実家の登記を確認するときは、「誰の名義か」「住所・氏名が現在と合っているか」「家族が書類を探せるか」の3点から始めましょう。親が存命で名義も親本人なら、引っ越しによる住所変更と、亡くなった人から引き継ぐ相続登記は別の手続きです。
固定資産税の通知書や権利証を集めたら、現在の登記事項証明書で土地・建物それぞれの名義と住所を確認してください。住所が古い場合は、スマート変更登記のための「検索用情報の申出」が済んでいるかも確認しましょう。
名義人と住所を、土地・建物ごとに確認する
親本人の同意を得て、固定資産税の通知書、登記済権利証・登記識別情報、現在の登記事項証明書などをそろえましょう。登記事項証明書の取得方法は、法務省の不動産の登記情報を確認する案内から確認できます。
同じ実家でも、土地と建物の名義が異なることがあります。自宅のほかに畑、山林、共有持分などがある場合も、一つずつ確認してください。
- 登記上の名義人:親本人か、亡くなった祖父母などの名義が残っているか。
- 住所・氏名:登記の記載と現在の住所・氏名が合っているか。
- 不動産の表示:土地の地番、建物の家屋番号などが手元の資料と合っているか。
- 手続きの控え:相続・住所変更の登記や検索用情報の申出を、誰がいつ行ったか。
名義人が亡くなっている場合や、土地と建物で名義が違う理由が分からない場合は、住所の修正だけで済ませず、司法書士や法務局へ確認してください。
相続登記と住所・氏名変更は、期限も手続きも違う
相続登記は、亡くなった所有者から不動産を引き継いだことを登記へ反映する手続きです。住所・氏名変更登記は、同じ所有者の住所や名前の変更を反映します。
| 確認する状況 | 期限の基本 | 過去の変更・相続 |
|---|---|---|
| 相続で不動産を取得した | 自分について相続が始まったことと、その不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内 | 2024年4月1日より前に相続による取得を知り、未登記なら2027年3月31日まで。取得を知った日が2024年4月以降なら、その日から3年以内 |
| 所有者の住所・氏名が変わった | 2026年4月1日以降の変更は、変更日から2年以内 | 2026年4月1日より前の変更で未登記なら、2028年3月31日まで |
正当な理由なく義務に違反した場合は、相続登記は10万円以下、住所・氏名変更登記は5万円以下の過料の対象になる可能性があります。自分の起算日や必要な手続きが分からない場合は、資料を手元に法務局や司法書士へ相談しましょう。
遺産分割が成立した場合は、基本の義務とは別に、成立日から3年以内にその内容を踏まえた相続登記をする義務があります。期限内に相続登記をすることが難しい場合の「相続人申告登記」は基本の義務に対応する制度で、遺産分割後の義務や、売却のための相続登記まで済ませるものではありません。
相続関係の書類を集める必要があるときは、法定相続情報一覧図の作り方と必要書類も確認してください。
住所変更は、スマート変更登記の申出と通知を確認する
国内に住む個人の所有者は、検索用情報の申出をしておくと、法務局が住民基本台帳ネットワークで住所・氏名の変更を確認し、本人の了解を得て変更登記を行う「スマート変更登記」を利用できます。海外に居住する個人は対象にならず、変更があれば自分で変更登記を申請する必要があります。
検索用情報の申出とスマート変更登記には、登録免許税がかかりません。郵送で回答する場合の送料や、専門家へ依頼する費用は別に確認してください。
- 検索用情報の申出:申出済みか分からないときは、控えや手続きを頼んだ司法書士へ確認する。
- 法務局で変更を確認:申出された情報をもとに、2年に1回程度、住所・氏名の変更を調べる。
- 本人へ意思確認通知:本人が申し出たメールアドレス、または最新の住所への封書で届く。
- 希望する旨を回答:法務局が通知を送付してから1か月以内に、通知にある方法で回答する。書面で受け取った人は、その書面を持参・送付して回答することもできる。
- 審査後に変更登記:申出や回答と同時に完了するわけではなく、完了まで一定の期間がかかる。
2026年度の対象と通知の予定
2026年3月31日までに法務局で検索用情報の登録が完了した不動産が、2026年度の対象です。対象者への意思確認通知は、2026年12月中旬以降に順次送られる予定です。4月以降に登録した不動産について、同じ時期に通知が来ると決めつけず、法務省の案内で実施時期を確認してください。
スマート変更登記の対象は、検索用情報を申し出た不動産に限られます。自宅だけ申し出ている場合、別に持つ山林や畑まで対象に含まれるとは限りません。土地・建物の一覧と申出の控えを見比べましょう。
