葬儀・法要・お墓

春の彼岸と秋の彼岸は何が違う?知っておきたい彼岸のマナーとは

故人を偲ぶ行事である彼岸は、一年の春と秋に二回行われます。
普段はあまりお墓参りに行かない人でも、彼岸にはお墓参りをするのが定例となっています。

ではどうして年に2回、春と秋の彼岸にお墓参りをするのでしょうか。

ここでは彼岸に対する疑問を彼岸の意味から解決していくとともに、マナーやお供え物にも触れながら説明していきます。

老婆
老婆
お彼岸も近くなったからお墓参りの準備をしなけりゃ。
ヒツジさん
ヒツジさん
今年の春も行きましたね。
老婆
老婆
秋もあるからの。わしは暇だからいいが、どうして年に2回もあるんだかね。
ヒツジさん
ヒツジさん
とりあえずと思っていきますけどなんでですかね。

彼岸とは?春彼岸と秋彼岸の違いについて

彼岸とは?春彼岸と秋彼岸の違いについて

お彼岸は一年間に春と秋の二回あります。お彼岸の期間は毎年決まっており、春は春分の日、秋は秋分の日を中日とした前後3日間、合計で7日間が各お彼岸の期間です。

二つの国民の祝日としての趣旨は、春分の日が「自然をたたえ、生物をいつくしむ。」、秋分の日が「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。」と祝日法にて制定されており、生命や祖先を思い起こすための祝日であることが確認できます。

また彼岸という言葉はもともと仏教用語であり、煩悩を逸脱した悟りの境地を意味する言葉からきています。

春分の日と秋分の日は一般的に、太陽が真東からのぼり、真西に沈む日です。仏教で苦のない世界と言われる極楽浄土は西方に位置するといわれており、極楽浄土がある真西に沈む太陽を礼拝し、苦のない世界に思いをはせたのが彼岸の始まり

というわけなのです。

お彼岸での墓参りはこのような極楽浄土への修行が転じた仏事なのです。また仏教各派はこの日にちなんで春季、秋季彼岸会を行い、お彼岸に故人を偲びます。この彼岸会は平安時代の中期から行われている歴史のある仏事です。

しかしお彼岸は日本だけの行事であり、ほかの仏教国では行われません。古来から自然や太陽を尊重し、先祖を敬い今年も作物が実ることを願う「日願」が仏教用語の「彼岸」に変化していったと言われています。

お彼岸は仏教の極楽浄土を願う修行から、日本古来の自然と祖霊信仰が合わさった行事なのです。またお彼岸には春と秋での違いはあまりなく、どちらも太陽が真西からでるために一年に2回実施します。

ヒツジさん
ヒツジさん
お彼岸を春分の日と秋分の日にやる理由が太陽の動きにあったんですね。
老婆
老婆
昔の人もよく考えて行事をつくったもんじゃの。
ヒツジさん
ヒツジさん
日本しかないなんて意外でしたね。
老婆
老婆
あんな昔からあるなんてね。もっと知らないこともありそうじゃの。

お彼岸のお墓参りとそのマナー

お彼岸のお墓参りとそのマナー

お彼岸のお墓参りは先祖を偲ぶために行います。先祖様がいたからこそ、今の私たちがいるということに対して感謝の気持ちはとても大切です。しかし気持ちだけでなく、お寺の住職や親戚たちに対してのマナーも重要なことです。

まず持ち物や装飾品について説明します。持ち物はお供え物として使用する生け花や線香、ろうそく、火をつけるマッチやライターなどがあります。食べ物や飲み物をお供えする人はそれらを持っていきお供えしましょう。

