「石材店から開眼供養の準備を問いかけられたが、よくわからなかった」
「お布施の額や書き方がわからない」
「開眼供養の流れだけ知りたい」
「改葬後だが開眼供養はどんな準備をしたらいいか知りたい」
ひょっとしたら、みなさんはそんなお悩みを抱えているのではないでしょうか。ただでさえ種類の多い法要なので、「開眼供養とは一体何?」と疑問に思うのも無理はありません。
開眼供養について名前くらいしか聞いたことが無くても、記事を読み終える頃には、開眼供養の基本から流れ、お布施までをすべて理解できる記事となっています。
終活で行き詰ってしまったみなさんはぜひ、この記事を参考にしてみてください。
もくじ
開眼供養の基本
開眼供養の基礎3つを押さえましょう。
- 開眼供養とは
- 開眼とは
- 開眼供養の時期
それでは、詳しく解説していきます。
開眼供養とは墓石や仏像に魂を迎え入れる儀式
開眼供養(開眼法要)とは、新しく仏壇を購入したときや、お墓を新しく建てたときや、お墓をリフォーム(改葬)したときに、僧侶を招いて読経を行う法要のことです。
開眼とは、仏の魂を迎え入れて、礼拝の対象とする儀式を指します。ほかにも入魂式、魂入れ、仏壇開きなどとも呼ばれます。
基本的に、開眼供養は各宗教で行われますが、例外として浄土真宗では開眼供養は行われず、御移徙(おわたまし、ごいし)と呼ばれる慶事の法要を行うとされています。
御移徙は、建碑慶讃法要、墓所建立法要とも呼ばれます。
遺骨があるときは、納骨法要を同じ日に執り行うことが多いです。納骨法要は、納骨の前に僧侶の読経や焼香を行う儀式です。
開眼はお祝い事
開眼供養の開眼は、仏像づくりにおいて目を描き入れることで完成とすることをお墓の完成になぞらえたと考えられています。つまりは、お墓の完成を祝う慶事なのです。
開眼供養の時期
お墓の開眼供養を執り行う時期については、明確な決まりはありません。
仏壇の場合は
仏壇引越し後、仏壇購入後の四十九日や百ヵ日、一周忌などの法要の際に、開眼供養を執り行うケースが多いです。
お墓の場合は
お墓が完成後の四十九日や百ヵ日、一周忌などの法要の際に、開眼供養を執り行うケースが多いですね。
開眼供養の準備と流れ
開眼供養の基本がわかったところで、実際に開眼供養の準備や流れについて
- 仏壇の開眼供養の準備と流れ
- お墓の開眼準備と流れ
- 寺院との付き合いが無いときの対処法
- 開眼供養の供物の準備
それでは、1つずつ解説していきます。
仏壇の開眼供養の準備と流れ
- 1か月前までに僧侶の手配
- 自宅の仏前で行うのか、寺院の本堂で行うのかを決め、僧侶に連絡
- 開眼供養を行う日時
- 開眼供養の参列者を決め、連絡
- 開眼供養当日までに完成するように、石材店に墓石に刻む故人の戒名、没年月日、没年齢などの石彫りを依頼
- 開眼供養当日、僧侶と参列者にふるまう会食の手配
- 僧侶に渡すお布施の準備
- 供花や供物の準備
- 仏前に炊き立てのご飯を供える
- ろうそくを立て、花を供える
- 仏膳に料理を供える
- 供物台に果物を供える
- 寺院の本堂や自宅などで読経
- 親族や参列者が順番に焼香
- 会食会場または自宅に移動して会食
仏壇の開眼供養はこのような流れとなっています。
お墓の開眼供養の準備と流れ
- 1か月前までに僧侶の手配
- 開眼供養を行う日時
- 開眼供養の参列者を決め、連絡
- 開眼供養当日、僧侶と参列者にふるまう会食の手配
- 僧侶に渡すお布施の準備
- 供花や供物を準備
- お墓の掃除
- お墓に白い布を巻き、墓前に祭壇や法具、供花や供物をお供え
- 寺院の本堂や墓地会館などで読経
- 読経後、墓前に移動
- 墓前での僧侶の読経(納骨法要)
