するために利用。電話一本でスムーズにやり取りでき、不慣れな私の質問や相談にも親身に対応してもらえた。親と離れて暮らしている人などは、全国対応の『小さなお葬式』はおすすめ」

なかにはトラブルやクレームも発生

しかし「小さなお葬式」を利用した人の中には、多くはないものの不満を感じたりトラブルに遭遇した人も、いるようです。

「事前に『小さなお葬式』で契約すれば、追加料金はかからないといわれたのに、実際に現場に来た紹介先の業者の人が『あれもしましょう』『これもないと恥をかく』などと猛烈にプッシュ。提案にうっかり乗っかってしまったら『これは別料金です』と請求され、高額な追加料金を支払うことになってしまった」

「シンプルな『小さな1日葬』を申し込んで契約したが、来たのが悪徳な業者だった。プラン通りの棺の在庫がないので、追加料金がかかる高めの棺にするようにゴネて『棺を変更してくれないなら、うちではご遺体を運べない』と言われて本当に辛かった。故人を人質にして料金アップを諮るようなやり口に怒りを覚え、後日『小さなお葬式』や消費者センターにもクレームを入れた」

「たしかに料金は全国一律かもしれないが、サービスのないようには差があるのではないかと思う。我が家の場合、病院から遺体の引き取りに3時間くらいかかってしまった。病院側からは『できるだけ早く』とせっつかれるし、業者はなかなか来てくれないしで、故人の死を悼む暇もないくらい焦った」

どれも自分が喪主となったときには起きてほしくないトラブル事例に「大丈夫かな」と不安になってしまった人もいるのではないでしょうか。

結局のところ『小さなお葬式』は、全国にある葬儀社を紹介する会社なので、実際に葬儀をおこなう担当業者の質によっては、ぼられたり、残念な体験をすることもあるようです。

ただし、こうしたトラブルは「小さなお葬式」を介さずに、葬儀社を選んだ場合にも同様に起こりうる事例です。「小さなお葬式」のサービスそのものへのクレームではないにしろ、やはりこのような経験はしたくありませんね。

このような残念なトラブルを今後なくしていくためには、今まで不明瞭な料金体系に慣れていた葬儀業界全体の体質そのものに対し、利用する私たちが厳しい消費者の視線で改善を要求していく必要があるでしょう。

老婆
老婆
死んでからも金をむしり取ろうとする輩がいるなんて、「地獄の沙汰も金次第」って言葉通りで嫌になっちまうねえ
ヒツジさん
ヒツジさん
日本人はお金の交渉全般が下手といわれますが、とくにお葬式などの料金でもめたりズバズバ交渉するのはよくないという雰囲気そのものを変えていかなくてはいけませんね
老婆
老婆
私の葬式でぼったくろうとしたら、化けて出てやる!

そして特筆すべきは「小さなお葬式」ならではのトラブル例ともいえる【火葬費用などに関する行き違い】問題です。

「契約以上の費用はかからないということだったのに、火葬場が混んでいて、なかなか火葬が行えなかったら、追加料金を取られた」

「葬儀を東京都内で行ったら『公営の火葬場がないので、追加料金が必要』といわれた」

しかしこれらについては、実はプラン契約時に「プラン料金以外に費用がかかる場合」として、明示されている事項です。こうしたケースについては、契約した本人が、別途料金がかかる事例についての確認をきちんと把握していなかったことがトラブルの理由と言えます。

【「小さなお葬式」でプラン料金以外に費用がかかる事例】

  • 公営火葬場の無い地域等、既定の火葬料金(市民料金)で火葬が行えない場合
  • 火葬場の空き状況により、各プラン既定の安置日数を超えてしまう場合
  • 付き添い安置をご希望される場合
  • 各プラン既定の式場使用料を超える葬儀場をご希望される場合
  • 寝台車または霊柩車での既定の搬送回数のうち、1回の移動距離が50kmを超える場合
  • プランに含まれない物品やサービスをお客様がご希望される場合

明瞭な料金体系で、事前契約した定額料金で葬儀が行える「小さなお葬式」ですが、特例として費用が掛かるケースがあることも、しっかり確認、了承したうえで申し込むことが大切です。そのためには契約時の打ち合わせは念入りに行い、小さな疑問点でも必ず質問して解消しておきましょう。

また紹介先の葬儀社によっては、運悪くハズレを引いてしまうケースが起こりうることも想定すべきでしょう。できる限りハズレ業者が当たらないようにするためには、葬儀を行う地方での葬儀社の評判を調べて、小さなお葬式の紹介業者にそうした悪評業者が入っていないか、確かめるとよいかもしれません。

小さなお葬式のメリット・デメリット

小さなお葬式のメリット・デメリット

ここまで見て来た「小さなお葬式」のメリットとデメリットをまとめてみましょう。

【メリット】
  • 料金が安く、明確で、定額制
  • 日本全国でサービスを利用できる
  • 生前契約ができる(早期契約であれば、割引が適用される)
  • 必要なサービスだけを、自由に組み合わせてプランを作ることができる
  • 葬儀後の法要や仏壇、納骨などについてのサービスも利用できる
【デメリット】
  • あくまで葬儀社と提携している「定額仲介サービス」のため、実際に葬儀を行うのはその地域の葬儀業者のため、対応については差がある
  • 火葬場の状況(混雑状況・公営か私営かなど)により、追加料金が必要な場合がある
  • 優良ではないハズレの業者に当たってしまう可能性もある

終活の成就には、見送る人を困惑させない準備と伝達が必須(まとめ)

終活の成就には、見送る人を困惑させない準備と伝達が必須(まとめ)

「小さなお葬式」についてみてきましたが、終活を考える上での参考になったでしょうか。

葬儀やお墓問題で後悔しないためには、自分の希望をクリアにして、元気なうちに周囲にその希望を伝えること、そして希望をかなえようとしてくれる遺族たちが困らないように、書面を残し、できれば希望の葬儀プランを生前契約しておくことが大切です。

あなたの終活が成就するためには、周囲の助けが必要不可欠です。見送ってくれる周囲の人の負担をできるだけ減らし、困惑させることがないように、しっかり準備を進めていきましょう。