ここでお彼岸のお供え物の食べ物と言えば牡丹餅、お萩ですが、これこそが春彼岸と秋彼岸の違いの重要な要因であると言えます。

春彼岸にお供えする「牡丹餅」と秋彼岸にお供えする「お萩」です。わかっている方も多いと思いますが、この二つのお供え物はどちらも全く同じ食べ物です。

名前だけ違うお供え物ですが、これもお彼岸の時期による違いで名前が違います。時期による名前の違いとはなんなのか…というとお花にその秘密があります。

まず春彼岸にお供えする牡丹餅は、春彼岸の頃に咲く「牡丹」の花が由来。秋彼岸にお供えするお萩は、秋彼岸の頃に咲く「萩」の花が由来となっています。

お彼岸の風習が自然を尊重する日本独自のものであるように、お供え物の名前も自然と深いかかわりがあったのです。

どちらのお供え物も使用されているあんこには魔を近づけないという意味合いがあります。
名前の違いには、こしあんかつぶあんかという製法、うるち米かもち米かという材料、小豆をつぶす過程で、牡丹や萩の花に見立てたり似ているためなどの様々な説がありますが、季節の違いで呼び名が変わる同じ食べ物と考えて問題ありません。

彼岸のマナー

服装については礼装までしなくてもいいですが、明るく派手な色などは常識の範囲でひかえることです。仏前での合唱の際に使用する数珠については、持っている人のみでも問題ありません。ただし数珠は大切な法具であるため、床や地面に直接置くことは厳禁であり、専用の袋にいれ、両手が塞がった際はポケットなどにしまうことがマナーです。

お彼岸の時は先祖のお墓に挨拶をして帰る人がほとんどであると思いますが、お墓の土地を貸している寺院の住職にしっかりとあいさつすることも重要です。その際本堂のご本尊にもお参りすること、またお彼岸の時期に開催されている彼岸会にも時間があれば参加することをお勧めします。こうした会は人数制限や、予約制である場合が多いため、お寺の情報を早くからもらい出席の手続きをしましょう。

お彼岸にうかがえない場合は、親戚や実家にお供え物を送ることも何もしないよりはよいと言えます。その際短い文でいいので挨拶状を書きましょう。挨拶状は伺うことができないこと、仏前へのお供え物を送ること、また彼岸の季節から暑さや寒さを感じさせる季語を使い簡潔に書くことをお勧めします。

お彼岸は先祖のお寺にあまり行く機会がない人が行くきっかけとなる行事です。日ごろお世話になっているお寺の住職と会話し、お寺との関係を良くしていくことも家族、親戚として大切なことだといってもよいでしょう。
老婆
老婆
牡丹餅とお萩は時期での違いがあったとはの。
ヒツジさん
ヒツジさん
スーパーマーケットでよく売られてますが、時期で分けられているんですかね?もしかしたらあんこの違いかも。
老婆
老婆
案外名前の定義なんて曖昧なものなんじゃの。ヒツジとヤギもそんなもんじゃろ。
ヒツジさん
ヒツジさん
ありえないですよ。僕たちは紙なんて食いませんよ!

お彼岸以外の時期によるお墓参りのマナー

お彼岸以外の時期によるお墓参りのマナー
お彼岸は一年に二回、各お彼岸で7日間あるから時間を合わせやすい…とはいえ多忙な人にはなかなか合わせることが大変です。

ではお彼岸以外にお墓参りをする期間にはどのようなものがあるのでしょうか。

お彼岸以外にマナーとしてお墓参りをするのに良い期間は一年に14回。まずお墓参りをするのに良いのが月命日と祥月命日です。

月命日とは月ごとにあり、故人が亡くなった日にちのことを言います。またその中でも故人が亡くなった月を祥月といい、亡くなったのと同じ月日を祥月命日と言うのです。言わずもがな一年は12月まであるため、12回これらの期間は存在します。

次にお墓参りをすることが良い時期がお盆です。一般的に旧のお盆である13日に迎え火、16日に送り火が行われます。14日から送り火までの期間はお墓には誰もいないためお墓参りをしないほうが良いです。お墓参りによい日にちは、迎え火の13日か、送り火でお墓に戻った16日から一周間くらいが望ましいでしょう。

