みなさんは毎日仏壇に手を合わせていますか?
自宅に仏壇が無い方はしかたありませんが、毎日の日課だという方には是非、正しい作法を理解して頂きたいと思います。
もくじ
毎日のお勤め(お参り)の仕方
- 朝起きて、洗顔をすませた後、仏壇の前に正座、一礼をしてから、蝋燭に火を灯します。(マッチまたは、専用の火付けを使用してください)
- その蝋燭の火で線香に火を付けます。(線香の数は、宗派により違いがあります)
- お仏飯とお水、又はお茶を供え、数珠を手にかけ合掌、礼拝します。(この時、数珠の房が下になるようにしてください)
- 経本を開き錀を打ち経典を読誦します。お経が終われば再び合掌礼拝をして仏間を離れます。
(離れる時は必ず蝋燭の火を消すこと、その際は専用の用具を使うか、または手で扇いで消してください) - 家族との食事が終われば 仏壇のお仏飯も下げましょう。
- 夕方もしくは就寝前にも蝋燭、線香に火を付け合掌、礼拝をして仏壇の内扉を締めます、こうして一日のお勤めが終わります。
覚えておきたいポイント
以下は、毎日のお勤めの際のポイントです。
- 蝋燭は普段は洋蝋燭で構いませんが、正式には和蝋燭を使用します。(色合いは通常の白、開眼法要等に使用する朱・金色、不幸事に使用する銀色があります)
- 線香は抹香の変わりに使用するものと言えますので、その作法は基本的には同じになります。
※天台宗・真言宗は線香を三本立ますが、その意味は仏法僧に帰依すると言う事です。
※臨済宗では一本、曹洞宗では二本立てます。
※日蓮宗では一本か三本立てるようにします。
※浄土真宗本願寺派では一本、真宗大谷派ではニ本、なるべく寝かせて置くようにします。
※浄土宗では特に決まりはありません - 仏前に供える花は必ず生花を使用するようにしましょう。
- 数珠はどの宗派でも百八連の珠で造られたものが正式です。
その由来は人間の煩悩の数を表わしたもので、本来の使用方法はお経や真言を唱える時にその回数を記録するために珠をくりながら用いたものです。また、現代では略式の五十四、ニ十七などの数珠を用いる方も多く、略式の物でも間違いではありません。
※長年使用していると紐が切れることがありますが、気に入った数珠であれば珠を保管しておくと、仏具店で安価でつなぎ替えをすることが出来ます。 - 仏教では十二種類の合掌の仕方がありますが、普通であれば全ての指を隙間なくまっすぐのばし、胸の前で組み鼻の高さぐらいの位置で行うといいでしょう。
- 仏様に供えた仏飯は、捨てるのではなく家族でいただくと言う事も大切な事です。
- 仏壇の内扉、大扉とも本来締める必要はありませんが、気になるようなら夜に内扉だけを締め、朝に開けるという事を行えば良いでしょう。
- 錀を打つ本来の意味とは、お経をあげる時の句読点を示すことですが、木魚などの鳴り物は広い意味で何かを始める、終るという事を示しています。
それではおじいさんの疑問、「お経」について学んで行きましょう。
お経とは
お経には小乗経典(出家者の為のお経)と、大乗経典(大衆の為に解りやすく説かれたお経)があります。
日本仏教の根幹となっている大半のお経は、大乗経典から出ており、その数は三千以上とも言われています。
各宗派のお経
- 天台宗のお経/経典→法華経 般若心経 唱名→南無阿弥陀仏
- 真言宗のお経/経典→大日経、金剛頂経、理趣経、般若心経 宝号→南無大師遍照金剛
- 浄土宗のお経/経典→浄土三部経(無量寿経、観無寿経、阿弥陀経) 唱名→南無阿弥陀仏
- 浄土真宗本願寺派のお経/経典→浄土三部経(無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経)
- 真宗大谷派のお経/経典→浄土三部経(無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経) 唱名→南無阿弥陀仏
- 臨済宗のお経/経典→般若心経、観音経 唱名→南無釈迦牟尼仏
- 曹洞宗のお経/経典→般若心経、観音経 唱名→南無釈迦牟尼仏
