おじいちゃんおばあちゃんの家に行って片付けをしようとしたのに、怒鳴られて追い返された・・・そんな経験はありませんか?
これだけ聞くと高齢者が悪いように聞こえます。でも、原因は高齢者だけではなく、詳しく理解できていない関係者にもあるのです。
まず、高齢者が片付けをできなくなる原因は身体的な原因である体力と捨てきれないという精神にあります。
その理由も高齢者だからといった面が大きく関係しているのです。この原因を軽視して、「片付けができない」事実のみに焦点をあてる人もいます。
それでは、先々残された家族が困ることに繋がるでしょう。そこで、今回はなぜ高齢者には片付けが難しいのかを知ってもらいます。
片付けができない原因を知ることで、解決策はおのずと出てくるからです。もちろん、片付けができない高齢者との付き合い方や解決方法も紹介していきます。
高齢者の片付け問題を抱えている人は、まず原因についての理解を深めていきましょう。
では、なぜ高齢者は片付けができなくなるのでしょうか?そこには、「思い出」が密接に関係しているようです。その実態に迫っていきましょう。
もくじ
思い出という強いものが片付けを邪魔している
高齢者になればなるほど思い出は増えていくものです。この思い出が形になった物はなかなか手ばなすことが難しいといわれています。でも、これは高齢者に限ったことではありません。
高齢者ほど長い年月を過ごしていなくても、思い出の物ってありませんか?
写真や大切な人から貰ったものなどは簡単に捨てられませんよね。そんな思い出のものが長い年月をかけて溜まったため、高齢者はものが捨てられないのです。
たとえ、息子や親戚が断捨離におじいちゃんおばあちゃんの家に行っても、これはあの時のものだ!あれは捨てられないと口論に発展することだってあります。
では、なぜここまで高齢者はものに執着をするのでしょうか。それは、生きた時代が関係しています。2018年の高齢者世代は、食べるものや好きなものが買えない時代を必死で生きてきた人が多い傾向のです。
特に戦争中や戦後は、贅沢なんてできません。そんな苦しい時代を生きてきた人と、その後に生まれた子供達では完全に価値観が全く違うのも当然ですよね。
そんな高齢者にとって、ものは財産と同じくらい大切といえます。また、高齢者はものを人生と置き換える人も少なくありません。買ったものや貰ったものは、自分が生きてきた証だといえば分かりやすいでしょうか。
つまり、自分の存在価値を確かめるために物に頼っているのです。一人暮らしの高齢者だと、寂しさなどからその気持ちはより一層強くなります。
そして、物を勝手に捨てられることは人生を否定されたと同じことになってしまうのです。でも、高齢者の親族や親戚からすればゴチャゴチャした家に行くことも嫌になります。
中には、生活できているのが不思議な家もあるほどです。そんな周りの人ができることは、まず高齢者の気持ちに耳を傾けることからスタートしてみましょう。
高齢者だって、思い出があって捨てられないだけで心のどこかでは部屋を綺麗にしたいとおもっているものです。喧嘩腰に高齢者の意見を聞かず捨てるのではなく、1つ1つの物への思い出を親身に聞いて、納得してから捨てるように心がけましょう。
そうしれば、少しずつですが部屋が片付くはずです。どうすれば良いかわかない人は、高齢者と心を通わすことから始めて下さい。
高齢者は筋力が弱まるという物理的要因も
実は、片づけられない要因は精神論だけでは済みません。なぜなら、高齢者には物理的要因もあるからです。
その物理的要因は筋力、記憶力など年々衰えていくものが挙げられます。そんなの誰でも一緒でしょ?うちの隣に住むおじいちゃんは元気でしたよ?と思う人もいるかもしれませんが、それはただの一例にすぎません。
たまに会いに行くおじいちゃんやおばあちゃんは、見た目はあまり変わっていなくても、見えない部分は確実に衰えていることを理解しましょう。では、具体的にはどんなことができなくなるでしょうか。
①重たいものが持てなくなる
まず、一番わかりやすいのが筋力の低下です。どんなに筋肉トレーニングを毎日行っても、高齢者になるにつれて筋力は低下します。私も筋力には自信がありましたが、筋トレをやめて5年たった時に筋力の低下に気付きました。
ある日、タイヤをネット注文したのですが届いたタイヤを受け取ったとき思わず支えきれず落としてしまった経験があります。あれには、かなり驚きました。
ここまで、人は筋力が簡単に衰えるのかと悟ったことを思い出します。このように、高齢者も自分の筋力の低下に気付いていないのです。
