高齢の親の通院に付き添うべきか迷ったら、年齢だけで決める必要はありません。移動の安全、聞こえや見え方、薬の変更、本人が説明を理解して家で実行できるかを確認し、必要な部分だけ支えるのが基本です。
付き添う日は、病院へ連れて行くだけでなく、受診前に情報を整理し、診察中は本人の言葉を尊重し、帰宅後の行動へつなげるところまでを一つの流れとして考えます。
この記事では、付き添いが必要な場面、持ち物、医師への伝え方、本人同意、受診後の記録を順番に整理します。家族が同行できない場合の相談先と、印刷して使える受診メモも用意しました。
急いでいるときの3つの準備
- 本人に「今日いちばん相談したいこと」を聞く
- お薬手帳、保険証類、眼鏡・補聴器、質問メモをそろえる
- 帰宅後に薬の変更、次回予約、急変時の連絡先を確認する
高齢の親に通院付き添いが必要か確認する
毎回の同行が必要とは限りません。次の表で、今回の受診にどの支援が必要かを確認します。
| 確認すること | 付き添いを検討したい状態 | 必要になりやすい支援 |
|---|---|---|
| 移動 | 転倒が心配、乗り換えや院内移動が難しい | 送迎、車いす、受付までの介助 |
| 聞こえ・見え方 | 呼び出しや説明を聞き取りにくい、書類を読みにくい | 補聴器・眼鏡の確認、説明の復唱 |
| 記憶・理解 | 症状や薬を説明しにくい、受診後の指示を忘れやすい | 事前メモ、診察内容の記録 |
| 治療の変化 | 薬の開始・中止、検査、手術の説明が予定されている | 質問整理、本人の理解確認 |
| 生活の変化 | 退院直後、食事・入浴・服薬など家で困ることが増えた | 生活状況の共有、相談窓口の確認 |
送迎だけ、会計だけ、診察室までなど、必要な役割を分けても構いません。親が一人でできる部分まで家族が代わるのではなく、本人の希望を聞いて支援範囲を決めます。
受診前に準備すること
本人と「今日の目的」をそろえる
家族が気になることと、本人が相談したいことは同じとは限りません。次の3点を短く書きます。
- 今日いちばん相談したい症状や困りごと
- いつから、どのように変わったか
- 診察後にできるようになりたいこと
例えば「膝が痛い」だけでなく、「2週間前から痛みが増え、買い物へ行けない」のように生活への影響まで伝えると状況を共有しやすくなります。
持ち物を一か所へまとめる
- マイナ保険証、資格確認書など普段使っている保険資格の確認物
- 診察券、予約票、紹介状、検査結果
- お薬手帳と、他院の薬・市販薬・サプリメントの一覧
- 眼鏡、補聴器、補聴器の予備電池
- 質問メモ、筆記具、支払い方法
- 移動中や待ち時間に必要な水分、羽織りもの、介助用品
薬が余っている、飲み忘れる、錠剤を出しにくいなど、飲み方の困りごともメモします。薬の整理方法は高齢の親の薬を安全に管理する方法、保険証類の確認は高齢者のマイナ保険証の使い方で詳しく整理しています。
診察中は本人を主役にして補足する
まず本人が話し、家族は事実を補う
医師から本人へ質問があったときは、答えられる範囲で本人に話してもらいます。そのあとで「薬が3日分余っています」「夜間に2回転びそうになりました」など、家族が観察した事実を補足します。
| 順番 | 話す内容 | 伝え方の例 |
|---|---|---|
| 1 | 本人の困りごと | 「階段を下りるときに膝が痛みます」 |
| 2 | 家族が見た変化 | 「先月より外出が減り、買い物を休む日があります」 |
| 3 | 確認したいこと | 「家で避ける動作と、次に受診する目安を教えてください」 |
家族が説明を聞くときは本人の同意を確認する
診療情報は本人の大切な個人情報です。厚生労働省の医療・介護事業者向けガイダンスでは、個人データを第三者へ提供する場合は、あらかじめ本人の同意を得ることが原則とされています。
付き添い家族が診察室へ入る、電話で説明を聞く、検査結果を受け取る場合は、本人の希望を確認し、医療機関の手続きに従います。本人が「家族にはここまで伝えてよい」と決められるうちに、共有範囲も相談しておくと安心です。
本人の前で言いにくい変化がある場合は、黙って話を進めず、受付へ「本人にも配慮しながら相談する方法を確認したい」と伝えます。メモを渡せるか、別に話す時間を取れるかは医療機関へ確認してください。
医師・薬剤師へ聞くこと
- 考えられる原因と、今回分かったこと
- 薬の目的、開始・中止・変更、飲み忘れた場合の確認先
- 食事、入浴、運動、運転など生活上の注意
- 検査や次回受診までに記録すること
- どのような変化があれば、いつ、どこへ連絡するか
説明を録音したい場合は、本人と医療者の双方へ先に確認します。録音できなくても、「家族へ説明したいので、要点をもう一度確認してよいですか」と尋ね、薬や次回予定を復唱すると行き違いを減らせます。
帰宅後に薬・予約・家での対応を確認する
