昔の日本では通夜、葬儀を行なう時には、その集落町内が一体となって、喪家を支え地域で死者を冥土へと送り出したものですが、その様な風習も現在では薄れつつあります。
そのような風潮のなかにあっても、せめて親族間にあっては協力しあい喪主、遺族を助けていきたいものです。
それでは、ここでは自宅で通夜を行う際の流れや要点などを理解しましょう。
もくじ
自宅で通夜を行なう時の流れと大切なポイント
- 喪主、世話人代表、親族代表、会計責任者、接待、炊事、会場、それぞれ係を決めます。
- 寺院、葬儀社、弔問客等、連絡漏れがないかの確認を行ないます。
- 遺影の準備を整えます。
- 喪主、遺族、世話人代表、親族代表は喪服に着替え寺院、弔問客に備えます。尚、各人は数珠の携帯を忘れないようにしましょう。
- 世話人代表、親族代表は喪主の意向を踏まえ葬儀社との打ち合わせ事項の確認をします。
- 会場係はご近所への挨拶、受付設置の確認、各控室に問題はないか、駐車場への案内、喪家への案内表示は適切か等を確認します。
- 接待係は寺院到着時に茶菓子の接待、弔問客の見送り等に努めます。
- 炊事係は接待係と協力して通夜ぶるまいに備えます。
- 喪主は、弔問を受ける事を最重要にし、他の事は世話人に任せる様にします。
・それぞれの役割分担における大切なポイント
- 喪主となるべき人が高齢であったり病気療養中の時には、長男か長女が喪主を努めます。又、次男の家に両親を引き取って生活をしていた時には、長男ではなく次男が喪主を務める事になっても問題はありません。
- 世話人代表は喪主の意向を受け遺族や親族と相談しながら通夜、葬儀を取り仕切る葬儀委員長の立場となります。
- 親族代表は親族間の意見を取りまとめ、世話人代表と供に通夜、葬儀が円滑に運ぶように務めます。
- 会計責任者は通夜、葬儀に関わる全ての入出金の記帳、管理を行います。香典は受付やお参り時に受けるもに分かれ、さらに通夜、葬儀のニ日間に及ぶ事もある為、可能な限り親族から選びましょう。
- 故人の知人、職場関係等連絡漏れの再確認。寺院・火葬場の問題の有無を確認します。
- 遺影は印象の良い写真を用意しましょう。
- 喪主だけなく、遺族、世話人代表、親族代表も喪服での対応が望ましいでしょう。
- 葬儀・火葬場スタッフへの心付けは忘れがちになることが多い為、注意が必要です。留守番をお願いする方には葬儀と火葬場の住所、電話番号等の伝達を忘れないようにしましょう。
- 喪家への道筋、駐車場等が解りにくい場合、一定時間人員を配置する必要性があります。
- 弔問客の為の帰りのタクシー等の手配にも対応しましょう。
- 寺院や弔問客だけでなく、遺族や世話人等にタイミングをみて別室での食事を準備するなどの気遣いを心がけましょう。
- 大切な弔問客であっても喪主自らが玄関先まで送り迎えをする事は控え、世話人代表や親族代表が変わって対応する事が葬送における弔問客に対するマナーです。
・供花について注意すべきこと
- 生花は、祭壇の近くから故人に縁の深い順に並べていきます。
- 花輪は、玄関、屋外に同じ様に並べていきます。
- 生花、花輪とも特別な場合を除き後から届いたものはそのうしろに並べていきます。
- 故人が公的な立場にあった場合には、供花を送った側の社会的立場を勘案し順序を決める事もあります。
通夜に伺う時に注意することや知っておくべきこととは
通夜に伺う事になった時、何処で連絡を受けたかによって多少状況が変わってきます。
出先や会社で急遽連絡を受け弔問に駆けつける時には平服で構いません。
またその際は、数珠や喪章の準備がなくとも致し方ないと思われます。
尚、仕事の都合などで翌日の葬儀に出席できない時には、香典だけは準備をして行くようにしましょう。
