成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分になった人を支える制度です。
一方で、現行制度には「いったん後見が始まると長く続きやすい」「本人の状況が変わっても柔軟に使いにくい」「費用や手続きがわかりにくい」といった課題も指摘されてきました。
そこで近年、成年後見制度の見直しが進められています。
この記事では、成年後見制度がどのように変わろうとしているのか、現行制度との違い、終活で今できる備えをわかりやすく解説します。
成年後見制度の基本
成年後見制度には、大きく分けて法定後見と任意後見があります。
- 法定後見:判断能力が不十分になった後、家庭裁判所が後見人等を選ぶ制度
- 任意後見:元気なうちに、将来支援してくれる人と契約しておく制度
現行制度の基本は、以下の記事で解説しています。
裁判所も、成年後見制度の手続きや制度概要を案内しています。
参考:裁判所「成年後見制度」
なぜ成年後見制度の見直しが必要なのか
成年後見制度は、本人の財産を守るために重要な制度です。しかし、終活の現場では次のような不安がよくあります。
- 本人の生活上の希望が十分反映されるのか
- 家族が後見人になれるのか
- 専門職後見人の報酬がどのくらいかかるのか
- 必要な場面だけ使うことはできないのか
- 後見が始まると、途中でやめにくいのではないか
こうした課題を踏まえ、必要な範囲・期間で使いやすくする方向の見直しが議論されています。
制度改正の内容は、施行時期や具体的な運用によって変わる可能性があります。この記事では、見直しの方向性を終活目線で整理し、今できる準備を中心に解説します。
見直し案で注目したいポイント
必要な範囲で支援を受けやすくする
これまでの成年後見は、本人の判断能力が低下した後、広い範囲で継続的に支援するイメージが強い制度でした。
見直しでは、本人に必要な支援の内容や期間に応じて、より柔軟に使える仕組みが意識されています。たとえば、不動産売却、相続手続き、施設入所契約など、特定の場面で支援が必要になるケースがあります。
本人の意思決定支援を重視する
成年後見は、本人の財産を守るだけでなく、本人らしい生活を支える制度です。本人が何を大切にしているか、どこで暮らしたいか、誰と関わりたいかを尊重する視点が重要です。
そのため、元気なうちに希望を残しておくことが終活では大切になります。
任意後見や家族信託との使い分け
判断能力が低下した後の支援だけでなく、元気なうちに準備する仕組みもあります。
任意後見は、将来支援してくれる人を契約で決めておく制度です。日本公証人連合会でも任意後見契約について案内しています。
家族信託は、財産管理の一部を家族に託す仕組みとして注目されています。
終活で今できる備え
制度が変わるのを待つだけでなく、今から準備できることがあります。
財産と契約を一覧にする
預貯金、不動産、保険、証券口座、ローン、サブスク、公共料金などを一覧にしましょう。本人が管理できなくなった時、家族や支援者が状況を把握しやすくなります。
誰に相談してほしいか決める
配偶者、子ども、兄弟姉妹、甥姪、専門職、地域包括支援センターなど、困った時に相談してほしい相手を書いておきましょう。
任意後見・家族信託・遺言を比較する
成年後見は、生前の財産管理や契約支援の制度です。遺言は亡くなった後の財産の行き先を決めるものです。家族信託は、信頼できる家族に財産管理を託す仕組みです。
目的が違うため、ひとつで全部を解決しようとしないことが大切です。
医療・介護の希望も残す
判断能力が低下した時に困るのは財産だけではありません。医療や介護の希望も、人生会議や終活ノートで残しておきましょう。
成年後見制度の見直しで注意したいこと
- 改正案と施行済み制度を混同しない
- 制度が変わっても、本人の意思確認は重要
- 家族だけで判断せず、家庭裁判所や専門職に相談する
- 財産管理と死後事務は別に考える
- 高額な民間サービス契約は、内容と費用を慎重に確認する
よくある質問
成年後見制度はもう変わったのですか?
見直しの内容は、法改正や施行時期を確認する必要があります。実際に利用を検討する場合は、家庭裁判所、自治体、専門職に最新情報を確認しましょう。
家族信託があれば成年後見は不要ですか?
一概には言えません。家族信託は信託した財産の管理に役立ちますが、身上保護やすべての契約を代替するものではありません。
おひとりさまでも成年後見を使えますか?
使える場合があります。親族がいない場合は、市区町村長申立てや専門職後見人などが関わることもあります。地域包括支援センターなどに早めに相談しましょう。
まとめ 成年後見の見直しを待つより、今の情報整理が大切
成年後見制度の見直しについて解説してきました。
- 成年後見制度は、判断能力が不十分な人を支える制度
- 見直しでは、必要な範囲・期間で使いやすくする方向が注目されている
- 任意後見、家族信託、遺言は目的が違う
- 終活では、財産・契約・医療介護の希望を整理することが重要
- 具体的な利用は専門家や公的窓口に相談する
成年後見制度の見直しは、障がいのある子の親亡き後問題とも関係します。生命保険信託など他の備えとの組み合わせは以下の記事で整理しています。
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