真言宗とはどのような宗派なの
手に印を結び、口に真言を唱え、心に大日如来を観想する三密の行により、この身このままで現世に於いて仏になれるという、即身成仏の教えを説いています。
- 宗祖/弘法大師空海(774~835)
- 経典/大日経、金剛頂経、理趣経
- 本尊/大日如来
- 本山/高野山金剛峯寺
- 寺院数/約3500ケ寺
- 信者数/約410万人
真言宗葬儀の特徴は、唯一、密教での儀礼で葬儀が行われます。 棺の前で授戒を行なう灌頂の儀式、土砂加持などが行われ、大日如来の住する密巌浄土 、弥勒菩薩の浄土である都率天へといざないます。
真言宗の葬儀式次第
- 導師入場/導師及び式僧が入場着座し、葬儀が始まります。
- 洒水(しゃすい)/加持された法水を棺に注いで、浄めの儀式を行います。
- 加持/仏前の供物を加持し浄めます。
- 三礼・剃髪(さんらい・ていはつ)/三礼文により仏、法、僧に礼拝し、剃刀を用いた後、偈を唱えます。
- 受戒/十善戒、三帰、三竟などを授け戒名を付けます。
- 表白(ひょうびやく)/即身成仏の為に諸仏に祈ります。
- 引導/偈を三遍唱え、臨終の大事を授け理趣経を読経します。
- 御引導大事/弘法大師の引導の印、偈文、真言を授けます。
- 血脈(けちみやく)/真言密教の血脈を授けます。
- 六大印/真言を授けます。
- 諷誦文(ふうじゅもん)/故人の成仏を願い、諷誦文を唱え焼香が始まります。
- 弔辞拝受
- 弔電拝受
- 後讃/鉢をつきます。
- 読経/真言、陀羅尼、回向を唱えます。
- 導師退場
真言宗の告別式
- 導師入場
- 開式の辞
- 読経
- 参列者焼香
- 喪主謝辞
- 閉会の辞
真言宗の葬儀では灌頂(かんじょう)と言われる儀式があります。 故人の頭に水をかけ、仏との縁を結び、仏の位に近づく為に行なわれる儀式ですが、生前に自身の守り本尊を決める際に出家する時にも行なわれます。 又、真言宗独自の儀式として、土砂加持(どしゃかじ)と言われるものがあり、祈祷及び光明真言により清められた土砂を故人にかける事により生前の滅罪を願います。 またお墓や塔婆にかける事により、故人の成仏につながるとも言われます。
真言宗の戒名とは
真言宗の戒名は、成人の場合、男女とも一番上に梵字で大日如来を表すア字を付けます。
真言宗では“阿字よりい出て阿字に還帰す”とも言われており、つまりそれは、大日如来の計らいにより、娑婆に生まれいで大日如来の計らいによりその密厳浄土に還って行くと言う事です。
子供の場合、男女とも幼い魂をきっと浄土に送り届けていただけるように地蔵菩薩を表すカ字を付けます。
位号の種類
- 居士・大姉/仏教の信者として礼節、学徳の品格を備えた者に用いられます。
- 禅定門・禅定尼/心と行いを律することができ、法に照らしても安定している品格者に用いられます。
- 信士・信女/五戒を守る事ができる品格者に用いられます。
五戒とは?
1・不殺生戒/生き物を殺さない
2・不偸盗戒/盗みをしない
3・不邪婬戒/不貞をしない
4・不妄語戒/嘘をつかない
5・不飲酒戒/酒を飲まない - 童子・童女/4~15才の男女
- 嬰児/3才までの子供
- 孩児/6~7ケ月の子供
- 水子/流産した子供
真言宗では、位牌の一番上に必ず大日如来を表す阿字を梵字で書き表し、一番下の位号の最後には必ず位の文字を書き表します。 また、夫婦の場合は出来るだけ位号を揃えるようにします。
例)ア ○○院□□△△居士 位
○○院□□△△居士(女性の場合は大姉)
○○院は院号、□□は道号、△△は戒名、居士は位号のことで、厳密に言えば△△が戒名と言う事になります。
真言宗の数珠の用い方
真言宗の数珠は108連から成り、振分数珠とも言われます。
左右に2本ずつの梵天房が付き、親玉から7個目、21個目に四天という小玉が付いているのが特徴です。
親玉は2個、四天は4個、浄名玉が1個、弟子玉が20個、露玉4個の作りとなっています。また、両手に掛けお参りする時には、左右の中指に掛け、数珠を擦り合わせて音を出すようにします。
真言宗葬儀での香典袋の表書き
真言宗では御霊前と書くのが一般的ですが御仏前でも構いません。
また、結び切りの白と黒、双銀の水引の付いた香典袋を使用し薄墨を用いる様にします。
香典の目安
香典は気持ちです。
あくまで一つの参考にして下さい。
- 友人、知人/5,000~10,000円
- 身内/30,000~100,000円
- 親戚/10,000~30,000円
- 職場 /5,000~10,000円
まとめ
真言宗の葬儀・告別式で大事なことは故人の成仏を願い、最終的には大日如来の元に還り、密巌浄土へ生まれ変わることが密教を学ぶことです。
しかしながら、すべての人が現世において即身成仏の行を体現し、成仏できるわけではありません。
その為、葬儀に際しては灌頂(かんじょう)及び土砂加持(どしゃかじ)などの真言密教独自の儀式を以て故人の成仏を助けることが重要視されます。
炉扇居士