仕事の忙しさや時間などの事情により、葬式や告別に参加するのが難しくなってきていることもあり、お通夜のみの参列が多くなってきています。
そのため以前に比べて、お通夜に参列する機会が増え、お通夜のマナーや常識を把握することが特に重要視されているのです。
お通夜の流れやマナーを知っておけば、必要な服や装飾品などがわかり慌てる心配もありません。また、葬儀・告別式・お通夜のどれに参列すれば良いのかを知ることで、スケジュールを立てやすいメリットもあるのです。
今回は、そんなお通夜に関する正しいマナーや流れを詳しく紹介していきます。斎場に言ってから、周りの人に聞くのが恥ずかしい人は特に事前に理解していきましょう。
もくじ
お通夜だけ参列すればいい!は正しいのか?
以前までの葬儀は、地域単位で親族や関係者が集まるスタイルが主流でした。一方、現在は、生活スタイルの変更により地域単位で行う葬儀から各家庭で行うスタイルに変わっているのです。
また、関係者や親族までも葬儀する家から遠いことから葬儀や告別式まで参加することが難しくなっています。そのため、お通夜のみに参列する人が多くなってきているのも事実です。では、お通夜のみに参列することは、参列方法として正しいのでしょうか。
葬儀や告別式に参列せず、お通夜のみに参列しても追悼の役割を負うようになっているため、参列方法に問題はありません。
地域や家族の意見、宗派などによっても考え方は異なりますが、基本的にお通夜のみに参列することが一般的とされているのです。
ただし、親族は葬儀に参列することが必要ですし、親しい友人や知人は告別式に参列した方が印象は良くなるでしょう。
また、故人との関係がとても良好な場合は、葬儀・告別式・お通夜のどの種類に参列しても問題はありません。そのため、葬儀には出られないが、告別式とお通夜に参列することも可能となります。
葬儀に種類によっては、葬儀と告別式が一体になっているケースもあり、葬儀自体の意識感覚も時代により変わってきているのです。そのため、告別式にも参列したい人は事前に葬儀のスケジュールを把握して参列することをおすすめします。
お通夜に参列する際に正しいマナー
お通夜に参列する場合は、服装や装飾品など正しいマナーを知っておく必要があります。非常識な身なりだと、悪気がなくても失礼と思われる場合もあるのです。
お通夜で恥をかかないための正しいマナーをしっかりと確認していきましょう。
服装
基本的に、男女ともに喪服を選択しましょう。喪服がない場合は、男性は黒のスーツや暗い色のスーツや黒のネクタイや靴下を選びましょう。
黒のネクタイや靴下は、コンビニや100均にも販売されているため、必要ならば購入することをおすすめします。また、黒のスーツでも光沢のあるものや目立つ時計、カフスボタンは避けた方が無難です。
一方、女性は喪服の代わりに黒か暗めの色のスーツやワンピースでも可能です。他にも、革や毛皮には殺生を連想させるものなので、コートなどを着る場合は注意しましょう。
装飾品
華美な装飾品は、非常識とされネックレスや腕輪などは外した方が常識的です。ただし、白のパールのネックレスやイヤリングは身に付けても問題ありません。
パールには、涙の象徴とされているため唯一身に着けて良い装飾品とされていますが、2連のネックレスは「重なる」という意味合いがあるため避けましょう。
メイク
女性のメイクでは、ナチィラル感を意識して華美なマニュキュアや香水、化粧は避けた方が良いでしょう。また、素足もあまり良くないので黒のストッキングを用意することをおすすめします。
喪章
喪章は、亡くなった人を悼む気持ちを示すために付けるものですが、参列者は付けてはいけません。喪章は、遺族や葬儀社の関係者などを区別する役割も担っているため、関係者が付けるものなのです。
参列者が勝手に、喪章をつけると非常識と思われるだけでなく関係者と判断されるので迷惑をかける可能性もあります。そのため、喪章は身に着けないように注意しましょう。
香典
お通夜では、香典を用意できなくても問題ありません。お通夜で香典を用意できない場合は、告別式で渡すようにしましょう。
香典を持っていく場合は、不祝儀用のふくさに包み、香典袋を裸で持っていかないことが重要です。ふくさの色は紫や紺などがベストで、結婚式と同じ感覚で使わないように注意しましょう。
また、香典に入れる金額と水引の種類には特徴があります。
香典金額 | 水引の種類 |
---|---|
5000円まで | 印刷されているシンプルなデザイン |
1~2万円 | 黒白 |
3~5万円 | 双銀 |
10万円以上 | 大判でひだ折り |
また、蓮の花が印刷されている香典は仏式に適しており、神式やキリスト式では使わないので間違えないようにしましょう。
数珠
数珠は、なくても問題ありませんが持っておいた方が良いでしょう。2000円程度で購入でき、使い続けることができるため1つ持っておくのもおすすめです。
他にも、お悔やみのかける言葉のマナーも理解しておくことが大切です。一般的には、「ご愁傷様です」と言いますが、柔らかい表現の「~非常に残念です」や「お手伝いすることがあれば、いつでも声をかけて下さい」などでもよいのです。
かしこまりすぎて、言葉が出てこないくらいなら自分の言葉で表現できる方法の方がおすすめです。
お通夜の流れを把握しておこう
お通夜の流れを知っておけば、当日に慌てることが少なくなります。
お通夜の流れの中には、ルールやマナーがあります。そのため、事前にお通夜の流れを知っておくことも必要です。
斎場到着
