年金だけで生活していると、物価上昇や医療費、介護費用の負担がじわじわ重く感じられることがあります。
そんなときに確認しておきたい制度のひとつが、年金生活者支援給付金です。
年金生活者支援給付金とは、公的年金等の収入やその他の所得が一定基準額以下の年金受給者を支援するため、年金に上乗せして支給される給付金です。
ただし、対象になりそうな人でも、請求手続きをしなければ受け取れない場合があります。
この記事では、年金生活者支援給付金の対象者、給付額、請求方法、家族が確認したい書類、詐欺に注意したいポイントを、終活と老後のお金の視点で整理します。
年金生活者支援給付金とは
年金生活者支援給付金とは、年金を含めても所得が低い年金受給者の生活を支援するために、年金に上乗せして支給される給付金です。
日本年金機構は、公的年金等の収入やその他の所得額が所得基準額以下の年金受給者の生活を支援するため、年金に上乗せして支給されるものと説明しています。
給付金には、主に次の3種類があります。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
この記事では、高齢者本人や家族が確認する機会の多い「老齢年金生活者支援給付金」を中心に解説します。
老齢年金生活者支援給付金の対象者
老齢年金生活者支援給付金は、一定の要件を満たす老齢基礎年金の受給者が対象です。
厚生労働省は、老齢年金生活者支援給付金の支給要件として、次の3つを案内しています。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者であること
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
- 前年の公的年金等収入金額とその他の所得の合計額が一定基準以下であること
所得基準額は生年月日などで扱いが異なり、制度改定もあります。
令和8年度時点では、昭和31年4月2日以後生まれの方は、前年の公的年金等収入金額とその他の所得の合計額が909,000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は906,700円以下であることが、老齢年金生活者支援給付金の要件のひとつとして示されています。
また、所得の逆転を防ぐため、一定範囲の方には補足的老齢年金生活者支援給付金が支給される場合があります。
年金生活者支援給付金はいくらもらえる?
年金生活者支援給付金の金額は、種類や納付済期間、免除期間、所得などによって異なります。
令和8年度の老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は、月額5,620円です。
ただし、これは基準額であり、実際の支給額は保険料納付済期間や保険料免除期間などに応じて計算されます。
日本年金機構は、年金生活者支援給付金の給付基準額は物価の変動に応じて毎年度改定される仕組みと案内しています。
金額を見るときの注意点
- 「月額5,620円」は令和8年度の給付基準額
- 実際の老齢給付金額は納付済期間や免除期間で変わる
- 障害年金生活者支援給付金は障害等級で金額が異なる
- 遺族年金生活者支援給付金は子の人数で按分される場合がある
- 金額は毎年度改定されるため、最新情報は日本年金機構や厚生労働省で確認する
請求しないともらえない?
年金生活者支援給付金は、対象になりそうだからといって自動的に振り込まれるとは限りません。
日本年金機構は、年金生活者支援給付金を受け取るには、年金生活者支援給付金請求書の提出が必要と案内しています。
すでに年金を受け取っていて、新たに対象になる可能性がある方には、日本年金機構から請求書が届く場合があります。
65歳で老齢基礎年金を請求する方は、年金請求とあわせて給付金の請求を行う流れになることがあります。
手続きの種類は状況によって異なるため、日本年金機構の案内を確認しましょう。
請求から受け取りまでの流れ
年金生活者支援給付金の一般的な流れは、次のようになります。
- 日本年金機構から届いた請求書を確認する、または年金請求時に確認する
- 氏名など必要事項を記入する
- 請求書を提出する
- 審査後、支給決定通知書が届く
- 振込通知書で支給額を確認する
- 原則として年金と同じ受取口座に、年金とは別に支給される
日本年金機構によると、給付金は原則として偶数月の中旬に2か月分が支払われ、請求した月の翌月分から支給対象になります。
請求が遅れると、受け取れる時期が遅くなることがあります。請求書が届いたら、放置せず確認しましょう。
家族が確認したい書類
年金生活者支援給付金を確認するときは、次のような書類を探せるようにしておきましょう。
- 年金証書
- 基礎年金番号が分かる書類
- 年金額改定通知書
- 年金振込通知書
- 年金生活者支援給付金請求書
- 年金生活者支援給付金 支給決定通知書
- 年金生活者支援給付金 支給金額改定通知書
- マイナンバー関係書類
- 本人確認書類
これらの保管場所は、終活ノートに書いておくと家族が探しやすくなります。
本人が書けないときは代筆できる?
