高齢になってから賃貸住宅を探すと、「年齢で断られないか」「保証人がいないと借りられないのか」「一人暮らしでも契約できるのか」と不安になることがあります。
持ち家を手放して駅近くの賃貸に移りたい人、子どもの近くへ住み替えたい人、施設に入る前の住まいを探したい人など、事情はさまざまです。
高齢者の賃貸探しでは、家賃だけでなく、保証人、緊急連絡先、見守り、残置物、医療・介護との距離をセットで確認することが重要です。
この記事では、高齢者が賃貸住宅を探すときの注意点、入居審査で見られやすい項目、住宅セーフティネット制度、家族と準備したいことを整理します。
高齢者の賃貸探しでつまずきやすい点
高齢者が賃貸住宅を探すとき、若い世代とは違う確認点があります。
貸主や管理会社は、家賃滞納、孤独死、緊急時の連絡、室内に残された荷物、介護が必要になったときの対応などを心配することがあります。
これは本人を責める話ではなく、貸主側のリスク認識として存在するものです。だからこそ、事前に説明できる材料を用意しておくことが大切です。
賃貸探しで確認されやすいこと
- 毎月の家賃を継続して払えるか
- 連帯保証人または家賃保証会社を使えるか
- 緊急連絡先があるか
- 体調急変時に誰へ連絡するか
- 入院、死亡時の荷物や契約終了をどうするか
- 介護が必要になった場合の支援体制
- 近隣トラブルの不安がないか
住宅セーフティネット制度を確認する
高齢者の賃貸探しでは、住宅セーフティネット制度を知っておくと選択肢が広がる場合があります。
国土交通省は、住宅セーフティネット制度について、高齢者、低額所得者、障害者などの住宅確保要配慮者の賃貸住宅への居住ニーズが高まる一方、貸主側には孤独死、残置物処理、家賃滞納等への懸念があると説明しています。
この制度では、高齢者などの入居を拒まない賃貸住宅の登録制度、居住支援法人、居住支援協議会、家賃債務保証などが案内されています。
住まい探しに困った場合は、不動産会社だけでなく、自治体の住宅担当窓口、福祉窓口、居住支援協議会、地域包括支援センターに相談する方法もあります。
連帯保証人・家賃保証会社・緊急連絡先の違い
賃貸契約では、連帯保証人、家賃保証会社、緊急連絡先という言葉が出てきます。
似ていますが、役割は異なります。
主な違い
- 連帯保証人: 家賃滞納などの債務を本人と同じように負う立場
- 家賃保証会社: 保証料を払って家賃滞納時などの保証を受ける仕組み
- 緊急連絡先: 体調不良、事故、契約上の連絡などで連絡を受ける人
家族が連帯保証人になれる場合もありますが、家族に負担をかけたくない、親族がいない、親族が高齢などの事情もあります。
保証会社を使える物件でも、緊急連絡先は別に求められることがあります。契約前に、誰に何を頼むのかを整理しましょう。
身元保証や緊急時対応が不安な場合は、以下の記事も参考になります。
高齢者が選びやすい賃貸住宅の条件
高齢者の賃貸探しでは、家賃や間取りだけでなく、暮らし続けられる条件を見る必要があります。
住まい選びのチェックポイント
- 病院、薬局、スーパーが近い
- 駅やバス停まで無理なく歩ける
- エレベーターがある
- 室内の段差が少ない
- 浴室、トイレ、玄関が使いやすい
- 夜道が暗すぎない
- 家族や支援者が訪問しやすい
- 見守りサービスや管理会社の連絡体制がある
運転免許を返納した後の生活を考えるなら、徒歩圏内の買い物、通院、公共交通を重視しましょう。
段差や手すりの問題は、持ち家だけでなく賃貸でも確認が必要です。賃貸では勝手に工事できないため、管理会社や貸主への確認が必要になります。
見守りと緊急時対応を準備する
貸主側が心配しやすいのは、入居者に何かあったときに誰へ連絡すればよいか分からないことです。