そんな気持ちで片付けをやろうとしても、荷物の入った段ボールさえ動かすことが難しくなります。でも、認めたくない気持ちや迷惑をかけるのは嫌だという気持ちから片づけないという結論に達するわけです。
そんな時は、周りの人が優しく手を差し伸べてあげるのが良いでしょう。
②片づける行為すら忘れる
2つ目は、記憶力の低下よるものです。どうでもよい記憶は誰でもすぐに消えてしまいます。でも、高齢者に限っては大切な記憶すら消えてしまうのです。
そのため、片付けをするときにこれは何に使っていたんだろう?と考え込み、一行に前に進まなくなってしまいます。それどころか、考えているうちに片付けをしていたことすら忘れてしまうのです。
記憶力の低下は人それぞれですが、少なからず片付けに影響していると考えられます。それを防ごうとメモを残している人もいるようです。でも、結局メモの場所を忘れるので解決できません。
このように、記憶力が低下すると普通に生活するのも難しいのです。そんな状態で片付けをするなんて無謀としか言いようがありませんよね。
結論から言えば、人は年を取れば取るほど一人で片付けができないといえるでしょう。
③どこに何を置けば良いのかわからない
3つ目は、思考力の低下が挙げられます。あなたは、物を片付けるときにどんなことに注意をしますか?例えば普段使うものは近くに置くように並び変えますよね。
服だったら季節に関係ないものは奥に、関係があるものは手前に出して生活しやすい環境に整えるのではないでしょうか。
このようなことを行うためには、考えなければなりません。つまり、
片付けをする=思考力が必要となります。
でも、高齢者になると思考力の低下は確実に起こってしまうのです。
例えば、使う物は「いつ使う」「何に使う」など頻度によって分けた方が効率は良いですよね。でも、考えるのが難しい場合は、「使う」「使わない」の2択のみになってしまいます。
この考えから片づけをすると、ハサミは使う!新聞は読む!服は着る!つまり、一向に整理することができないのです。
これでは、テーブルの上も使うもので溢れてしまうのが想像できます。さらに、使わないものは別の部屋に無造作に置かれることでしょう。
高齢者の片付けを手伝うことになったのであれば、細かく指示をしてあげると綺麗に整頓できるのではないでしょうか。
子供や親戚などは片付けできない高齢者とどう付き合うべきか
子供や親戚は片付けをするときに嫌な顔をしていませんか?また、やらされていると感じていませんか?こんな気持ちを持っていれば、片付けは成功しないでしょう。
子供を持っている親ならばこのような考え方は子供にも影響がでるほど危険です。普段から、早く寝なさい!勉強しなさい!片付けなさい!という人は子供の意見を聞こうとしていない証拠です。
なぜ、早く寝なければいけないのですか?勉強は学校でしたよ?なんで自分だけ片付けしなくちゃいけないの?お母さんは手伝ってくれないの?と聞きたい子供もいるはずです。
こんな教育をしていれば人は考えることをしなくなってしまいます。そればかりが、反発したくなりますよね。高齢者に対しても同じことです。
これいるの?と聞くだけでは、答えは「いる」で終わってしまいます。早く済ませた気持ちが先走って勝手に捨てれば「なんで捨てるんだ」と怒鳴られてしまうでしょう。
共通して大切なことは、相手の気持ちになって聞くということです。高齢者だって自分で理解すれば物は捨てることができます。子供だって理由を理解すれば、自然と言われたことができるようになるでしょう。
そのため、高齢者のために片付けをしなければならない人は、3つの方法で高齢者と付き合っていくのがベストです。
①高齢者を理解する
まず、高齢者の気持ちを理解することから始まるとスムーズです。先ほど紹介した通り、高齢者は精神的にも身体的にも片付けをすることができない理由はたくさんあります。でも、片付けをしたい気持ちもあるわけです。
そんなときは、高齢者の立場になって付き合う必要があります。まず、片づけるものを手に取ったらおじいちゃんおばあちゃんにこう言いましょう。
「この手鏡は3つあるけど、いつ買ったの?」すると、きっと買ったか貰ったかを知ることができます。話すきっかけができれば、あとは聞くだけで思い出や捨てられない原因を見つけられるのです。
次に、現実に戻してあげます。生活する上で手鏡は1つで十分です。そのため、手鏡が3つも必要ないことを理解してもらいます。
理解してもらうためには、ランキング形式にするのがベスト。1位以外は捨てるか貰ってあげましょう。このように、高齢者と向き合うことでトラブルを未然に解消できます。