またお正月がお墓参りに良い時期であると言われています。本来お正月は歳神様と先祖の霊を迎えるという行事でもあるため、三が日のお墓参りは良くないという説もあるみたいですが、それは根拠のない問題です。

上記で説明した時期や日にちが、マナーとしてお墓参りをする時期です。しかしながらお墓参りは先祖を偲ぶ気持ちがあればいかなる時期でも問題ないので、多忙な中でも時間が空いたならばお寺に手を合わせに行くことが良いでしょう。

では喪中の時のお墓参りは問題ないのでしょうか。例えば自分の母親が既に亡くなっており、父親が最近亡くなり喪中であった場合、母親のお墓参りはしていいの?また親戚から喪中はがきを受けた場合、その親戚のお墓参りは問題ないのでしょうか。

喪中のお墓参りは、疑問に思う人もいるかと思いますが問題ありません。上記で説明したマナーとしてお墓参りに良い時期にも問題なくお墓参りは可能です。

老婆
老婆
お彼岸以外にもお墓参りはこんな時期にあるんだね。
ヒツジさん
ヒツジさん
先祖の霊を迎えたり送る時にお墓参りをするんですね。
老婆
老婆
マナーや風習も大事だけど、やはり先祖を偲ぶ気持ちが大切だね。
ヒツジさん
ヒツジさん
お墓参りだけでなく、お寺へのあいさつに顔をだすのもしたいとこですね。

納骨堂でのお彼岸マナー

納骨堂でのお彼岸マナー

近年の核家族化などのライフスタイルの変化や、東京都など土地代が高いためにお寺などにお墓をたてるのが難しいなど金銭的な面から、骨壺のままひとつの建物に収納する納骨堂の人気が高まっています。

納骨堂ならば、土地代がなく預かってもらう値段だけで済みますし、子孫や親族の参拝者がなくなった場合に永代供養墓に合祀するタイプなども多くあるため、死後の親戚やお寺、霊園等との関係をあまり気にすることなく遺骨を安置することが可能です。

納骨堂とはなにかについて知ったところで、納骨堂でのお墓参りのマナーについて説明します。

納骨堂と単独に建てられているお墓の大きな違いは、一つの建物の中に他の方がいることです。そういった面から、単独のお墓ではできることが納骨堂でのお墓参りでは禁止されていることもあります。

まずお供え物についてですが、食べ物や飲み物、お花は持って帰ることが一般的です。多くの人が利用すること、また片付けの困難さといった面から持って帰らなければいけないのです。お線香やろうそくは問題ありませんが、煙や火元を考慮して禁止にしているお寺もあるみたいなので、納骨堂にある設備や、お寺の人に聞くなどしてみるのがよいでしょう。

服装や装飾品については、一般的なお墓参りと変わりません。

納骨堂へのお墓参りでも、納骨堂に遺骨を安置してもらっているなどの関係から、お寺の本堂へのお参りやお布施の支払いは大切なことです。

また納骨堂には、霊園など多宗派の遺骨が安置されている場所にある納骨堂もあります。この場合、宗派ごとに異なるお経や作法の使用はできる限り控えましょう。

老婆
老婆
納骨堂は建物の中が多いから、靴もきっちり揃えたいね。
ヒツジさん
ヒツジさん
お彼岸の時期では混み合うことも多いので他の方の迷惑にかからないようにしましょう。
老婆
老婆
お供え物も終わった後も考えて片付けるのは、単独のお墓でも同じだね。

まとめ

お彼岸のお墓参りは、仏教の極楽への修行と、日本の風習である自然と先祖に対する尊重の気持ちが合わさった日本独自の習慣です。

春彼岸と秋彼岸はお供え物の種類の違いにありますが、この点についても「牡丹」と「萩」といった季節の花の名前の違いで名前が変わるなど、自然由来の行事であることがわかります。

どちらの時期のお彼岸も一般的なお墓参りのマナーとは変わりません。最低限のマナーを守り、先祖に感謝する気持ちが大切なのです。