賃貸を探す段階で、緊急連絡先、見守りサービス、家族との連絡方法、かかりつけ医、介護相談先を整理しておくと、入居後の安心にもつながります。
準備しておきたい情報
- 緊急連絡先の氏名、続柄、電話番号
- 家族が遠方の場合の連絡方法
- かかりつけ医、薬局
- 地域包括支援センターやケアマネジャー
- 見守りサービスの利用有無
- 入院時に鍵や荷物をどうするか
- 死亡時の契約終了や残置物の扱い
死後の手続きや家財の扱いまで心配な場合は、死後事務委任契約を検討することもあります。
入居前に確認したい契約内容
高齢者の賃貸契約では、家賃だけで判断しないことが大切です。
契約書や重要事項説明書で、費用、更新、解約、原状回復、保証会社、緊急時対応を確認しましょう。
契約前チェック
- 家賃、管理費、共益費
- 敷金、礼金、仲介手数料
- 保証会社の保証料と更新料
- 火災保険、家財保険
- 契約期間と更新料
- 退去時の原状回復
- 入院や長期不在時の連絡ルール
- 室内改修や手すり設置の可否
高額な見守りサービスや身元保証サービスを同時に契約する場合は、内容と解約条件をよく確認しましょう。
持ち家から賃貸へ移るときの注意点
持ち家から賃貸へ移る場合は、今の家をどうするかも同時に考える必要があります。
売却する、貸す、子どもに管理してもらう、空き家として一時的に残す、解体するなど、選択肢によって費用や税金、管理責任が変わります。
実家を空き家にしないためには、相続登記、売却、片付け、家財整理も関係します。
自宅を活用して資金を考える場合は、リバースモーゲージやリースバックの注意点も確認しておきましょう。
終活ノートに残すこと
賃貸に住み替える場合、契約情報と緊急連絡先を終活ノートにまとめておくと、家族や支援者が対応しやすくなります。
終活ノートに書く賃貸情報
- 物件名、部屋番号、管理会社
- 家賃、管理費、支払い方法
- 保証会社、火災保険
- 緊急連絡先
- 合鍵を持つ人
- 入院時に連絡してほしい人
- 死亡時の家財整理や解約を頼みたい人
- 残してほしい物、処分してよい物
よくある質問
高齢者は賃貸を借りにくいですか?
借りにくいケースはありますが、必ず借りられないわけではありません。
家賃の支払い能力、保証会社の利用、緊急連絡先、見守り体制を説明できると、選択肢を探しやすくなります。自治体や居住支援法人に相談できる場合もあります。
保証人がいない場合はどうすればよいですか?
家賃保証会社を使える物件を探す、居住支援法人や自治体窓口に相談する、身元保証サービスを慎重に検討するなどの方法があります。
ただし、保証会社と緊急連絡先は別に求められることがあるため、事前に確認しましょう。
賃貸で手すりを付けることはできますか?
貸主や管理会社の許可が必要です。
介護保険の住宅改修を使える可能性がある場合でも、賃貸では所有者の承諾が必要になります。工事前に必ず確認しましょう。
まとめ 高齢者の賃貸探しは家賃以外の準備が重要
高齢者の賃貸探しでは、希望の部屋を探すだけでなく、貸主が不安に思いやすい点を先に整理することが大切です。
- 家賃だけでなく、保証人、保証会社、緊急連絡先を確認する
- 住宅セーフティネット制度や居住支援の相談先を知っておく
- 病院、買い物、公共交通、家族の訪問しやすさを重視する
- 見守りや緊急時対応を準備しておく
- 契約前に費用、更新、退去、原状回復を確認する
- 持ち家から移る場合は、実家管理や売却も同時に考える
- 終活ノートに賃貸契約と連絡先を残す
住まいは、老後の安心を支える土台です。家賃の安さだけで急がず、暮らし続けられる条件と緊急時の備えを確認して選びましょう。
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