そして受付などにてその旨をちきんと伝え、後日改めてお参りさせて頂くようにします。
又、自宅でその連絡を受けた時は喪服で弔問に伺うほうが望ましいでしょう。
・弔問する際の服装や身だしなみについて
弔問客は、地味な平服か喪服に数珠を携え伺うようにします。
特に女性は結婚指輪、真珠以外のアクセサリーは身につけない様にして、化粧や髪型も地味に抑えるましょう。
また、無色以外のマニキュアは落とす様にすることを忘れないようにします。
学生であれば男女とも学生服で構いません。
・弔問時のマナー
弔問に際しては、短めの言葉に留めるようにします。
例えば、「誠にご愁傷さまでございます、心からお悔やみ申し上げます」などが相応しいでしょう。
また、亡くなった病名や症状を伺う事や、故人へのお別れをこちらの方から申しでる事も失礼にあたる事を理解しておきましょう。
・焼香 宗派ごとの違いやあまり知られていないマナーとは
先ずは一般的な焼香の作法に付いて解説します。
- 祭壇に進みでて座布団に着座する前に僧侶、喪主に一礼します。
- 着座し遺影に向かって一礼します。(この時、合掌する必要はありません)
- 導師に習い所定の回数、香をくべます。
- 合掌礼拝をして、僧侶・喪主に一礼し焼香が終わります。
香をくべ終わった後、手早く香合に手を戻し、香の表面をならして中央を軽く盛り上げておきましょう。これは後の人に対するマナーです。この時、指先についた香を落とすような仕草をする事は、マナー違反となる事もしっかりと覚えておきましょう。
焼香の順番(一つのご家族の母親が亡くなった場合)
- 喪主(主人)
- 姓名の変わらない子供
- 姓名の変わった子供
- 故人の父母
- 主人の父母
- 故人の孫
- 故人の兄弟姉妹
- 主人の兄弟姉妹
- 故人の伯父、伯母 叔父、叔母
- 主人の伯父、伯母 叔父、叔母
- 故人の甥、姪
- 主人の甥、姪
焼香の作法に付いては様々な考え方がありますが、喪家の宗派の所作に合わせるという事がマナーに沿ったやり方だといっていいでしょう。
ですが、弔問客の宗派の作法での焼香が間違っていると言い切る事はできません。
どういうことかと言えば、仏教、各宗派ではその宗旨に沿った正式な数珠がありますが、ある家の葬儀が〇〇宗の形で行なわれる場合、参列者は〇〇宗以外の数珠をもって出席することが不作法になるのかと言えば決してそんな事はありません。
こうした不毛の議論を続けるよりも、心をこめて焼香をさせて頂く事に努めましょう。
葬儀社の斎場で行われる通夜 斎場の設備とは
通夜での作法などをお伝えして参りましたが、それは斎場で通夜でも同様です。
ただし、準備する側からすれば、葬儀社の斎場で通夜を行なう場合では、部屋の片づけや控室の準備、什器備品の手配から駐車場、さらには道案内の表示等ほぼ一切の事は心配はありません。
遺族側から受付の人員を2~3名出しておけば全ての事は対応ができます。
また、通夜ぶるまいも事前に注文しておけば時間通りに手配ができます。
さらに、ある程度の規模の斎場であれば、20名程度の寝具も用意されていますのでそのまま翌日の葬儀に臨む事も可能てすし、シャワーや風呂も完備したところもあります。
まとめ
一概に比較は出来ませんが、設備の整った斎場を利用すれば心を煩わす事なく通夜を営む事ができます。
ただ当然のごとく会場使用料、設備使用料が発生しますし、ある程度時間の制約もあります。
一方、自宅通夜の場合では祭壇の設置、通夜にふさわしい幕張施工、各種表示の設置等手間はかかりますが、故人の慣れ親しんだ環境で通夜を営む事が出来るばかりか、遺族も故人との最後の夜を思い出深く過ごす事ができます。
費用面で考えても、自宅通夜で徹底的に祭壇、幕張などの費用を省けば別ですが、従来の形を継承すればどちらの場合も費用はほとんど変わらなくなります。
炉扇居士