簡単なようで難しいので根気よく長い時間をかけて行うのがポイントです。
②思い出スペースを作る
高齢者の家で使っていない部屋があれば、思い出スペースとして活用しましょう。
高齢者にとって思い出=物、物=人生と先ほど紹介しましたよね。
そのため、どうしても捨てられないものは見えるようにしてあげれば良いのです。スポーツをやっていればメダルや盾などがあります。
本が好きならたくさんの書籍が部屋に散らばっているでしょう。それらの思い出を1つの部屋に展示してあげると、結果的にすべての部屋が綺麗に片付くのです。
また、思い出スペースを作ることで、高齢者が気持ちの整理をできるようになります。整理ができれば捨てることに発展するケースも少なくありません。
さらに、思い出スペースを作ってくれた家族に対して感謝の気持ちも生まれます。このように信頼関係を構築するだけで、今後の片付けがスムーズになった事例もあるほど効果が高いのです。
そのため問答無用で捨てるのではなく、思い出に浸る環境を作ってあげるのも一つの付き合い方といえます。
③プロにお願いする
最後がプロに任せる方法です。確かに上記2つの方法は身内ができる最善の方法といえます。
でも、現実的に厳しいこともあるでしょう。仕事が忙しく、話を聞くことができない。高齢者が認知症などで会話にならない。思い出スペースを作れる場所がない。など、条件が揃わないと難しいのも事実です。
そんな時は、片付け専門の業者にお願いするのがベスト。業者はただ片づけるだけではなく、その後のリスクも分かっています。
ある人は、面倒だから高齢者である親が入院したことをきかっけに業者に依頼することがあるようです。でも、業者はすぐに依頼を受けることはしません。それは、数々の事例や経験によって作業後のトラブルが目に見えているからです。
- 依頼者と対象者が今後どうすれば良い関係を持てるか
- 片付けで生活リズムが崩れないか
- 予算内で可能なサービス
業者は以上の項目に注意しています。
逆に、すぐに依頼に飛びつく業者の方が信用できないので危険です。そのためプロにお願いする場合は詳しく話を聞いてくれ、今後の未来を明るくしてくれそうな業者を探しましょう。
後からでは遅い、生前に整理しておくべきメリットを紹介
生前の整理は、残された人にも影響が大きなものです。ただの片付けとは全く違うので理解しておきましょう。
生前整理は、終活の一環として行われ、物品、財産を分けて整理する意味合いが込められています。
この生前整理を行っていけば、葬儀後の遺産を分ける時でもトラブルや遺品整理の問題が解消されやすいメリットがあるのです。生前整理のポイントは身の回りの整理だけじゃないってことを覚えておきましょう。
まず、預金通帳や家などのお金関係の遺産、高価な価値のある物品、身の回りの物品に分ける必要があります。そして、分けた財産をどのように分配するかを決めてもらうことも大切です。
財産整理以外にも、自分の人生を振り返るきっかけにもなります。おじいちゃんおばあちゃんとの思い出は、すべて覚えていることはないですよね。
でも、整理をしているとあのとき一緒に遊園地や水族館にいったね!と一緒に、過去の思い出に浸ることもできます。こんなの忘れていたと思うことでも、高齢者の方が覚えていることもあるのです。
そのため、人生の整理をすることで今後の活力にもなります。高齢者だけでなく子供や親戚へのメリットも大きいので生前整理はやった方が良いのです。
ただし、生前整理は体力がいります。高齢者一人では難しいでしょう。片付けとは事情が異なるので、家族で一緒に行うことが望ましいといえます。
まとめ
高齢者の片付けができない理由は理解できたでしょうか?片付けを妨げているものは、思い出や気持ちなどの精神的な部分があります。
また、体力や思考力、記憶力の低下による身体的な部分も原因なのです。そのため、高齢者の片付けは思った以上に難易度が高いと覚えておきましょう。
自分達では、どうしようもない場合はプロにお願いすることも検討が必要です。少なからずいつかは、生前整理を行うことになります。
生前整理をスムーズに行うためにも、高齢者の片付け問題に向き合っていかなければなりません。
でも、やり方は簡単です。高齢者と良い関係を築くためには、どうすればいのかを考えるだけでしたよね。
今回例に挙げた方法だけでなく、生活スタイルにあった方法を試してみると良いでしょう。お互いに今後の生活を豊かにするためにも、高齢者の片付けや生前整理を一緒に行ってみてはいかがでしょうか。