仏壇

各宗派の正式な仏具荘厳と法事やお盆など特別な時の仏具の飾り方のまとめ

ここでは『ご自身の宗派の調べ方。宗派における本尊(荘厳)の違い』と『仏具用品や小物の名前と種類、荘厳・置き方を詳しく紹介』でお伝えしました各宗派別の仏具荘厳のまとめをお伝えします。

ヒツジさん
ヒツジさん
前回までに学んだ宗派別の仏具荘厳の総まとめです。前回、日常と年忌法要、彼岸、お盆など重要な祭祀日とでは、仏具の荘厳に違いがあることをお話しましたが、おぼえていますか?
老父
老父
当然じゃ!来月の法事に向けて気になって仕方なかったわい。 早く教えてくれ。
ヒツジさん
ヒツジさん
わかりました。それでは始めて行きますが、その前に簡単なおさらいです。 すべての宗派に共通して、日常は略式で、重要な日では正式な仏具荘厳を行うということを覚えておいて下さい。 そして、今回の重要な日の正式な仏具荘厳は、決して難しくないという事もわかっておいてほしいのです。

普段の荘厳と、法事やお盆などの時の仏具荘厳の違いとは

ここで特に覚えて頂きたいことは、供養仏具を正式に飾り付けることと、飲食供養を重要視するという事で、例えば普段お供えをしない和菓子や餅菓子、果物などをお供えするという事です。

あわせて読みたい
仏具用品や小物の名前と種類、荘厳・置き方を詳しく紹介『仏間とはなにか? 新築時に仏間の設計するときの要点』で説明したように、家と仏間、仏間と仏壇とのバランスは非常に大切な事ですが、さらに仏...

重要な日の正式な仏具荘厳の具体的な5つのポイント

  1. 上卓や前机に水引や打敷をかける。
  2. 高杯や段盛、霊具膳などを使用する。
  3. 五具足の荘厳にする。
  4. 真宗大谷派の場合は重要な日には輪灯に瓔珞を付ける。
  5. 故人の年忌法要の時には、古い新しいにかかわらずその位牌は中央に安置する。また、過去帳位牌の場合にはその方のところを開き安置し、浄土真宗系の場合には法名軸を使用する。
ヒツジさん
ヒツジさん
特別な日の仏具荘厳と言っても、これだけのことに気を付ければ大丈夫なんです。
老父
老父
なんと、たったこれだけか。構えておった分、拍子抜けしたわい。
ヒツジさん
ヒツジさん
名称の難しい仏具や、正しい荘厳の仕方など、難しい難しいと深く考えすぎなのではないですか?一度正しい荘厳を理解してしまえば難しいことはありません。 ただし、各宗派ごとに仏具荘厳の違いがあることをお忘れではないですか?
老父
老父
そうじゃった。わしだけが理解を深めても意味がないことじゃ。 広くたくさんの宗派の方に知っておいてもらいたいのぉ。
ヒツジさん
ヒツジさん
はい。それでは各宗派ごとに特別な日の仏具荘厳を学んで行きましょう。

天台宗の仏具荘厳(法事・彼岸・お盆)

  • 本尊の前に玉香炉・仏飯器・茶湯器を置き、位牌は 向かって右側の位牌段におきます。
  • 須弥壇下の段に前机を置き、打敷を敷き五具足を乗せます。
  • 左右に高杯を置きます。
  • 空殿隅木に瓔珞を吊り、その外側に釣灯籠を下げます。
  • 下段中央に霊具膳を置き、横に花立を置き生花をいけます。
  • 経机の上に経本を置き、右下に木魚、錀を置き、左側には線香差し火消し等置きます。
  • 生花は棘のあるものや臭いの強いものは避け、霊具膳には精進料理をお供えします。

真言宗の仏具荘厳(法事・彼岸・お盆)

  • 本尊の前に仏飯器と茶湯器を一対置きます。
  • 位牌は向かって右側の位牌段に置き須弥壇下の段に前机を置き打敷を敷き五具足を置きます。
  • 一対の花立には常花を立て、前机の左右に高杯を、空殿に瓔珞を下げ、外側に吊り灯籠を吊り下げます。
  • 下段の中央に霊具膳を置き、左右に生花用の花立を置きます。
  • 経机の上に経本を置き、右下に木魚、錀を置き、左側には線香立、火消等を置きます。

