「お墓の準備について何の知識もなくて焦っている」
「お墓の購入時期はいつが良いのか」
ただでさえ、仕事が忙しいとお墓の準備にさく余力は残っていないですよね。
そこで、今回は多忙な方でもわかりやすいように、購入時期や気になるお墓の税金の話、お墓の準備が必要ない供養方法まで簡単にご紹介します。
お墓の購入時期に悩むみなさんの参考になれば幸いです。
お墓を購入すべき時期
お墓を購入すべき時期に宗教的な約束事はありません。
お墓はみなさんの意思で、なおかつ自由なタイミングで購入可能です。
ただ、時期としては次のようなものがあります。
- 生前
- 死後
それぞれの時期にわけて、特徴やメリット・デメリットを紹介していきます。
実は縁起が良いとされる生前に墓を購入するパターン
生前に購入するお墓は生前墓(せいぜんぼ)です。
また、仏教ではお墓を生前に購入し、建立することを寿陵(じゅりょう)と呼びます。
この寿陵は、仏教において縁起の良いとされ、長寿や子孫繁栄を招くと伝えられていますよ。
ここからは、生前にお墓を購入するメリットでデメリットについて説明します。
生前にお墓を購入するメリット
ここからは、生前にお墓を購入する次の3つのメリットを紹介します。
- 節税になる
- 家族への負担が少なくなる
- 納得のいくお墓のスタイルを自分で選べる
それでは、ここから詳しく説明していきますね。
節税になる
生前に墓を建立すると節税になります。
生前墓としてお墓を購入しておくと、お墓が相続人である家族(法定相続人)に相続されます。
この際、お墓は「祭祀(さいし)財産」とされ、非課税財産です。
つまり、相続税の課税対象とはなりません。
では逆に相続の際に、課税の対象となるのは現金などの課税資産です。
つまり、現金などの課税資産の状態で相続してしまうと、税金の額が大きくなってしまうけですね。
ここまでの内容は少し複雑なので、以下の表を用いて、簡略的におさらいします。
例として相続する資産は700万円相当と仮定して、説明していきます。
相続後に(死後に)お墓を購入する場合は、生前にお墓を購入する場合と比べて、課税対象額が700万円と大きくなっていますね。
このように、同じ700万円の資産を相続するだけでも、お墓を購入する時期によって支払う税金の額が変わることがわかります。
死後に課税資産を相続してから、その中からお墓を建立するお金を払うとなると損をしてしまうわけですね。
つまり、生前にお墓を購入すれば、節税となるのです。
家族への負担が少なくなる
お墓の準備は予約や見学など時間を要するため、家族にとっては負担となる可能性があります。
それに、残された家族が死後にするべきことはお墓の準備だけではありません。
死亡届から火葬の手配、葬儀の準備、法要、遺品整理、公共サービスや年金、保険に関する手続きなど、やるべきことは山積みです。
もちろん、家族が仕事をしている場合が大半なので、なかなか死後の手続きに時間を割けないことも多いでしょう。
休日などの限られられた時間の中に、お墓の準備を加えることができる余裕はないかもしれませんね。
生前でまだ家族にも余裕のある時期にお墓の準備を始めることで、家族への負担を減らすことができるのです。
納得のいくお墓のスタイルを自分で選べる
生前にお墓を購入することで、本人が納得のいくお墓を選べることはメリットです。
お墓のデザインからお墓の立地まで自分で選ぶことができます。
自分が入るお墓を自分で選べるのは魅力的ですね。
生前にお墓を購入するデメリット(注意点)
生前にお墓を購入する際に注意すべきことは次の2点です。
- 生前に建立したお墓の維持にも費用が必要となる
- 生前にお墓を建立できない墓地がある
2つの注意点について、説明していきます。
生前に建立したお墓の維持にも費用が必要となる
お墓の維持には費用がかかるため、あまりに早くお墓を建立すると死後に建立する場合と比べて支払う維持費が高くなってしまいます。
このお墓の維持費とは、管理料を指す場合が多いです。
管理料はお墓の水道代の支払いや墓地の施設整備や維持のために設けられているお墓の使用料金ですね。
管理料の額は公営墓地や民営墓地、室内霊園や寺院など場所によって相場が異なりますが、必ず支払うものと覚えておきましょう。
費用を気にする場合は、比較的管理料の安い公営墓地を選ぶと良いです。
生前にお墓を建立できない墓地もある
墓地は、お墓を建立する際に基準を定められています。
中でも注意すべきなのが、お墓を建立する際に納骨が求められる場合です。
このような基準がある墓地には生前にお墓を建立することができません。
ゆえに、墓地を選ぶ際には、「生前墓の建立は可能ですか」と必ず確認するようにしましょう。
死後にお墓を購入するパターン
冒頭で述べたように、お墓を購入すべき時期に宗教的な約束はないため、生前や死後など時期を問わずに購入することでができます。
死後にお墓を購入する場合は、故人が亡くなってから1年後に行う一周忌をめどにお墓を購入するケースが多いです。
生前に建立するなどですでにお墓がある場合は、四十九日に納骨します。
しかし、死後にお墓を用意する場合は、四十九日には間に合わない可能性が高いです。
ゆえに、故人が亡くなってから一年となる一周忌をめどに購入すると良いでしょう。
つづいて、死後にお墓を購入するパターンのメリット・デメリットを紹介します。
死後にお墓を購入するメリット
メリットは一周忌に合わせて、納骨式と開眼供養を同時に行うことができるため、法事に関する家族の負担が少なくなる点です。