- 日蓮宗のお経/経典→法華経 題目→南無妙法蓮華経
各宗派の代表的なお経を簡単に解説
・天台宗、日蓮宗
法華経、正式には妙法蓮華経と言い、泥水のなかから力強く、美しく咲く蓮華にたとえ名付けれたお経で、大乗仏教の真髄を示し[経中の王]と言われています。
・真言宗
大日経は正式には、大毘盧遮那成仏神変加持経と言い、悟りを願う心(菩提心)を、因とし、大いなる慈悲(大悲)を根本に大衆を救い出す方法(方便)を目的とし、大日如来が説いたお経と言われ、これを図示したものが胎蔵界曼荼羅となります。
金剛頂経は心の清らかさ(通達菩提心)、悟りへの思い(修菩提心)、悟りを習得する(成金剛心)、仏と、ともに三密を共有する(証金剛心)、仏と一体となる(仏身円満)ことが重要と説かれ、これを五相成身観といい、即身成仏の実践を表わして、大日経と共に両部の大経と言われ、金剛頂経は金剛界曼荼羅を表しています。
理趣経は正式には、大楽金剛不空真実三摩耶経般若波羅蜜多理趣品と言い、大きな楽しみそれは金剛のように堅く空しからざる真実なる三摩耶、悟りに至る経典と訳せます。
金剛頂経系のお経で真言宗の葬儀や法要でよく唱えられますが、その解釈を巡り、空海と最澄が断交する原因となったお経として広く知られています。
・浄土宗、浄土真宗本願寺派、真宗大谷派(浄土三部経)
無量寿経は、大経とも、双巻経とも呼ばれる大変長いお経です。
願文と成就文に分けて構成され、阿弥陀仏がまだ法蔵菩薩として修行中に四十八の本願を立て、その成就により阿弥陀如来となり今も浄土で説法を続けておられると言う内容ですが、十八番目の本願(念仏往生の願)がとても有名です。(衆生を救う事ができなければ、如来となる事はない)
十八番目の本願が阿弥陀仏の一番得意とした所から、現在では歌舞伎十八番とか、一番得意とする事を、十八番と表現する事が一般的になったようです。
観無量寿経は、三福十六観が説かれたお経で、父母への孝養、仏教徒として、道徳、戒律を守れば、世福、戒福、行福の三福を得る事が出来、沈む太陽を観想する日想観、水想観、地想観、宝樹観、宝池観、宝楼観、華座想観、像想観、真身観、観音観、勢至観、普観想観、雑想観、上輩観、中輩観、下輩観を行う事により、十六の仏の真身観に触れる事が出来ると、説かれています。
阿弥陀経は極楽浄土の内容と極楽に、往生するための方法が説かれています。
・臨済宗・曹洞宗
観音経は、法華経のなかに出て来るお経で正式には、観世音菩薩普門品といいます。
火、水、羅刹、刀杖、鬼、枷鎖、怨賊などの七難から逃れるには、一心に観世音菩薩の名をとなえれば観世音は三十三の姿に変化し其の難から救い、現世利益が得られると言われています。
般若心経は正式には仏説摩訶般若波羅蜜多心経といい、僅か二百六十二文字のお経ですが、大乗仏教のエッセンスとも言われる大変有名なお経です。
この心経を一言でいえば諸行無常、諸法無我の原理を説き、縁起の由来により成立、存在する事を空の一文字で言い表したお経と言えます。
まとめ
ここまで、毎日のお勤め(お参り)の仕方を説明してきましたが、供養のなかでも仏様にその宗派に沿ったお経を読誦し、供養をさせて頂く事はもっとも大切な事と言えます。
時間がかかっても構いませんので、是非ご自分の宗派であげるお経を覚えてみましょう。 お勤めでお経をあげれるようになれればあなた自身の気持ちにも変化が出てくると思います。
また、供養は毎日続けることこそが大事なことですので、短いお経で構いませんからチャレンジしてみましょう。
ちなみに、仏壇をお持ちでなくお経に関心があるという方には、般若心経や正信偈がオススメです。
理由としては、短いお経なのですが般若心経の場合、大乗仏教のエッセンスをすべて含んだお経と言えますし、正信偈は浄土信仰のエッセンスとも言われているからなんです。
ただし、般若心経は浄土宗、浄土真宗本願寺派、真宗大谷派、日蓮宗では用いませんのでご注意ください。それと、正信偈は浄土真宗本願寺派、真宗大谷派で用いるお経という事も知っておいてください。
炉扇居士