- お墓に巻かれた白い布を取外し、親族や参列者が順番に焼香(納骨法要)
- 会食会場に移動して会食
お墓の場合は、開眼供養当日に納骨法要も執り行うことが特徴ですね。その納骨法要は納骨の方法に開眼供養の考え方が若干変わります。
- 継承墓
- 樹木葬
- 永代供養墓
- 納骨堂
1つ1つ説明していきます。
継承墓の開眼供養
継承墓はお墓を親族で代々受け継いでいく従来の埋葬形態です。お墓の管理は、親族のみで行います。
継承墓の開眼法要は、僧侶を招いて上記の準備と流れで納骨法要を行います。
近年、少子化や核家族化で管理する親族がいない、親族がいても遠方に住んでいるなどの理由から、継承墓を管理する人が少なくなっています。
継承墓は、管理する親族がいなくなると、無縁墓となってしまいます。無縁墓となるのを避けるには、改葬として自宅近くにお墓を移す、後述する樹木葬や納骨堂へと埋葬形態を変更するという方法があります。
継承墓の改葬、継承墓からほかの埋葬形態の変更で、改葬の開眼法要が執り行われる傾向があります。
樹木葬の開眼供養
樹木葬とは、樹木墓地や樹林墓地に遺骨を埋め、樹木や草花を墓標の代わりにする埋葬形態で、施設がお墓を管理するため、継承墓のように後継者は必要ありません。
樹木葬の場合は、墓石がないため開眼供養を行わなくても良いという場合があります。樹木葬で開眼供養を行う場合も、基本的な流れや準備は継承墓と同様です。
ただし、注意すべき点は、継承墓からの改葬の場合です。先祖代々お世話になってきた寺院があることが多く、事前に相談してから納骨を行わないと、開眼供養だけではなく、年忌法要も受け付けてもらえないこともあります。
改葬の際は、必ず寺院にも相談しましょう。
永代供養墓の開眼供養
永代供養墓は、継承墓とは異なり、寺院や墓地の管理組合が親族に代わって、供養や管理をしてくれるお墓です。
基本的な流れに沿って、開眼供養を執り行います。樹木葬同様、改葬の際は寺院にも相談しておきましょう。
納骨堂の開眼供養
納骨堂は、遺骨を安置できる施設や建物を指します。こちらも施設が管理を行うため、後継者は必要はありません。
納骨堂は、宗教、無宗教に限らず誰でも納骨が可能な施設です。ゆえに、仏教の開眼供養は執り行わないケースも多いです。
とはいえ、開眼供養を執り行うこともできます。納骨堂の場合も、樹木葬、永代供養墓同様に、改葬の際は寺院に相談しておきましょう。
寺院との付き合いが無くても開眼供養は可能
開眼供養は寺院との付き合いが無くても、執り行うことができます。寺院との付き合いがない場合でも、墓地の管理組合や石材店に相談することで、希望する宗旨、宗派の僧侶を紹介してもらうことができます。
また、開眼供養は、僧侶の派遣サービスを利用することで手配可能です。
近年では、寺院との付き合いが無く法要に関する知識が無く、依頼もできないという方が増えてきています。
僧侶の派遣サービスが需要が拡大する背景には、このような背景があるのです。もし寺院との付き合いが無い、トラブルで先代からの寺院との付き合いが途絶えてしまった場合、僧侶の派遣サービスを利用しましょう。
開眼供養の供物の準備
開眼供養の供物に関しては、次のようなものを準備すると良いでしょう。
- 季節の花
- 清酒
- 水
- 塩
- 餅
- 果実
- 野菜
- 昆布
- かつお節
- 和菓子
- 故人が好きだったもの
供物は宗派によって考え方、事前に寺院や僧侶に確認しておきましょう。
- ろうそく
- 線香
- 焼香台
- そのほかの仏具
これらは自分たちで準備せずとも、寺院や墓地の管理組合、石材店に依頼することで準備してもらえることがあります。
こちらも事前に確認しておきましょう。