病院を出る前か、帰宅後の記憶が新しいうちに次を一か所へ残します。
- 薬: 始める薬、やめる薬、量や時間が変わった薬
- 検査: 予約日時、食事制限、当日の持ち物
- 生活: 入浴、食事、運動などで気をつけること
- 連絡: 次回予約、急な変化があったときの連絡先
- 共有: 家族、ケアマネジャー、介護サービスへ伝える内容
薬の説明に分からない点が残ったら、自己判断で変更せず、処方した医療機関または薬を受け取った薬局へ確認します。診察内容は、本人が共有してよいと決めた範囲で家族へ伝えます。
印刷して使える通院付き添い受診メモ
受診目的、症状、持ち物、質問、医師の説明、次回予約をA4一枚へまとめました。すべて埋める必要はありません。本人と一緒に、分かるところから記入してください。

家族が通院に付き添えない場合の相談先
まず「送迎」「受付・院内移動」「診察同席」「会計・薬局」「帰宅後の共有」のどこに支援が必要かを分けます。サービスによって対応範囲が異なるため、名称だけで判断しません。
| 相談先・方法 | 相談しやすいこと | 事前に確認すること |
|---|---|---|
| ケアマネジャー | 利用中の介護サービス、通院介助、ケアプランの見直し | 院内待機や診察同席を含むか、保険内外の区分 |
| 地域包括支援センター | 要介護認定前を含む高齢者の総合相談、地域の支援情報 | 親の住所を担当するセンター、相談時に伝える困りごと |
| 病院の相談窓口・医療ソーシャルワーカー | 受診継続、生活・介護・費用面、関係機関との調整 | 相談窓口の名称、予約の要否、対応できる範囲 |
| 自治体の移動支援・福祉交通 | 対象者向けの送迎や助成 | 対象条件、予約期限、乗降以外の支援 |
| 介護タクシー・民間付き添い | 送迎、院内付き添い、薬局など事業者ごとの支援 | 基本料、時間・距離・待機・キャンセル料、個人情報の扱い |
介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせる場合は、サービス内容と費用を区分する必要があります。通院や院内介助がどこまで介護保険の対象になるかは、本人の状態、ケアプラン、自治体や事業者の取扱いで確認が必要です。利用中の方はケアマネジャーへ、まだ介護認定を受けていない方は親の住所地の地域包括支援センターへ相談してください。
通院付き添いを一人へ集中させない
家族の役割は、毎回同じ人が半日休んで同行する形だけではありません。
- 同居家族が症状をメモし、別居家族が予約を管理する
- 送迎する人と、診察内容を家族へ共有する人を分ける
- 仕事を休めない日は、医療機関へ電話・オンライン同席が可能か事前に尋ねる
- 定期受診と重要な説明がある受診で、同行の優先度を変える
付き添いによる仕事への影響が続く場合は、介護休業・介護休暇を使う前の確認点も参考にしてください。家族だけで抱えず、職場の制度と地域の支援を組み合わせます。
よくある質問
一度だけ付き添うなら、いつがよいですか?
薬や治療方針が変わるとき、退院後の初回受診、検査結果の説明があるとき、本人や家族が生活の変化を感じたときが候補です。受診内容は人によって異なるため、予約時に医療機関へ確認してください。
本人が家族の同席を嫌がるときはどうしますか?
まず理由を聞き、送迎や受診前メモなど同席以外の支援を提案します。本人の意思を無視して家族だけで話を進めず、心配な変化がある場合は、医療機関や地域包括支援センターへ相談方法を確認します。
家族が遠方に住んでいても説明を聞けますか?
本人の同意を前提に、電話やオンラインで家族が同席できる医療機関もありますが、対応は一律ではありません。予約時に方法、時間、本人確認の手続きを尋ねてください。
受診記録はどこまで家族へ共有しますか?
本人の希望を確認し、薬の変更、次回予約、家で必要な支援など、生活に必要な範囲を共有します。家族グループへ診断名や検査結果を無制限に流さず、誰へ何を伝えるかを決めます。
参考にした一次情報
制度・公的情報は2026-08-10に確認しました。医療機関、自治体、契約するサービスによって手続きや対応範囲が異なるため、利用前に各窓口へ確認してください。
- 厚生労働省:医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス
- 厚生労働省:介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱い
- 厚生労働省:地域包括ケアシステム
- 介護サービス情報公表システム:サービス利用までの流れ
- 厚生労働省 job tag:医療ソーシャルワーカー
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通院後の薬の管理、保険証類、家族の働き方もあわせて確認できます。