まず、斎場到着までに携帯の電源を切っておきましょう。また、お通夜で連絡がとれなくなる旨を必要な人に伝えておきます。斎場到着時間は、お通夜の時間よりも若干早めに設定することが大切です。
受付
斎場に付いたら、最初に受付に行き記帳を行います。このときに、香典を用意していれば渡し、返礼品の引換券を受け取る流れです。受付が完了したら、祭壇へ行き先客へ一礼、遺族へお悔やみを述べます。
焼香
式が始まると、焼香を行うシーンがあり係員の案内に従い行っていきます。焼香の順番は、仏式だと遺族や親族→一般参列者です。また式の中には、事前に席が決められている場合もあるので、勝手に好きな席に座らないように注意が必要です。
通夜振る舞い
お通夜の式が終わると、通夜振る舞いを行います。通夜振る舞いは、食事を食べることなのですが亡くなった人へ供養の意味合いがあるため、できるだけ参列しましょう。
時間的に難しい人は、一口箸を付けて退席するようにするとベストです。また、大騒ぎする場ではないため、マナーを守ってお酒も適量に留めておく必要があります。
退席
お通夜のみの参列の場合は、お悔やみの言葉や告別式と葬儀に参列できないことを伝えて退席します。
以上が、お通夜の全体的な流れですが、宗派や形によって内容は若干異なるため、柔軟に対応できるようにしておくと慌てずに済みます。
お焼香作法などの正しい常識をマスターしよう
お通夜には、お焼香や香典を渡すなどの行為をする必要があります。この、お焼香や香典、数珠などにはそれぞれ作法や宗派によっての違いがあり、複雑です。
知識がないまま行ってしまうとマナー違反とされ、知らない内に遺族や親族に失礼なことをしてしまっていることもあります。
マナー違反にならないように、お焼香作法、香典の渡し方、数珠の種類についてしっかりと理解していきましょう。
常識1、正しいお焼香作法
お焼香のやり方は、宗派によっても違いますが基本を身に着けておくは必要です。
自分の順番が回ってきたら、まず、遺族や親族に一礼をします。
- その後、お焼香の前で祭壇に向かって一礼し、合掌をします。
- 次に、右手の親指・人差し指・中指で抹香をつまみ、手のひらを自分の方に向け目の高さまで持ちあげましょう。
- そして、右手を香炉に指をこすりながら抹香を落とします。
この動作を3回繰り返して合掌し、席に戻る際に遺族や親族に一礼して完了です。
上記の流れはあくまでも基本なので、宗派や地域によっては、お焼香の回数が1回だったり合掌をしなかったりと様々です。そのため、基本を理解しつつ、周りの人の方法を確認し状況によって使い分けましょう。
常識2、香典の渡し方
まず、香典を渡す前の準備ですが、香典に使うお札はピン札に少し折り目をつけるのが常識なので覚えておきましょう。続いて、香典を渡すのですが、おふせから香典を取り出すことが正しいマナーです。
おふせに包んだまま香典を渡すことは、マナー違反で不幸を渡す意味合いがあります。そのため、必ずおふせから取り出して渡しましょう。
香典を渡すときは、表書きを相手に向けて両手で渡します。このときに、言葉をかける必要はありませんが、「このたびはご愁傷様です」や「ご霊前にお供え下さい」などの一言添えても良いでしょう。
また、香典はお通夜・葬儀・告別式に参列する場合でも渡すのは1度のみとなります。親しい友人や知人だからといって、お通夜と葬儀など複数回渡すことは不幸が重なるという意味合いがあるためマナー違反です。そのため、香典を渡すのは1度切りだと覚えておきましょう。
常識3、数珠の意味や宗派の違い
数珠は、念仏の回数を記憶するために使われており別名「念珠」とも呼ばれています。主に、数珠には魔除けや厄除けの意味合いがあるため、お通夜など不祝儀に使用するのです。
数珠の握り方は宗派によって違いますが、使い方の基本は
- 両手にかけて合掌する
- 左手に数珠をかけて右手で添え合掌
上記の2種類が正しい方法です。
宗派によっての数珠の種類や握り方も抑えておきましょう。
宗派 | 握り方 | 種類 |
---|---|---|
真言宗 |
|
梵天房と主玉108個、 親玉2個、四天玉4個 |
浄土真宗 |
|
問徒数珠 主玉108個、 親玉2個、四天玉4個 |
浄土宗 |
数珠を2重にし、親玉を揃え親指で |
僧侶は108の水晶のみの数珠。 一般の人は、日課数珠。 |
臨済宗と 曹洞宗 |
数珠を2重にし、 左手にかけて房を下にする。 |
主玉108個の一連数珠。 曹洞宗のみ金属の輪が付く |
天台宗 | 人差し指と中指の間に数珠をかけ、 手の中に包むように手を合わせる |
扁平な平玉を使った数珠。 主玉108個、親玉1個、 四天玉4個 |
日蓮宗 | 両手の中指に数珠をかけ、 3つの房を外に散らし合掌する |
法華数珠 |
日蓮正宗 | 日蓮宗と同じ |
数珠の形は日蓮宗と |
他にも、宗派を問わず利用できる略式数珠もあり、片手数珠とも呼ばれています。また、数珠の種類は葬儀の宗派ではなく、自分の宗派に合わせて選びますので間違えないように注意しましょう。
正しいマナーを学んで通夜に参列しよう
突然、親族や知人が亡くなった場合に備えて、事前にお通夜の基本知識を付けておくと慌てずに対応することができます。参列は、お通夜のみでも問題ありませんが、香典やお焼香のマナーは事前に理解しておかなければなりません。
マナー違反は、自分が恥をかくだけでなく、遺族や親族に対して失礼を与えてしまうからです。亡くなった故人や遺族・親族のためにも、お通夜に関する常識を理解して正しい方法や身なりで参列するようにしましょう。