開眼供養に関するマナー
- 【親族側】開眼供養の告知
- 開眼供養の服装
- 【親族側】お布施
- 【参列者側】ご祝儀
お布施やご祝儀についても、紹介いたします。
【親族側】開眼供養の告知
開眼供養の日時を親族や参列者に知らせるときには、場所を知らない可能性もあるため、地図を記載した案内状を送付するのがマナーです。
また、開眼供養と納骨法要が同時に行われる弔事(お悔やみ事)なのか、あるいは開眼供養だけが行われる慶事(お祝い事)なのかで、ご祝儀の形式が変わります。こちらも事前にお知らせするようにしましょう。
開眼供養の服装
開眼供養は基本的には慶事であり、お祝い事です。開眼供養の服装については、納骨法要を執り行うか否かで変わります。
納骨法要を執り行う場合
弔事となるため喪服で参加したほうが良いでしょう。
納骨法要を執り行わない場合
露出が多い派手な服装を避けて、白、黒、紺を基調とした服装が良いでしょう。
服装が心配な場合は、事前に僧侶に慶事なのか弔事なのか確認しておきましょう。
【親族側】お布施の準備
開眼供養のお布施は、僧侶の読解への謝礼です。3~5万円が相場です。
お布施の額に迷うならば、僧侶に聞いてしまっても問題はありません。もし、僧侶から返答が返ってきたら、その1.5から2倍の額を包むのがマナーとなっています。
- 開眼供養だけ行うパターン(慶事)
- 開眼供養と納骨法要を行うパターン
それぞれの表書きのパターンをご説明しましょう。
開眼供養だけ行うパターン(慶事)
生前にお墓が完成した場合など、納骨法要をせず、開眼法要だけ行うパターンがあります。このようなパターンは、慶事(お祝い事)といえます。
お祝い事であるため、寺院や僧侶への謝礼は紅白蝶結びの水引の祝儀袋を用います。表書きには「御布施」とは記入せずに、下記の一つを記入しましょう。
- 「内祝」
- 「入魂御礼」
- 「御礼」
- 「開眼御礼」
また、白封筒は用いず、紅白結び切りの水引で「のし」がついていない祝儀袋を使用します。
これは「のし」がアワビを意味するものであり、生臭ものを嫌う仏教では慶事に「のし」がついていないものを使うのが正しいためです。
開眼供養と納骨法要を行うパターン
納骨法要自体は短時間で済むため、開眼法要と同時に執り行うことが多いです。
例えば、新しく埋葬する遺骨のためにお墓を建てる時は開眼法要と納骨法要を同時に執り行うことが多く、このパターンは弔事です。
ゆえに、寺院や僧侶への謝礼は、奉書紙に包むか、白封筒に入れ、下記の一つを記入しましょう。
- 「御布施」
- 「入魂御礼」
- 「御礼」
- 「志」
また、白黒あるいは双銀結び切りの水引の不祝儀袋を使用します。
【参列者側】ご祝儀の準備
ご祝儀の金額は決まってはいませんが、
- 家族であれば3万円から10万円
- 親戚で2万円から3万円
- ご友人であれば1万円程度
開眼供養は基本的にはお祝い事であるため、紅白の水引のついた祝儀袋に次のいずれかを表書きします。
- 「開眼祝い」
- 「御建碑御祝」
- 「建立御祝」
- 「建立祝」
- 「祝建碑」
ただし例外として、納骨法要と開眼供養を行う場合は弔事であるため、ご祝儀ではなく、白黒または双銀結び切りの水引の不祝儀袋に「御仏前」あるいは「御香典」と表書きをします。
まとめ
この記事では次の項目をご紹介しました。
- 開眼供養の基本
- 開眼供養の準備と流れ
- 開眼供養のマナー
開眼供養は基本的にお祝い事です。しかし、納骨や納骨法要を行うとなるとお悔やみ事に変わります。
お祝い事かお悔やみ事かで、参加者のマナーが変わってきますので、開眼供養を開催する際はその点を押さえて、きちんと告知しましょう。