高齢の親が病気、認知症、視力低下、手の不自由さなどで自筆が難しい場合、手続きそのものをあきらめる必要はありません。
厚生労働省は、目の見えない方、肢体の不自由な方、闘病中の方、認知症の方など、自筆で書くことが困難な場合は、代理人などが代筆により本人の氏名などを記入することで請求手続きができると案内しています。
ただし、具体的な書き方や本人確認は状況によって異なります。
困ったときは、給付金専用ダイヤルや年金事務所へ確認しましょう。
詐欺に注意したいポイント
年金生活者支援給付金は、お金に関わる制度です。
そのため、給付金をかたった詐欺にも注意が必要です。
日本年金機構は、日本年金機構や厚生労働省が電話で家族構成、金融機関の口座番号、暗証番号を聞いたり、手数料などの金銭を求めたりすることはないと注意喚起しています。
怪しいと感じたら確認
- 電話で口座番号や暗証番号を聞かれた
- 手数料を振り込めと言われた
- ATMで手続きするよう言われた
- 家族構成や資産状況を細かく聞かれた
- 急がないと給付金がもらえないと強く迫られた
不審な連絡があった場合は、年金事務所、給付金専用ダイヤル、警察相談専用電話などへ確認しましょう。
年金生活者支援給付金と老後資金
年金生活者支援給付金は、所得が一定基準以下の年金受給者を支える制度です。
ただし、月々の生活費、医療費、介護費、住まいの費用をすべて解決してくれるものではありません。
年金収入、預貯金、医療費、介護費、住まい、保険、家族の支援をまとめて見直すことが大切です。
医療費が高額になった場合は、高額療養費制度も確認しましょう。
介護が必要になった場合は、介護保険申請の流れも確認しておくと安心です。
終活として家族に残しておきたい情報
年金生活者支援給付金は、本人の所得や世帯状況と関係する制度です。
家族が手伝う場合、本人の年金や通知書、住民税非課税世帯かどうか、生活状況を確認する必要が出てきます。
終活としては、次の情報をまとめておきましょう。
- 基礎年金番号が分かる書類の保管場所
- 年金証書、年金額改定通知書、振込通知書の保管場所
- 年金の受取口座
- マイナンバーカードや本人確認書類の保管場所
- 住民税や所得に関する書類
- 家族が問い合わせる場合の連絡先
- 成年後見人や任意代理人がいる場合の情報
判断能力が低下して、年金や預金の管理が難しくなる場合は、成年後見制度などの備えも関係します。
よくある質問
年金生活者支援給付金は一度請求すれば毎年手続きが必要ですか?
支給要件を満たす場合、2年目以降の手続きは原則不要とされています。
ただし、所得や世帯状況などにより支給要件を満たさなくなった場合は、支給されません。通知書を確認し、不明点は年金事務所へ相談しましょう。
請求書が届いたら必ずもらえますか?
請求書が届いても、審査の結果、支給されない場合があります。
所得情報や世帯状況などで判定されるため、届いた書類だけで自己判断せず、必要事項を確認して提出しましょう。
障害年金や遺族年金を受けている人も対象ですか?
障害基礎年金や遺族基礎年金を受給している方も、一定の所得要件を満たす場合、障害年金生活者支援給付金や遺族年金生活者支援給付金の対象になることがあります。
ただし、老齢の給付金とは要件や金額が異なります。日本年金機構や年金事務所で確認しましょう。
家族が問い合わせてもよいですか?
家族が問い合わせる場合、本人や問い合わせる家族の基礎年金番号などが必要になることがあります。
日本年金機構の案内では、代理人が問い合わせる際の準備物も示されています。電話前に、年金証書や通知書を手元に置いておくと確認しやすくなります。
まとめ 年金生活者支援給付金は「届いた書類を放置しない」ことが大切
年金生活者支援給付金について、対象者、金額、請求方法、家族が確認したいポイントを解説しました。
- 年金生活者支援給付金は、所得が一定基準以下の年金受給者を支援する給付金
- 老齢、障害、遺族の種類がある
- 老齢給付金は65歳以上の老齢基礎年金受給者などが対象
- 受け取るには請求手続きが必要
- 給付基準額は毎年度改定されるため、最新情報は公式情報で確認する
- 電話で口座番号や暗証番号、手数料を求める連絡には注意する
年金生活者支援給付金は、老後の家計を大きく変える万能の制度ではありません。
それでも、対象になる人にとっては毎月の暮らしを支える大切な上乗せです。
日本年金機構から書類が届いたら放置せず、分からないときは給付金専用ダイヤルや年金事務所へ確認しましょう。
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