納骨式は遺骨をお墓に納める儀式で、開眼供養はお墓を建立する際に行う儀式となっています。
納骨式と開眼供養は宗教上、同時に執り行うことが可能です。
ゆえに、法事に関する家族の負担が少なくなるわけですね。
死後にお墓を購入するデメリット(注意点)
死後にお墓を購入する場合は、法事や手続きが度重なり、多忙を極める可能性があります。
忙しい中で、お墓の準備を進めるのはむずかしいです。
実際に、次のようなことに注意しなければいけません。
- お墓の建立が一周忌の法要に間に合わない可能性がある
- 死後のお墓の準備は家族の負担が大きくする
一つずつ説明していきます。
お墓の建立が一周忌の法要に間に合わない可能性がある
お墓は2,3日で建立できるものではなく、工事期間が必要です。
お墓の工事期間は1〜3ヶ月ですが、天候や災害などの理由で、工事期間が長引く可能性があります。
工事期間の終了予定日から一周忌の法要まで余裕がないと、工事期間が長引く際に一周忌の時点でお墓が建立していないという事態が起こりうるのです。
お墓がないので、一周忌と合わせて納骨式と開眼供養を行うこともできません。
ゆえに、工事期間を考慮して、余裕を持ってお墓を立てる必要があります。
死後のお墓の準備は家族の負担が大きくする
死後にお墓を準備すると、法事や各種手続きもあるので、お墓の準備になかなか時間が割けないかもしれません。
お墓の購入と同時に墓地を選ばなくてはならず、多忙の中で墓地選びに苦労される方が多い印象を受けます。
このように死後にお墓を準備する際は、墓地選びに苦労するケースもあり、法事や各種手続きによって、家族の負担が大きくなる可能性が高いです。
ゆえに、生前からお墓の建立できなくても、墓地の選定やデザインなどのお墓の準備を進めておくことをおすすめします。
お墓に関する税金とは?お墓の購入には税金がかからない
お墓の購入において、お墓を建てる権利を購入しているため、お墓の購入には税金がかかりません。
お墓を建立する際にはまず土地の確保が必要ですね。
その際に「お墓を購入する」と表現することがありますが、実際は「お墓の土地を利用する権利を購入する」ことを意味します。
その「お墓の土地を利用する権利」を「永代使用権」と呼び、お墓を建てる霊園や寺院から購入するものとなります。
つまり、お墓の購入は土地を購入しているわけではないため、不動産所得税や消費税などの税金の課税対象とはならないのです。
永代利用券の購入には税金がかからないが、税金を払う機会もある
お墓の購入には、一切税金がかからないわけではありません。
霊園や寺院などにおけるお墓の使用権「永代使用権」の購入は非課税です。
しかし、墓石に関する石材費、文字彫刻費、基礎工事費、墓石工事費などには消費税がかかります。
それだけではなく、お骨を墓石が不要な納骨堂に預ける場合でも、借用したスペースに仏像を設置するケースも多く、仏像の購入費に消費税がかかります。
つまり、お墓を購入する際に、永代利用券の購入には税金がかかりませんが、墓石や仏具の購入・工事の際には消費税がかかるのです。
税金が必ずしもかからないわけではないという点をふまえて、お墓を選びましょう。
お墓の準備が必要ない供養方法は2種類
お墓の準備の手間をなんとか省けないかと考えている方もいることでしょう。
実はお墓の準備が必要ない供養方法として、次の2種類があります。
- 納骨堂/永代供養墓
- 自然葬
墓地選びの負担が大きく余裕がない、お墓を購入しても管理が困難という場合は、上記2つのお墓のスタイルがおすすめです。
それではお墓の準備が必要ない供養方法について、詳しく説明していきます。
納骨堂/永代供養墓
納骨堂/永代供養墓では、納骨をするだけなので、お墓の準備の必要がありません。
納骨堂は、個人、夫婦、家族といった多様な単位でお骨を納骨できるスペースです。
スペースも最小限なので、お手入れも楽と感じる方が多いですね。
この納骨堂は、交通の便が良い首都圏や地方中核都市に多く、遠方からでもアクセスがしやすい傾向があります。
永代供養墓も納骨堂と似ており、お骨は納骨スペースに預けられます。
この永代供養墓では、霊園や寺院が遺族の代わりにお墓を管理するため、お墓に通えなくなっても安心です。
このように、納骨堂/永代供養墓ではお墓の準備が必要がありません。
お墓の準備の負担を減らすことができるため、お墓の準備や管理に労力をかけたくない方にはおすすめです。
自然葬
自然葬は樹木葬や散骨を指し、こちらもお墓の準備は必要ありません。
お墓に入るのではなく、自然に還ることを目的としているため、自然葬を希望する方も増えつつあります。
自然葬もお墓の準備の負担を減らすことが可能です。
まとめ
お墓の時期としては生前と死後があります。
生前に墓を購入するメリットは次の3つです。
- 節税になる
- 家族への負担が少なくなる
- 納得のいくお墓を自分で選べる
死後にお墓をメリットは、一周忌に合わせて、納骨式と開眼供養を同時に行うことができるため、法事に関する家族の負担が少なくなる点です。
また、お墓に関する税金として、お墓の永代利用券の購入には税金がかかりませんが、墓石や仏具の購入・工事で税金を払う機会があります。
お墓の準備を負担と感じる場合は、お墓の準備が必要ない供養方法として、次の2種類があります。
- 納骨堂/永代供養墓
- 自然葬
お墓の購入時期に関するさまざまな情報を紹介してきました。
お墓の準備に関しては、本人の納得のいく形でお墓を準備できるのが最善です。
生前に本人の意向を伺い、その意向に沿って、早めに準備を進めていきましょう。