検索用情報の申出前にそろえる情報・書類
すでに自分名義の不動産について単独で申し出る場合は、Webブラウザの「かんたん登記・供託申請」から手続きでき、電子証明書は不要です。書面を不動産の所在地を管轄する法務局へ持参・送付する方法もあります。管轄が異なる複数の不動産は、そのうち一つを管轄する法務局へまとめて申し出ることができます。
| 準備するもの | 確認する内容 |
|---|---|
| 所有者の情報 | 氏名、氏名の振り仮名、住所、生年月日、国籍等。国籍等は2026年10月5日以降の申出で必要 |
| 本人のメールアドレス | 本人だけが使うもの。アドレスがなければ「なし」と申し出て、書面の通知を受ける。家族のアドレスで置き換えない |
| 不動産の情報 | 不動産番号、または所在地・地番・家屋番号など。申出の対象に入れる土地・建物を確認する |
| 本人確認と国籍等の資料 | 運転免許証等の本人確認書類の写し。マイナンバーカードは表面だけ。日本国籍の人は、本籍地が記載された住民票の写しや戸籍の附票の写しなど、国籍等を証する書類も確認する |
| 追加で求められる資料 | 登記の古い住所・氏名とのつながりを住基ネットで確認できない場合は、戸籍の附票など。代理人が申し出る場合は、代理権限を証する情報も必要 |
書類を取得する前に、検索用情報の申出方法と添付情報の「第2」を確認してください。古い住所の経緯や外国籍の人の資料など、自分の場合に必要なものが分からなければ、管轄法務局へ照会しましょう。
家族が入力や書類探しを手伝う場合も、本人と申出内容を確認してください。本人に代わって申し出る場合の書類や権限が不明なときは、法務局へ事前に相談します。
所有する不動産が分からないときは、古い住所も手がかりにする
所有不動産記録証明書は、登記上の所有者本人やその相続人などが、氏名・住所等の検索条件を指定し、登記に記録された不動産を一覧として確認する制度です。
検索条件と異なる古い住所や氏名で登記されている不動産は、一覧に載らないことがあります。「該当なし」でも、不動産が一切ない証明だと決めつけないでください。固定資産税の通知、権利証、過去の住所が分かる資料と照合し、どの条件で請求するか法務局へ相談しましょう。
親が存命のとき、子どもという理由だけで本人に代わる請求ができるとは限りません。代理請求の書類や本人確認、相続人として請求する場合の資料は、所有不動産記録証明制度の請求条件で確認してください。
実家をどうするか、管理と希望から家族で話す
名義と住所を確認したら、親の希望を聞き、今の管理を誰が担うか決めましょう。「誰が相続するか」をすぐに結論づける必要はありません。
- 住む人:親が転居・施設入所した後、誰が住むか。住まない場合は誰が見回るか。
- 管理する人:郵便物、鍵、草刈り、清掃、修繕の連絡を誰が担当するか。
- 費用:固定資産税、保険、維持費の支払先と、家族の分担をどうするか。
- 将来の希望:住み続ける、売る、貸すなど、本人が望むことと検討が必要なこと。
相続人の意見が合わない場合は弁護士、登記は司法書士、税金は税理士、境界は土地家屋調査士へ相談してください。売却・賃貸の相談は不動産会社、空き家の制度や管理は自治体の空き家相談窓口が候補です。
遺言で希望を残したいときは、自筆証書遺言の要件と保管制度を確認し、不動産の分け方に個別の判断が必要なら専門家へ相談しましょう。
書類の保管場所と、次に確認することを残す
土地・建物を一つずつ書き出し、本人と家族で分かる欄から埋めてください。不明な欄は、相談時に聞く項目として残しましょう。
| 確認項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 所在地・地番・家屋番号 | ________ |
| 名義人・登記上の住所 | ________ |
| 今の住所と違うか・いつ変わったか | ________ |
| 相続登記や住所変更の手続き状況 | ________ |
| 検索用情報の申出日・対象不動産 | ________ |
| 控えの保管場所・相談先・次の確認日 | ________ |
書類の保管場所や本人の希望をまとめるときは、終活ノートの記入項目と保管方法を確認してください。登記識別情報など大切な情報は、家族以外が見られる場所へ公開せず、保管方法を本人と相談しましょう。
公的な確認先と情報の基準日
情報確認日:2026年10月14日。期限の起算日、必要書類、申出済みかどうかは本人の資料で確認してください。法務局の登記手続案内は予約制です。申請代理や個別の権利関係の判断が必要な場合は、司法書士・弁護士へ相談しましょう。