浄土宗の仏具荘厳(法事・彼岸・お盆)

  • 本尊の前に仏飯器と茶湯器を一対置き、位牌は向かって右側の 位牌段に置きます。
  • 須弥壇の下に前机を置き、打敷を掛け、五具足を乗せ、花立てには常花を差します。
  • 前机の左右に高杯を置きます。
  • 空殿の左右に吊り灯籠を下げます。
  • 下段の中央に霊具膳を置き左右に生花用の花立を置きます。
  • 経机の上に経本を置き、木魚、錀は向かって右下に、左側には線香立、火消し等を置きます。

禅宗の仏具荘厳(法事・彼岸・お盆)

  • 本尊の前に仏飯器と茶湯器を一対置きます。
  • 位牌は向かって右側の位牌段に置き、須弥壇下の段に前机を置き打敷を敷き五具足を置きます。
  • 一対の花立には常花を立てます。
  • 前机の左右に高杯を置き空殿に瓔珞を下げ外側に吊り灯籠を下げます。
  • 下段の中央に霊具膳を置き左右に生花用の花立を置きます。
  • 経机の上に経本を置き左側には線香立、火消し等を置き右下に木魚、錀を置きます。

日蓮宗の仏具荘厳(法事・彼岸・お盆)

  • 日蓮上人の前に仏飯器と茶湯器を一対置きます。
  • 位牌は、向かって右側の位牌段に置きます。
  • 須弥壇の下に前机を置き、打敷を掛け、五具足を乗せ花立てには常花を差します。
  • 前机の左右に高杯を置きます。
  • 空殿の隅木に瓔珞を下げ外側に吊り灯籠を下げます。
  • 下段の中央に霊具膳を置き左右に生花用の花立を置きます。
  • 経机の上に経本を置き、木柾と、錀を置き左側には線香立、火消し等を置きます。

浄土真宗本願寺派の仏具荘厳(法事・彼岸・お盆)

  • 須弥壇の上に上卓を置き、火舎香炉、華瓶一対、火立を置き、打敷を掛けた荘厳にします。
  • 華瓶には樒を立て、火立には朱色の木蝋を立てるようにします。
  • 須弥壇の前に前机を置き、打敷を掛け五具足を乗せ、左右に供笥を置きます。
  • 過去帳見台は向かって右の位牌段に安置します。
  • 空殿の隅木に瓔珞を下げ外側に吊り灯籠を下げます。
  • 前机の外側に輪灯を取付け、下段に和讃卓を置き、和讃箱を乗せます。
  • 経机の右下に、錀を置き、左側に御文書、線香立て火消し等を置きます。

真宗大谷派の仏具荘厳(法事・彼岸・お盆)

  • 須弥壇の上に上卓を置き、火舎香炉、華瓶一対を置き打敷を掛けた荘厳にします。
  • 華瓶には樒を立て、前机を置き、打敷を掛け五具足を乗せ、左右に供笥を置きます。
  • 過去帳見台は向かって右側の位牌段に安置し、空殿の外側に吊り灯籠を下げます。
  • 前机の外側に輪灯瓔珞を取り付け、下段に和讃卓を置き和讃箱を乗せます。
  • 経机の右下に錀を置き、左側に御文、線香立て、火消し等を置きます。

まとめ

老父
老父
よし!各宗派ごとの正式な荘厳とやらを完全にマスターしたぞ。 これで来月の法事も万全の準備で迎えることが出来るし、ご先祖様も喜んでくれることじゃろう。
ヒツジさん
ヒツジさん
それは良かったです。 でも、おじいさん本当に大切な事はもっと別のところにあるとは思いませんか?
老父
老父
はて?まだ何か学ぶことがあるのか。
ヒツジさん
ヒツジさん
大切な事、それはですね……。ここでは、仏具荘厳の最終章として、各宗派の正式な荘厳をお伝えして参りました。 当然ながら、ご自身の宗派の正式な荘厳を理解し覚えることはても大切な事だといえますが、もしも迷うようなことがあれば、お寺(菩提寺)に相談してみましょう。 きっと的確なアドバイスが頂けるはずです。 そして、形は確かに大事なことですが、その本質は仏様を供養させて頂くという事,その気持ちを忘れないようにしていきましょう。

著者:炉扇居士